|
カテゴリ:環境
お盆の帰省ラッシュに例の1000円均一格安サービスが重なって、高速道路はどこもかしこも大渋滞だ。今朝6時のニュースでいきなり、東北道の本宮を先頭に数十キロの渋滞が報じられたのには驚いた。こうして自動車交通が増えた一方で、当然のことながら他の公共交通機関の需要は急減している。ことに零細なフェリーなどは経営破綻に直面、減便で済めばまだしも、会社の消滅で航路自体がなくなる可能性すらある。かくして交通起源のCO2排出も大幅に増えたことは想像に難くない。 これは1000円均一の実施前から予想されていたことだ。だから、コジローらを含め地球温暖化対策に取り組む環境団体はこぞって、この無謀な施策を厳しく批判してきた。ところが1000円均一でもこの騒ぎだというのに、民主党は政権を取った暁には高速道路をすべて無料にするという。しかも例のガソリン等にかかる暫定税率を廃止して自動車の燃料費も大幅に下げるとか。環境負荷の少ない公共交通への打撃は計り知れず、CO2の排出増も半端では済まないだろうコトは容易に想像がつく。 麻生総理は「低炭素革命」を唱えながら1000円均一を導入した。民主党は2020年の温暖化ガス削減中期目標で1990年比マイナス25%の積極的な数値を掲げる一方でこの体たらくだ。どっちもどっちでいずれも支離滅裂だ。低炭素社会に向かう国の根本に関わる政策がこんなにハチャメチャというか、整合性がなくていいのか。要するにどちらも、「安けりゃりゃなんでもいい」という層の票が欲しいだけなのだろう。絵に描いたようなポピュリズム(大衆迎合主義)ではないか。同じ伝でゆけば、低炭素革命も25%削減も口先だけってことだ。バカにするなと言いたい。 と、憤懣やるかたない環境団体は連名で「高速道路無料化・自動車関連諸税の暫定税率廃止に反対します」という共同声明を発表した。もちろんわが「わかやま環境ネットワーク」も名を連ねている。また一昨日には、環境自治体会議環境政策研究所が「高速道路無料化・暫定税率廃止に起因する環境・社会影響」についての検証ペーパーを発表した。 利用可能なデータの制約から、主な都市間の比較的長距離の交通に絞った控えめな試算だが、それでも鉄道の利用者が 36% 減、バスは 43% 減という恐ろしい数字がはじき出されている。その結果、CO2は少なくとも年間 980万トン増加、1990年の全排出量の 0.86% に相当する分を押し上げることになるという。さらに、この試算では考慮しなかった高速道路交通の増加で派生する一般道への影響や誘発需要なども加えれば影響は数倍化するはずだ。フェリーや鉄道、バス路線は独立採算では成り立たず放置すれば壊滅必至。営利企業としての存続が不可能になっても交通弱者のために存続させようとすれば、地方自治体からの税金での支援は避けられず、アホな政府の人気取り政策は地方自治を限りなく疲弊させることになる。 1000円均一と無料化で競い合ういずれ劣らぬトホホな政治家が、それでもどっちか選べと政権選択を叫ぶ選挙は喜劇的にして限りなく悲しいが、まあ、それが今のこの国の民度の現段階なのだろう。ともあれ、共同声明と検証ペーパー、両方ともリンクしてますので、ぜひご一読を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[環境] カテゴリの最新記事
|