環境・平和・山・世相　コジローのあれこれ風信帖

[環境保全型農業] カテゴリの記事

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  ●有機ミカンの大敵ナガタマムシの防除を考える●

  　１３日、和歌山有機農業生産者懇話会主催の実地研修で、有田地方の有機みかん園を訪ねた。この時期に開くのは、あわよくば満開のミカンの花の甘い香りに包まれて美味しいビールのおまけ付き・・・の魂胆があってのこと。初夏の紀州のイメージはなんといっても唱歌「みかんの花咲く丘」（歌詞以下）に尽きるのであって、桜はどうだっていいが何が何でもミカンの花を見なくては・・と思ったのだったが、歌詞通り青い海ははるかに見えたものの残念ながら今年は一輪も咲いていない。農家の実感では例年に比べ２週間は遅れているという。それだけ、今年の冬は冷え込みがきつかったということだろう。 成虫　幼虫　まあ、それはいいとして、園地で実地研修だ。果樹の有機栽培は野菜や水稲に比べ相対的に技術的障壁が高いが特にミカンのような常緑果樹は難しい。それでもさすがは果樹王国和歌山県なのであって、困難な有機ミカンの栽培にチャレンジする農家も少なからずある。今回の研修は、その有機ミカン農家にとりいま最大の脅威、ミカンナガタマムシの防除をどうするかを集団的に検討することにあった。 　食害樹の状況を見ながら議論　ミカンナガタマムシは成虫で１センチほどの小さな昆虫で、老成したミカンの下部の幹に穴を開けて産卵、ふ化した幼虫は宿主の樹皮のすぐ下にある形成層を食い荒らして成長し、さなぎの時期を経て羽化したのち、樹皮に穴を開けて脱出する。一方、とりつかれたミカンの木は形成層が破壊されるため養分や水の補給が断たれて急速に枯死する。まことに困った存在なのだが、スプラサイドなどリン系の殺虫剤でほぼ１００％確実に防除できるため、慣行農法ではまったく困っていない。有機栽培農家以外のミカン農家のなかにはナガタマムシと言っても知らない人もいるほどだ。　食害痕、樹皮がボロボロになって剥がれる。　　しかし有機農業ではそうはいかない。ナガタマムシは台湾以南から侵入した外来種であるため日本の自然環境下では天敵もおらず、薬剤が使えない有機ほ場でいったん発生すれば、蔓延を防ぐためとりつかれた木を直ちに伐採して焼却する以外の対処法はないのが実情だ。だが、もっとも生産性が高くこれからが稼ぎ時の老成樹を切って、実がなるまでまだ数年を要する幼樹に次々に更新していたのでは、ミカン農家の経営は成り立たない。　この日は、県果樹園芸試験場の研究員の助言も得ながら、なにか効果的な方法がないか集団的に議論したのだが、名案はやはり出なかった。しかし、放置していては和歌山県の有機ミカン生産が壊滅する可能性さえある。加えて、恐らく地球温暖化の影響に加え耕作放棄される園地の増加もあって、亜熱帯原産のミカンナガタマムシは急速に活動領域を広げているようなのだ。いま手を打たなければ大変なことになる。　ということで、和歌山県と同県農業試験場に対し、薬剤に頼らないミカンナガタマムシ防除の手法開発を、緊急の技術研究テーマとしてもらえるよう、生産者懇話会の総意として強く要請することにした。農薬も化学肥料も使っていない生態系の豊かさに満ちた果樹園で、これから先もずっと濃厚なミカンの花の香りに包まれつつ、美味しいビールを飲み続けるために、これはがんばらなくてはいけないと思っている。  「みかんの花咲く丘」加藤省吾作詞・海沼実作曲(1) みかんの花が　咲いている　　想い出の道　丘の道　　はるかに見える　青い海　　お船が遠く　かすんでる(2) 黒い煙を　はきながら　　お船はどこへ　行くのでしょう　　波に揺られて　島のかげ　　汽笛がぼうと　鳴りました (3) 何時(いつ)か来た丘　母さんと　　一緒に眺めた　あの島よ　　今日もひとりで　見ていると　　やさしい母さん　思われる　←ランキングに参加してます。ワンクリックご協力を。@omosutakashi ←ツイッターのアカウントです、よろしければフォローしてください。

