花明かり~深川駕籠~」。山本一力
深川の駕籠舁き(かごかき)の新太郎と、尚平。
新太郎は、大店の両替商の跡取り息子、
尚平はもと相撲取り
でも、なぜか今は、2人で木兵衛店の長屋に住んで、駕籠を担いでいます。
どうも、2人は、6尺(180センチ)くらいあるマッチョなイケメンみたい。
そんな2人を取り巻く江戸の町の人々との間に起こるささやかな出来事。
「花明かり」。
満開を迎える深川大横川の桜並木。
毎年、この時期には、長屋の店子全員で、大家さん(木兵衛)のおごりで花見の宴。
そんな花見に、駕籠舁きの新太郎と尚平は、坂本村住む庄兵衛とおよねの老夫婦を花見に招待します。
歩くのもおぼつかない余命わずかなおよねの望みをかなえるためでした。
ところが、桜を楽しむ新太郎たちに、千住の駕籠舁き寅とその客が早駕籠勝負をけしかけてきたのです。
いやみな2人にじっと我慢をしていた新太郎でしたが、
周囲のあおりもあって~江戸の人々は負けず嫌いみたい~、勝負を受けることに。
ですが、その賭け金がなんと千両に。
「菖蒲の湯」。
雨対策に新太郎と、尚平は、
雨具を日本橋の吉羽屋で自分たちの合羽と駕籠用の合羽をあつらました。
駕籠用の合羽なんて、面白いですね。
五月雨の中、二人の合羽と駕籠はとても人目を引きます。
そこへ花問屋の「花椿」行きを告げ乗り込む女客が現れ、
女は花椿の女将・そめ乃と言い、新太郎はそめ乃に一目ぼれ。
資料も細かく調べて書かれているのでしょう、あらためて、江戸の文化レベルの高さに感心します。
また、江戸の町の風景、そこで暮らす人々の日常が生き生きと描かれ、
そこの一員として暮らしてみたいなという気分になります。
深川駕籠シリーズの第3弾だそうですが、
1作目、2作目を読んでいなくても、
充分に話の流れは理解できます。
でも、やはり、そのうち、前の2作も読んでみようと思います。