バニー・レークは行方不明
評点 ★★★★ 前半はいいですね。ただ、真相解明時、何故この時期に犯罪が起こるのか犯人の動機がしっくりしない気も・・・。バニー・レークは行方不明(スペシャル・プライス) [ ローレンス・オリヴィエ ]●1965年年度 イギリス映画 監督:オットー・プレミンジャー 原作:イヴリン・パイパー 出演:◇アン・レーク/キャロル・リンレイ アメリカ人のシングル・マザー◇スティーブン・レーク/キア・デュリア アンの兄 或る雑誌社のロンドン特派員◇コック/ルーイー・マンハイム 幼稚園のコック◇エルヴァイラ/アンナ・マッセイ◇ドロシー/エイドリアン・コリ◇保育士/ジル・メイフォード◇ウィルソン/ノエル・カワード 家主◇ニューハウス警部/ローレンス・オリビエ 警部◇アンドリュース/クライヴ・レヴィル 捜査官◇フェリシア=バニー・レーク/スーキー・アップルビー アンの娘●あらすじ アメリカからロンドンにやってきたシングル・マザーのアン・レークは、特派員をしているロンドン在住の兄=スティーブンが前もって手配してくれた保育園に娘のバニーを預ける。アパートで荷物を解いた後、バニーを迎えに行くが娘の姿はどこにもなく、保育園の校長や職員もそんな娘の姿は見なかったと言い、名簿にもバニーの名前は記載されていなかった。通報を受け、捜査にあたったニューハウス警視に求められ、バニーの写真を見せようとしたアンだったが、アパートに残された荷物の中には写真どころかバニーの存在を示すものは何一つ見つからなかった・・・。●感想 こういうタッチの映画は好きですね。イギリス映画には、こういうシェイクスピアばりの演出感を醸し出す作品がときどき登場する。アガサ・クリスティの作品「エルキュール・ポアロ」にも、そういう気配がある。 この作品の進行の上手い点は、「バニーが画面に登場しない」ということです。その存在を主張するのは、主人公のアンとその兄のスティーブンのみ。彼らがアメリカから遣ってきて日が浅く、周りの人は彼らのことをよく知らない、という設定が、ここでは大変活きています。●登場人物もどこか謎めいていて、幼稚園の上の階に居る年寄り女性とか、アンが住むことになったアパートの管理人が少しおかしいとか、そういうどうかイギリス辺りを舞台にしないとしっくりこない「個人間の距離のある人間関係」みたいなものが背景に感じられ、舞台設定は上手いかと思いました。演技は大変嵌っていて、どこにも問題がなく進みます。演出のレベルも高い。●解決編に入っての犯人の行動は、緻密な犯罪を組み立てたにしては少しお粗末に感じられる部分もあり、その辺がちょっとマイナス点に感じられましたが、全体的にはよく出来た作品に感じられました。なお、この作品はモノクロです。