ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ長編22作品中16作目にあたる,
カーター・ディクスンの「青銅ランプの呪」
(The Curse of the Bronze Lamp(Lord of the Sorcerers),1945,後藤安彦訳)
を読んだ。
事件は1935年4月から5月にかけて。
呪いがかかっているという青銅のランプをエジプト探検家セヴァーン卿の娘ヘレン・ローリングが,あえてイギリスに持ち帰ることから事件は起こるのだが,屋敷に入ったとたんのヘレンの失踪に続き,あとから帰国したセヴァーン卿も失踪するに及び,事件は混迷の度を増す。
序文にもあるように,カーとエラリー・クイーンとの交流の中で,「フィリモア氏のとその傘」の謎に対するカーなりのエラリーへの答えがこの本の内容といってもいい。
文庫版解説に詳しいのだが,「フィリモア氏のとその傘」とは,「シャーロックホームズの事件簿」の「ソー橋」の最初の一文に未解決の事件として出てくる,「傘をとりに家の中へもどったまま,二度とこの世に姿を見せなかった」ジェームズ・フィリモア氏の謎である(エラリー・クイーン編による「シャーロック・ホームズの災難」には,クイーン自身の「ジェイムズ・フィリモア氏の失踪」も収録されている)。
ということで,今回は「密室」ではなく,「人間消失」の謎が中心となるが,最後にはヘンリ・メリヴェール卿によって見事解き明かされることになる。
あやしげなエジプト人の登場など,舞台背景もなかなか楽しい。
カーター・ディクスンの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (カーター・ディクスン)からごらんください。
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