まあぼの交差点

「平面いぬ。」（日記は→こちら）に続いて，

乙一の「天帝妖狐，1998」

（２作の短編）を読んだ。

どちらもおもしろかったが，あえてどちらが好きかということになると，前者かな？

A MASKED BALL　ア　マスクド　ボール
　　－及びトイレのタバコさんの出現と消失－

高校の雰囲気がよく出ている。ここで，「よく出ている」というのは，現実にそのような高校が存在するという意味ではない。

架空でもよい。あ，こんな高校がありそうで，こんな生徒もいそうで，こんな先生もいそうで……という感じがするということ。

したがって，ポイントとなる掃除のおばさんも，書かれているすべての内容を含めて，「いそう」な気になるのだ。

「A MASKED BALL」から，最初サッカーボールにドラえもんの仮面をかぶせて遊んでいる高校生を連想してしまった(笑)
本当の話であり，英語力の減退にウンザリ！！

「仮面舞踏会」ということがわかってから，それが剣道場の裏側の男子トイレを利用する上村（GU），KE，２C茶髪，V３，カタカナの５人の姿を端的に表していることがわかり，それはまた，こうやってパソコンやケータイに向かってブログのやりとりをしている自分たちの姿だとも思えてくる。

「犯人」がほぼ最後の最後までわからなかったせいか，男子トイレに入ることのできる女性がいるという着眼点に脱帽。

真犯人がわかったところで，やっとV３が前川だということがわかった。これには，かなり前の部分から「もともと字が上手で漢字を多く使う」といった伏線がはってあったりもする。
犯人だと思っていた分，余計にいい奴に思えてきた(笑)


天帝妖狐
夜木の手紙と杏子を中心とした地の文が交互に置かれて進行し，夜木の数奇な運命が語られるのだが，「哀れさ」，「どうにもならない運命」，「哀しい交流」の中に「希望」がほの見える。

乙一の他作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（乙一）からごらんください。



次の日記も読ませていただきました。
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