φ(．．) Daily　Groovus

『銀の翼』
（1985年）

ジャケットのレイアウト上、帯は右端に移動しました





NOVELAの前身バンド“シェラザード”でベースを弾いていた大久保寿太郎さんが1983年に結成したハードロック色の濃いプログレッシヴ・バンド“スターレス”のデビュー・アルバム。


NOVELAの成功に気を良くしたキング・レコード系列の“NEXUSレーベル”が『New Progressive Revolution』シリーズの第1弾としてリリースした。　プロデュースはNOVELAの平山氏。





スターレスは数あるプログレ・バンドの中でも最も名古屋に来てくれたバンドではないだろうか？　ボクにはそんな印象が強く残っている。
彼らのサウンドは「これが本当にプログレ！？」と思うほどハードで、ヘタしたら自称ハードロック・バンドだと叫んでる奴らよりもへヴィでゴリゴリだった。　特に音数の多いドラム（堀江睦男氏！）とディストーションバリバリのギターは聴いているだけで汗が吹き出るくらいの迫力だった。　


そんなサウンドにも関わらず“プログレ”というジャンルにカテゴライズされるのは、スターレスが作り上げるドラマチックな歌の世界とスリリングな曲展開からであろう。


このデビュー・アルバムにも収録されているが「ブレス」という曲の素晴らしさは言葉には出来ないほどの完成度がある。　ライブでは常にハイライトとなっている曲だったが、その際は前半にギターのTOTCHI（中川）がボーカルを取り後半にJULLA（紅一点）が歌うというダブルボーカルのスタイルが取られていた。　途中からピアノのコード弾きをバックに静かに歌うシーンがあるのだが、この時のJULLAの艶かしさと徐々に力強さが加わる時のカッコ良さは本当に失禁してしまうくらい素晴らしかった！！　TOTCHIのボーカルって言うのはなんかわからないけど良いんだよねぇ～。　「トーキョー・コネクション」という曲ではTOTCHIをメインボーカルに据えた名曲で、ボク個人的に大好きな曲でもある。


このレコードという媒体ではスターレスの魅力が100％伝わらないのが本当に惜しい。　その後、メンバーチェンジを繰り返し何枚かのCDもリリースしているが、やはりあのライブで体験した本来のスターレスの姿を再現してはいない。
今でも彼らは現役でライブを行なっているので、是非そのライブを観て欲しいと切に願う。
（昔はそのライブでKクリムゾンやPFMなども演奏していた！　今はどうだろう？）


とは言え、このアルバム自体はよくまとまっており聴けば聴くほど味が出てくる傑作であることは間違いない。
タイトル・ナンバーの「銀の翼」は日本のプログレ界が生んだ名曲のひとつだろう。　変拍子のサビに絡みつくようにメロディと歌詞が乗る。　正にプログレ・ファン必聴のめくるめく展開でリリシズムとへヴィネスの完璧な融合を見せている。


ジャケットには今や押しも押されぬ超有名画家の天野喜孝氏を採用しているが、この画はスターレスの世界を忠実に表現していると思う。　












そういえば、名古屋E.L.L.でいつもスターレスを観に来ていた中学生くらいの男の子はその後どうなったんだろう？　毎回一人で来て静かに去っていった彼は一体？？？　うぅぅ、気になるぅ～（笑）






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