  2011年05月16日

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  ●健康と地球環境のために梅を食べよう・池田香代子さんが南高梅誕生秘話●

  　昨日、すこし梅の話を書いたところ、ちょうど折良くというか、『世界がもし１００人の村だったら』の翻訳で知られる池田香代子さんがご自身のブログで、紀州梅の最高ブランド「南高梅」（なんこううめ）誕生を巡るエピソードについて書いてくださった。地元ではよく知られている話なのだが、池田さんの練達の筆致にかかるとまたひと味違う。ぜひ読んでいただきたい。　その紀州梅も、実はいま大ピンチに直面している。長引く消費不況、中国産の安価な梅の流入、つぶれ梅の無秩序な流通など原因は複層的だが、やはり決定的なのは消費減。米飯あっての梅干しなのであって、食が洋風化すれば必然的に梅の消費量は減る。そこへ一知半解の減塩ブームが追い打ちを掛けて、消費減に歯止めがかからない。梅干しが長持ちするのも善し悪しで、昨年までに貯まった在庫が１年分の需要をまかなえるほどあり、今年も販売に苦戦することは必至の情勢なのだ。　梅の機能性、つまり血流を正常化するなど健康への大きな貢献はすでに実証されて久しい。ことに昨夏の記録破りの猛暑の実体験を通じ、熱中症の予防に効果があることも改めて注目されている。さらに、梅と米の消費拡大は一体。梅が食べられれば米の消費も拡大する道理で、迫り来る食糧危機を前に自給率向上に役立つし、フードマイレージを節約して地球温暖化対策としても効果がある理屈。日本食はヘルシーだしダイエットにもいいって話だぞ。・・・ということで、まあ、紀州産には必ずしもこだわらないのだけれど、皆さん、梅を食べて健康と地球環境を守ろう！　←ランキングに参加してます。ワンクリックご協力を。

