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テーマ:ニュース(99487)
カテゴリ:環境
石川県の白山で雷鳥がみつかった。雷鳥は昔には白山にも棲息していたが、もう70年以上前に地域個体群としては絶滅したと見られている。今回見つかった雌一羽は、75キロ離れた北アルプスから移動してきたものだろう。もちろん雌一羽で繁殖はできない。無事に古巣に戻れればいいのだが… 奥秩父の盟主=金峰山に登り、頂上直下の金峰山小屋に立ち寄ったときのこと、売っていた記念バッジに雷鳥がデザインされていた。意外に思ってこの山に雷鳥がいるのか小屋の主人に尋ねたところ、「いまはねえ、見かけなくなってしまいました」と申し訳なさそうに応えてくれた。 バッジのデザインが今は不適当であることを恥じておられたのだが、数年前までは見かけたという。合法だったかどうか知らないが、かつて金峰山域に雷鳥を移植して定着させようとした試みがあり、一定期間それは成功して繁殖もしたため、その当時、喜んでバッジに雷鳥をデザインしたのだった。いま、トキの野生復帰が話題になっているが、野生動物の繁殖と定着はそう簡単ではない。 雷鳥の生息数はいまや2000羽を割り込んだという。そんな数になっても、コジローの如き登山者がしょっちゅう見かけるほど警戒心が薄く、危険から逃げるにももっぱらヨタヨタ歩き回るばかりだから、温暖化で生息域の標高を上昇させた他の動物との生存競争で圧倒的に分が悪く、減少に歯止めがかからない。いまの勢いで温暖化が進めば、近い将来の絶滅は避けられないだろう。 雷鳥に限らずホッキョクグマでもペンギンでもそうだが、何の罪もないいたいけな野生動物が、人間の身勝手で浅はかな振る舞いのために絶滅へと追い込まれるのは、本当に胸が痛む。地球は人間の占有物ではない。人間側からの環境負荷をゼロにすることはできないにしても、せめて他の生命への畏敬の念を持って、共存のための慎みを発揮する程度のことができなくては、ホモサピエンス(知性ある人)の名に値しまい。 麻生総理は10日に2020年をターゲットとする日本の温暖化ガス削減の中期目標を発表するらしい。巷間伝えられるところでは、さすがに90年比4%増などという世界の笑いものになるような非常識な目標は論外ということになったようだが、京都議定書の削減義務と1%しか違わない90年比7%削減が有力だという。 …これでは雷鳥は救われない。麻生首相のサピエンスか問われる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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