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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2011年06月23日
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テーマ:ニュース(99488)
カテゴリ:環境

 第177国会は昨日6月22日が会期末。しかし、菅首相の延命に手は貸せないと反対した自民党などを押し切り、8月31日まで70日間の会期延長が決まった。延長国会の焦点には公債特例法案や第2次補正予算案などもあるが、なんといっても最大の注目点は日本のエネルギー政策を大きく転換する可能性をはらむ再生可能エネルギー促進法案がどうなるかだ。

 その再生可能エネルギー促進法案。正確には「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(衆議院の閣法の51です)というのだが、先日このブログでも紹介したように、ドイツや北欧など再生可能エネルギーの普及で先行する諸国が例外なく取り入れているFITという制度を日本でも採用する法案で、その勘所は、再生可能エネルギー起源の電気を全量、一定期間、固定価格で買い取ることを電気事業者に義務づける点にある。

 現在は個々の発電事業者が、巨大な電力独占企業と売買交渉をしているのだが、電力会社側が現行法で買取義務を負う量が、再生可能エネルギーの発電可能量に比べ著しく小さく抑えられているため極端な買い手市場となっており、売り手側の再生可能エネルギーは常に安く買いたたかれて、事業が採算ベースに乗りにくい構造となっている。ヘタをすれば、先行投資して発電施設を作ったものの1ワットも買ってもらえず、のたれ死にしちゃう可能性すらあるのだ。(電力会社が買ってくれないからといって、作った電気を電力会社を通さず直接他人に配電したりすることも違法)

 だが、FITが導入されれば交渉の余地なく売買価格は明示され、しかも作っただけの電気がすべて売れるのだから、設計段階で収支のだいたいの見通しがつくことになる。確実に銀行の預金金利以上の利益が出るとわかれば、たちまち投資が殺到することになるだろう。ドイツでもスペインでもこれが再生可能エネルギーの爆発的普及の決定打となった。再生可能エネルギー普及への最大のインセンティブは実は環境意識の高さなどではなく、結局は儲かるかどうかなのだ。もちろん、正当に儲けるのは悪いことではない。

 さて、そこで現在衆議院に上程中の再生可能エネルギー促進法案なのだが、実は手放しで評価できるほど立派なものではない。まず懸念される問題点のひとつは、法案を一読すればわかるように、経産省及び経産大臣の権限があまりにも大きすぎることだ。原発中心のエネルギー政策推進本部であり、また人事や天下りで電力独占企業と馴れ合い骨がらみで癒着してその利益代弁人となってきた巨大官庁に、従来の政策の対極に位置する再生可能エネルギーの普及推進などという仕事を任せられるのか。

 例えば、「再生可能エネルギー電気」(法律では「熱」エネルギーと区別してこういう表現を使っている)の接続を電力事業者に義務づけた法案第五条には、例外的にこれを拒否できるケースとして、「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」が挙げられている。ここでいう「安定供給への支障」こそ、日照や風況など自然条件に左右されやすい再生可能エネルギーの特性から、電力独占が一定比率以上の受け入れを拒否する理由に繰り返し挙げてきた言いがかりというかイチャモンそのものなのだ。

 現に再生可能エネルギーに大きくシフトしている北欧では支障など起きず立派に安定供給できているのだから、その程度のこともできない無能な電力会社にはさっさと退場してもらって、デンマークあたりの電力企業に来てもらった方がいいと思うのだが、現下の地域独占を公認した電力事業法では無理な相談だ。で、やむを得ず我が無能な電力会社に買取りをお願いするしかないわけだが、この法案ではその無能を理由に接続を拒否された場合、売電側は泣き寝入りするしかないことになるのじゃないかと気になる。このあたりは運用上、大きな問題になるところだ。

 ということで、この法律を運用する実際の仕事は、法案第4章が定める「費用負担調整機関」が行うことになる。仕事とは、再生可能エネルギーをいくらで買い取るのか、その費用をどのようにして確保するのか、これらを電気事業者から独立して公平に判断し執行することなのだが、あらかじめこの法案では「電気事業者の利益を不当に害しない」ってしっかりタガがはめられている上に、経産省からの独立も担保されていない。つまり、経産省の息がかかった外郭団体(ってことは電気独占となあなあ関係の団体)になる可能性がきわめて高いわけだ。

 などなど、通ったからといって万々歳という法律ではないし、また発送電分離や電力自由化はまだ議論の俎上に載ったばかりで先行きは五里霧中の状態だから、この法律を最高に上手に運用してもなお効果は限定的にならざるを得ない。・・・といったことを踏まえた上でもなお、この法律は今国会で通さなくてはならない。それは、たとえ内容的には不足が目立っても、これまで原発に極端に傾斜してきたこの国のエネルギー政策を変えてゆく一里塚、敢えていえばエネルギー政策転換のメルクマール(中間指標)としての重大な意義があるからだ。

 菅首相はいささか唐突な印象を受けるほどこの法案を通すことに執着している。ご本人は以前から最大の関心事だったというが、だったらどうしてもっと早く国会で趣旨説明などをしなかったのか。そういった点では、延命策で持ち出したという批判が当たっているかもしれない。辞める前に何か置き土産を残したい個人的願望って話もある。だが、いまはまあ、・・・んなこと、どうだっていいのだ。脱原発、再生可能エネルギーへのシフトにはまだ乗り越えなければならない多くのハードルがあるが、この第1ラウンドで負けたら当分先がない。あらゆる場と機会を利用して発言し、行動し、とにかくこの法律を通そう!

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最終更新日  2011年06月23日 15時07分00秒
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