  2011年02月22日

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  ●生物多様性条約と「生きものマーク農産物」●

  　鳩山さん周辺では、またもや…というべきか、高速道路料金の取り扱いを巡っての内紛が露呈。コジローとしては、鳩山さんが、「虚（うつ）け者」を演じて取り巻く敵対勢力の油断を招き、後に天下を取った織田信長よろしく、いまは宇宙人というか無能暗愚を演じつつ、五月末に普天間基地の代替基地なしの無条件返還を主張するどんでん返しを期待しているのだが、大丈夫かなあ…　といった話はまあ、別の機会に書くとして、以下は「わかやま環境ネットワーク」の機関誌「ういねっと」に書いた一文。日本政府のCOP１０議長も大丈夫かなあ…といった話題だ。【以下、転載】　農林水産省の政策研究所は４月９日、「生物多様性保全に配慮した農産物（米）生産の高付加価値化に関する研究」の結果を公表した。兵庫県豊岡市の「コウノトリ米」などがよく知られているが、農業を通じ生物多様性を守り育てることに貢献する農産物を「生きものマーク農産物」と呼んで、全国で事例調査を行ったわけだ。その結果、「生きものマーク農産物」は全国で３７事例が確認されたという。　いわく「めだかのお米」「ヒシクイ米」「フクロウ米」「どじょう米」「ハッチョウトンボ米」などなど、「ツシマヤマネコ米」もあれば「かんむりわし米」もあるといった具合だ。もちろん、こうしたブランド名で売り出すからには、名を取った生きものの保全に配慮した栽培方法が選択されている。農薬や化学肥料の使用抑制をはじめ、冬期湛水いわゆる「冬水田んぼ」や不耕起栽培、アイガモ除草、中干し延期などが代表的なところだ。 　よく言われることだが、日本の生態系は、温暖多雨な気候条件と南北に長い列島の地理条件が育んだ原生自然と、農業をはじめとする人間からの様々な働きかけを通じて作り出されてきた里地里山の二次的な自然とで特徴付けられる。原生自然の方はまあ極端な話、人間が手を触れさえしなければ損なわれることはないが、二次自然の方は実に微妙で、人間がヘタに手を入れても逆に手を入れ足りなくても衰弱してしまう。 　だが里地里山では戦後、一貫してまさにその通りのことが行われた。生産性向上のかけ声のもとに農薬という名の毒物や化学肥料が生態系に投入され、水路や畔をセメントで固めて生きものの生存基盤を奪う圃場整備が強力に推し進められたが、それが農家の所得向上に結びつくことはなく、やがて地域農業の衰退と歩調を合わせてメダカやゲンゴロウやトノサマガエルなど、かつてはありふれた生きものたちが絶滅の危機に瀕するに至った。日本の絶滅危惧種のうち動物で約５割、植物で約６割が里地里山の生物だ。これらの生きものを絶滅から救うには、環境に調和した農業を復活させ広げる以外ない。　ところで、先の研究テーマに「高付加価値化」とあるのは、要するにその「生きものマーク農産物」が果たしてどの程度有利販売できているかということで、いささか生臭い話になってしまうのだが、農家は里山保全のボランティアではない。農薬や化学肥料を使わないことによる収量減や、労働強化を補うだけの収入がなければ、環境に調和した農業を持続的に営むことはできないのだから、たしかに高く売れるに越したことはない。　といった次第であるので、この研究は「生きものマーク農産物」に何円くらいなら追加して支払うかといった消費者への意識調査結果も示した上で、生産から販路までの戦略的取り組みや栽培上の差別化、消費者への効果的な広報等が必要と結論づけるのだ。ん～、まあそれも否定はしないのだけれど、国民の大切な共有財産であり日本人が心に描く懐かしいふるさとの原風景でもある里地里山の保全ですら、農家の「自己責任」で何とかしろと言うのだなあ、この国は…　ちなみにＥＵや韓国などではかなり以前から、個々の農地における生態系の豊かさに比例した「環境直接支払い」が導入され、それが環境に調和した農業を営むことによる減収をカバーし、耕作放棄を防ぐ施策として立派に機能している。　周知のように、今年１０月には生物多様性条約第１０回締約国会議いわゆるＣＯＰ１０が名古屋で開催される。日本は議長国というわけだが、絶滅危惧種の最後の砦を守るのも疲弊した農家の「高付加価値販売」にお任せなんてお寒い対応で議長が務まるのか。隗よりはじめよ。世界をまとめるのも大事だが、その前にまず身近なところから打つべき手は打つべきではないのか。　　←ランキングに参加してます。ワンクリックご協力を。

  2010年04月23日

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  ●市場経済超克するテイケイ的有機農業運動が世界を救う●

