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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2009年07月11日
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カテゴリ:環境

 イタリアのラクイラで開催された主要8ヵ国首脳会議は、「地球の平均気温上昇を産業革命前に比べ2度以内に抑える」ことで初めて一致。世界の温室効果ガス排出について「2050年に半減する」ことを昨年の北海道サミットに続き再認したうえ、そのため特に「先進国が全体として2050年までに80%以上削減する」ことを確認した。

 これらは、IPCCの評価報告など、気候変動に関する最新の科学的知見を踏まえての合意だ。残念ながら、IPCCが2020年時点で90年比25~40%の削減が必要と指摘する先進国の温室効果ガス削減中期目標についての言及はなかったが、ともあれ、複雑な利害関係が絡む国際政治が、科学の警告を受けそれを反映する方向で動き出したことに注目したい。

 しかし、その後、途上国を加え17ヵ国の参加で開かれた「主要経済国フォーラム」(=MEF)は、「気温上昇2度以内」では一致したものの、削減義務目標の割り当てを警戒する途上国の反対で「2050年半減」での合意は成立しなかった。これを受け、日本のマスコミは一斉に「G8と新興国深まる溝」「今後の調整難航必至」「ポスト京都の合意に黄信号」と異口同音に報じた。

 そうだろうか。この間、地球温暖化をめぐる世界と日本の動きをずっとウオッチングしてきたコジローには、今回のラクイラの合意はかなり評価できるように思える。最も重要なポイントは「産業革命からの気温上昇を2度以内に抑制」という、破局的な温暖化を防ぐために科学が示した数値目標を、世界が初めて共有できたことだ。

 IPCCは、今後の世界がたどりうる6つの社会経済シナリオを描いたうえ、21世紀中に産業革命前から1.1度~6.4度の気温上昇の可能性があることを示し、仮に2度以上の気温上昇となった場合、破局的な事態に至る確率が高くなると警告した。では、2度以内に抑えるにはどうするか。やや専門的な話になるのではしょるが、IPCCは概略、今後10年ほどの内に世界の温暖化ガス排出を増勢から減勢に転換(ピークアウトという)して2050年には世界で半減、なかでも先進国は80~95%削減、それに向けた通過点の2020年には先進国全体で25~40%削減するとともに途上国も放置したケース(ベースラインという)から大幅に抑制…といったコースを示している。

 つまり今回のラクイラでの「2度以内に抑制」での合意は、こうした科学が示すコースを世界の政治が一致して認めたことを意味する。COP15での世界の合意はもちろん容易ではないが、とりあえず世界はそろって、この地球上の生命を守るための低炭素革命へのスタートラインに立ったのだ。

 先日、COP2(1996年)から昨年のCOP14まで、全回現場に参加してきたNGOのリーダーと話す機会があった。この方は、6月にボンで開かれた準備会合にも参加しているが、そこで、空気が変わってきたことをはっきりと感じたという。確かに意見の隔たりは大きく激しい論争が展開されてはいるが、ともあれどの国も真剣だというのだ。これまでは、特にブッシュ政権の米国など、決着済みの論点を蒸し返したり会議をサボタージュしたり、邪魔が入って議論に集中できないことも多かったのだが、今はそうした意図的な妨害は無い。こうした空気は今回のラクイラも同じだった。

 今回、先進国側は率先して2050年80%削減を誓うことで途上国の軟化を期待したが、途上国側は乗ってこなかった。ドイツのメルケル首相は「2020年に90年比25~40%削減の中期目標を先進国側が約束していれば、途上国側にも合意する用意はあった」と話している。途上国側にしてもCOP15で合意を成立させる必要は十分認識しているし、相応の義務を果たす覚悟もある。ただ、先進国が「差異ある責任」を担うことが明確に担保されなければ、うかつには乗れないということなのだ。

 激しく対立し溝は深いように見えるが、合意への焦点は絞られてきている。あとは、先進国側全体が科学が求める中期目標で一致し、効果的な途上国への金銭的技術的支援策を示せるかどうかだ。ちなみに日本政府が示した中期目標90年比8%減は、科学の見地からはまったく問題外。リーダーシップなど今さら無理だが、せめて世界の真剣な議論の足を引っ張らないようにして欲しいと思う。

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最終更新日  2009年07月11日 16時47分06秒
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