29日にこのブログに書いた記事 「●石炭発電に異議・小名浜火力新設を許すな●」 について、重要な書き込みがありました。それで、以下のお返事を書いたのですが、書き込みの字数制限に引っかかって載せられませんでしたので、こちらに掲載しました。
ぼたんの花さん
>石炭火力と原発、二者択一なら迷わず私は、石炭に軍配をあげます。
>温暖化論争の元を正すと、石炭対ウランの対決だったとも言われています。
>石炭は、なぜ安いかというと、もちろん豊富にあるからです。
>今日のCO2悪玉温暖化説は、もとを正せばウラン対石炭の争い、とも言われています。
>
>石炭から、塵やCO2をどうにか抑える技術を開発したほうが
>原発を推進するより、よほどCO2削減や環境に貢献すると思われますが
>いかがですか?
>
>CO2温暖化説は、別にしても都会の夏は、毎日酷暑です。
>それには、アスファルトの廃熱、ビルなどの廃熱、それに建築基準などの
>大幅な、規制緩和での”風の通り道”を塞ぐような建物の林立、
>それらも大いに関係していると思われます。
>
>真夏の夜、わんこの散歩をしていると、アスファルトの熱が
>上空にあがっていくのが、素肌に敏感に感じます。
>
>30年住んでいる我が家を基準に考えれば
>ここ20年近くで、平均気温が1℃や2℃の上昇ではなく
>真夏は5~6℃上昇であろうと思われます。
>ヒートアイランド現象がかなりの部分を占めているのは
>間違いないです。
ぼたんの花さん、ご無沙汰です、ご訪問ありがとうございます。山遊びと二日酔いでレスが遅くなりました。(^^;)
「石炭火力と原発…の二者択一」という問題設定は、権力側の常套手段でまじめな人々を思考の袋小路に追い込む詐欺だと考えています。「郵政民営化是か非か」で大量得票を騙し取ったワンフレーズ小泉劇場の手法と同じです。わざわざそんな欺瞞の土俵に乗って議論することはないんだけどな…と、まずは思います。あ、それから、原発は温暖化対策にならないって話は前に書いてます。
じゃあ、「石炭火力+原子力と自然エネルギーの二者択一」かといえば、私はこの問題設定も単純すぎて誤解を招く恐れがあると考えています。自然エネルギーで今のエネルギー需要をまかなえるかという嘲笑と悪罵が必ず投げつけられるということはご存じの通りですが、事態はもっと複雑で、本当の焦点はエネルギー独占に基づく中央集権的な権力支配を打ち破り、民衆の側にエネルギー自立を回復することにあるからです。
それは、グローバリゼーションとそれを支える長距離輸送の転換、WTO協定の見直しや新植民地主義の打破と食料主権回復、巨大な温暖化ガス発生源である軍事と戦争の廃棄などなど、現在の世界の構造を根本的に転換する視野を必要とする人類史的な大変革です。単に発電燃料として何を選ぶかといった次元の話ではありません。ともあれ、それを単純化してもっともらしく提起してくる権力側の罠にはまらないよう、また自分たちが同じように単純な問題設定をして市民運動をミスリードしないよう、自戒したいと思っています。
それから、火力発電からCO2を回収貯留する技術=CCSは、電気事業連合が必ず石炭火力のいいわけに持ち出す話です。CCSは現段階では技術面コスト面とも実用可能性が評価できない開発途上の技術であること、またCO2を貯留する海底や地中の環境影響がどうなるかもまったくわかっていません。もちろん研究する価値はおおいにあると思いますが、このような未確立の技術に人類の運命をゆだねるのは、肺がんの特効薬ができることを期待してタバコを吸い続けるようなもので、リスキーに過ぎるというのが私の基本的な考え方です。
なお、これはすでにご存じかと思いますが、都市部における気温上昇についての寄与度は、ご指摘の通り、ヒートアイランド現象が全球的な温室効果ガス濃度上昇の影響を遙かに上回っています。そのため、IPCC等はヒートアイランド現象の影響を計量しその分をあらかじめ下方修正したうえで全球的な気温上昇のデータを紹介しています。
余談ですが、日本が先般打ち上げた地球観測衛星「いぶき」が、順調にトレーニングを終え、実用段階に入るとの報道が今朝ありました。これにより、全球的な温暖化ガス濃度が従来の1万倍以上の精度で、しかもリアルタイムで測定できることになります。このデータが集積されれば、ヒートアイランド現象と地球温暖化の関係も、さらに科学的につかめるようなるだろうと期待しています。ではまた~
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