  　昨夜は本業のＮＰＯ和歌山有機認証協会の１１回目の通常総会。地方紙の記者を辞めてあれこれ自分にできることを考え、迫り来る地球規模の破局に備えて食料とエネルギーの地域自給をめざし、まずズブの素人でも和歌山の農業振興に貢献できることをと、このＮＰＯの設立総会にこぎ着けたのが２０００年１月２４日。それから１０年と１ヵ月が経過したことになる。この１０年をかけて、どれほど目標に近づけたかの評価は別として、ともあれ挫折せずよく続いたものだとは思う。まあ、石の上にだって三年なのだ。主催者を代表して挨拶する金子美登全国有機農業推進協議会理事長。金子さんが取り組む有機農業の到達点は、ＮＨＫ・ＴＶ、『プロフェッショナル・仕事の流儀』第１３２回に「命の農場で、土に生きる」のタイトルを付して１月５日に放映された。 　さて、その有機農業についての話題なのだが、この週末は神戸で開かれた、「地域が支える食と農・神戸大会＝農こそコミュニティ＆産消提携国際シンポジウム 」に参加してきた。海外１５カ国からの代表を含め８００人の有機農業関係者が一堂に集い、びっしり二日間にわたり次々に登壇した２０人以上の農業者や研究者、市民活動家が熱弁をふるう、これ以上ない中身の濃いイベントだった。テーマは提携。つまり生産者と消費者がどのような関係で繋がりあうかだ。　少し補足すると、有機農業の先進地である欧米では、土壌の生産力劣化や地下水汚染への対策といった環境視点から、汚染源となる農薬や化学肥料を使用しない有機農業が注目され、環境志向の高い消費者に市場流通で支持され発展してきた歴史がある。一方日本では、高度成長のひずみとして頻発した数々の恐ろしい公害被害や、さらには母乳の農薬汚染という悲劇的な人体の危機を意識した消費者が、「安全な食料」を求める活動の中で有機農法と出会い、その農産物を買い支えることで有機農業を育ててきた。　つまり、欧米ではオープンな市場が、日本ではクローズな生産者と消費者の「顔の見える関係＝産消提携」が有機農業の母胎となってきたわけだが、日本のこの生産者と消費者との泥臭くも血の通った連帯は有機農業理想の姿として世界に影響を与え、いまや「テイケイ」は有機農業運動の世界では「ツナミ」と同様の国際語となって、欧米モデルのＣＳＡ（Commyunity Supported Agriculture＝共同体が支援する農業）や途上国モデルの参加型認証プログラム（ＰＧＳ）など様々な連携のタイプを生み出しつつ、今や市場流通に支配されない有機農業運動の発展方向として、多くの国々で爆発的に広がり始めている。　詳細を述べる余裕はないが、ひとことで言えば提携とは市場流通に対するオルタナティブにほかならない。地球温暖化も経済危機も飢餓も貧困も戦争も突き詰めればその原因は資本主義的市場経済にあり、これを超克する以外に人類に生存の道はない。提携の最大のポイントは、自然の生命循環から命の糧である食料を永続的に獲得する営みを共同体全体の仕事とし、それに専任してくれる農業者の生活費をいわば工場やオフィスに出稼ぎに行っている者たちが拠出し、農業者が自然から獲得してきてくれた成果物を共同体全体に分配するシステムにある。　すでにお気づきだろうが、ここには食料を売買するという行為はない。確かにお金は動いているのだが、それはかけがえのない共同体、人間同士の豊かで有機的な絆を維持するための拠出であり、食料という「商品」の代価ではない。かくして、人々を資本の奴隷にしてやまない市場経済の地獄の輪廻からの脱出、競争と差別排除の論理から共生と互助の人間が本来あるべき世界を目指すのが提携の本質であり、それは単なる産直や契約栽培とは似て非なるものなのだ。　シンポジウムでは、こうして誕生した新しいコミュニティで生起している感動的な事例が世界中から報告された。胎動は始まったばかりだが、そこからは市場経済を乗り越えた世界の素朴ではあるが骨格のはっきりした設計図が見て取れる。市場が人間に強いた競争原理は共存の原理へと置き換えられねばならない。テイケイに基づく有機農業運動は確実にその裾野を広げてゆくだろう。…でなければ、人類は醜悪な市場経済と心中するほかないからだ。　←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を

  2010年02月25日

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  ●那賀地方で３０人が水稲の有機栽培に意欲●

  　今日は有機農法による水稲栽培の学習会。紀ノ川中流域の和歌山県那賀地方で有機農業の普及に取り組んでいる協議会が、「有機農業モデルタウン事業」の一環として開いた。同事業は国会で全会一致採択された有機農業推進法に基づき具体化された５年事業だったが、例の茶番的事業仕分けで廃止判定を受け、２年目の今年度末で消滅する。　机上の空論で頭ごなしに仕分ける方は、パフォーマンスが終われば一丁上がりかもしれないが、どんなアホな理屈でも目がテンになる決定でもお上はお上であって、予算の切れ目はすなわち事業の切れ目で、振り回されるシモジモは後始末が大変だ。今日の学習会はその残った予算で実施したイベントの一つだった。　ともあれ、会場の那賀県事務所には米栽培農家を中心に実に９０人が参加。水稲の有機栽培に詳しい（財）自然農法国際研究開発センター京都農場長の松實能文さんから、秋の耕起に始まり播種から土作り、有害動植物防除、水管理、収穫から貯蔵までに至る一連の水稲栽培に関わる、有機農業ならではの作業ポイントについての講義を受けた後、熱心に質疑を交わした。　さらに、いったん学習会を終えてから、実際に来シーズンから米の有機栽培に挑戦する意志を有する人たちの相談会を開き約３０人が参加。まず今するべき作業や当地の気候条件に適した品種について話し合い、また有機ＪＡＳ認定を取得するために今から準備しておくべきことなどを聞いた上、これから農作業の節目節目で集まり、相談する機会を設けることを確認して解散した。　当地では昨年、この有機農業モデルタウン事業の一環として５人の農家で共同で実施した、水稲の裏作でのタマネギ有機栽培についての技術実証が見事に成功している。同じほ場で表の水稲も有機栽培に転換できればＪＡＳ認証の取得も視野に入ってくるわけで、もしそれがこの人数で一気に実現できれば地域に大きな有機農業の風を吹かせることができるだろう。 　有機農業への転換は大きなリスクを伴う。今回取り組む水稲の有機栽培が成功する保証もないが、それでもその困難にチャレンジしようとする人たちは確実に、そして急速に増えている。それこそがモデルタウン事業２年の成果ではないか。というわけで、今更いうのも面倒くさいのだけれど、東京でパフォーマンスを演じる仕分け人なる連中の近視眼的浅はかさが、あらためてよくわかるのだ、田舎の現場のコジローには。　←ランキングに参加してます。ワンクリックご協力を。

  2010年01月26日

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  ●タニシが頼りの水稲有機栽培・生物多様性について●

  　今夜の対オリックス戦は４－３で東北楽天イーグルスが逃げ切り、リーグ２位を確定した。ソフトバンク相手のクライマックスシリーズ第１ラウンドは楽天のホーム仙台で戦われることになる。開幕前の下馬評からみれば大飛躍で文句のつけようがないがファン心理とは厚かましいもので、こうなれば仙台はもちろん、札幌でも勝って日本シリーズに駒を進めて欲しいと思う。　さて、今日は生物多様性の話題。まず９月上旬に書いていた文章から転載する。あ、そうそう、オバマのノーベル平和賞受賞のニュースにはビックリしたが、これについてはまた書く。【以下転載】　和歌山県内の振興局ごとに通年連続で開かれている環境保全型農業のオープンセミナー（現地見学型の意見交換会）。今回は和歌山市を含む海草振興局の番で、コジローにも古くからつきあいのある有機農家グループの圃場を訪ねるというので、久方ぶりに現段階の技術的到達点を見てこようと参加してきた。　訪ねたのは和歌山市内東部の田園。市街化調整区域のはずだが虫食い状に宅地化が進み、新興住宅と田んぼが混在した中にあって、厳格なＪＡＳ規格に適合するほどの有機性維持には、家庭雑排水等による汚染リスクが問題になりそうなところだ。　長らく有機農業を営んできたＹさんは、この地域に借地も含め２ヘクタール近い規模で、水稲の有機栽培に取り組んでいる。技術のポイントは抑草効果も兼ねてのボカシ堆肥の施用、長苗と深水管理を組み合わせたジャンボタニシ利用など。栽培品種は「新世紀」で反収は７俵（４２０ｋｇ）ほど。　施肥をさらに強化すれば９俵を超えて慣行栽培並みに収穫できるが、病気と害虫を呼ぶ恐れもあるので欲張らず、栄養不足気味での栽培を心がけている。農薬を使わない有機栽培では、病気や害虫が一度発生すれば対処のしようがなく、全滅の可能性もあるからだ。Ｙさんは「やっぱりなんでも腹八分目が一番ですわ」と話しておられた。　ジャンボタニシは南米原産の巨大な淡水巻貝で、正式名称はスクミリンゴガイ。元は食用にしようと日本（長崎県と我が和歌山県だ）に移入したのだが寄生虫の宿主であることが判明して食用を断念、養殖場から野外に遺棄されて日本の里地里山生態系に割り込んで定着した。もう、最後まで責任持てよ！といいたい。ともあれちょうど今頃、繁殖地の田んぼや水路では、毒々しいピンクの卵塊を無数に見かける。　ジャンボタニシ（スクミリンゴガイ）　ジャンボタニシの卵塊　ジャンボタニシについては全国で稲の食害が報告されており、農林水産省は植物防疫法有害動物に指定、環境省の要注意外来生物種リストにも登録されていることから、賞金を出して駆除している自治体も少なくない。田植えを待ちかねたように大発生し、旺盛な食欲で植えたばかりの苗を食べてしまうのだからたまったものではない。ひどい場合は、３割以上の減収になるという。　だが、時代劇に出てくるような悪代官であれ、宮沢賢治が「オロオロ歩く」と表現したような干ばつや冷害であれ、長年こんな悪逆非道に耐えて生き抜いてきた百姓がジャンボタニシ程度で参るわけはない。駆除できぬのならいっそのこと…と、今はジャンボタニシ農法なんてのもあるのだ。タニシの食用にならないほどの長苗にして田植えをし深水を張れば、発生したジャンボタニシは水中で芽吹く雑草以外に食べるものがなくなって、除草剤代わりにせっせと日夜働いてくれるという理屈、これが結構うまくいっている。　とはいえ、こうして人間様の食料生産への悪影響は回避できたとしても、ジャンボタニシの進入で攪乱され破壊された田んぼの生態系はもう元へは戻らない。タニシに田んぼから駆逐された生きものたちはいま、どこで、どう暮らしているのだろう？　もしかして絶滅してはいないか…　人間は本当に罪深いと思う。【転載以上】　…といった問題意識を深め、対策を論じ合う「生物多様性条約第１０回締約国会議」（ＣＯＰ１０）が、今日からちょうど１年後の２０１０年１０月１１日～２９日の約３週間、名古屋で開催される。一過性のお祭り騒ぎに堕させず、この地球上の全生命の生存権を認め、それを守り抜く方策で世界が合意する機会にしたい。　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2009年10月09日

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  ●「緑の革命」で飢餓は克服されたか・ノーベル平和賞ボーローグ氏逝く●

  　昨日の楽天イーグルスは、延長１０回を戦って一点差負け。二位ホークスとの差は１．５ゲームに開いた。決勝点を打たれた小山は攻められないが、 ん～、同点で９回裏一死満塁、三塁ランナーは俊足聖澤だったのだから、外野にさえ飛ばせばサヨナラの場面でセギノールなあ、ボールがさっぱり前に飛ばず結局最悪のダブルプレーで万事休すだ。　はあ…疲れたあ。(^^;)　といった愚痴はまあおいといて、一筆啓上。　少し時機を逸した話題になるかもしれないが、今月１３日、「緑の革命」を指導し、アジアの数億人を飢餓から救ったとしてノーベル平和賞を受賞した米国の農学者ノーマン・ボーローグ氏が、９５歳で亡くなった。　ボーローグ氏の科学への誠実さ、あくまで現場にこだわる実証的な研究姿勢、対人関係での謙虚さなどについてはあまたのエピソードが残されている。氏が真剣に途上国の人々を襲う飢餓に心を痛め、私心なくその解決のために献身しようとしていたことは恐らく間違いないと思う。３年前に高齢をおして来日した際の講演で、「貧困と飢餓の撲滅のために闘おう」と呼びかけた老科学者の渾身の訴えは聴く者を激しく揺さぶった。　「緑の革命」とは、１９５０年から７０年にかけ主としてアジアや中南米で展開された一連の農業技術開発を指す。具体的には何よりもまず小麦や米など主要穀物での多収品種の開発、次いでこの「奇跡の種子」の栽培に不可欠な化学肥料や農薬の導入、さらには地上水ならびに地下水による大規模灌漑、機械化等々だ。　これにより飢えに苦しんでいたインドやメキシコなど途上国の穀物生産は飛躍的に増大。この革命をリードした功績により、ボーローグ氏は「歴史上の誰よりも多く人命を救った人物」としてノーベル平和賞を受賞するに至る。ノーベル平和賞といえば、あの佐藤栄作元首相も受賞…ということで、まあ、何かと物議もあるのだが、ボーローグ氏ほどこの賞にふさわしい人はそうはなかっただろう。　だが、その晩年、「緑の革命」はこうした賞賛とは正反対の厳しい批判を受けることになる。おそらく、最も全面的で体系的な批判を展開しているのはインドの女性思想家バンダナ・シバ氏だろう。氏の報告は著書『緑の革命とその暴力』（日本経済評論社）で詳細に紹介されているので参照されたいが、要するに、「緑の革命」は「奇跡の種子」を売る種苗会社、農薬や化学肥料を販売するメーカーや商社による農家農村の支配を生み、生み出された余剰農産物は穀物メジャーや途上国側買弁資本による農地の暴力的収奪を呼んで農家農村の農奴化貧困化を招き、また農薬や化学肥料の投入は農地の生態系を破壊し、灌漑は地下からの塩害を呼んで広大な耕地を不毛の荒野に変え、かくして地域の伝統的で持続的な暮らし方や農村の自給力は根底から破壊されたというのだ。　ボーローグ氏は生前、「緑の革命」を居心地のよい書斎から批判する西欧のインテリ環境活動家に対し、「彼らは空腹の苦しみを味わったことがない」「もし彼らがたった１ヵ月でも途上国の悲惨さの中で生活すれば（それは私が５０年以上も行ってきたのだが）、彼らはトラクター、肥料そして潅漑水路が必要だと叫ぶであろうし、故国の上流社会のエリートがこれらを否定しようとしていることに激怒するであろう」と述べて、激しくそれに反論した。　だが、インド人であるシバ氏による「緑の革命」の現場からの生々しくもつぶさなレポートは疑いなく真実だろう。飢餓との闘争を戦ったつもりのボーローグ氏にしてみれば、思いもよらない結果だったかもしれない。グローバリゼーションが世界を席巻するに及び飢餓人口は年々増え続けて今や実に１０億人を超え、毎日３万人の子どもたちが餓死している。では「緑の革命」とはいったい何だったのか。先に紹介した反論の言葉からも、憤懣やり方ないボーローグ氏の無念の思いが伝わってくるような気がする。　ボーローグ氏の不幸は、氏が貧困と飢餓に挑むためになした命がけの科学的業績を、金儲けの絶好の機会ととらえる資本とグローバリズムの本性に、氏があまりに無邪気であったことに起因するだろう。ちなみに氏のグループの研究資金はロックフェラー財団から出ていた。研究の出資者にその成果の配当を要求する権利は当然ある。　シバ氏はいま、新自由主義やグローバリズムとの戦いに全力を挙げている。ことに食糧自給面でのグローバリズムとの闘争でいま最も熱い焦点は、遺伝子組み換え作物の商業栽培を許すかどうかだ。遺伝子組み換え作物の開発に従事する科学者のなかには、真剣に将来の人口爆発や地球温暖化に備えるために必要と信じている人もいることを知っている。だが、科学の蛸壺にこもって社会への視野を持つことを怠れば、資本に都合よく利用されるだけに終わる恐れがあることを、ボーローグ氏の嘆きは教えている。　資本の論理が貫徹するグローバリズムの世界において、無知なる善意は何の解決にもなりはしない。不幸なことだが…　　にも関わらず偉大な、ノーマン・ボーローグ氏のヒューマニズムと誠意に合掌。　←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を

  2009年09月30日

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  ●有機農業技術研修・小祝政明さんのレクチャー●

  　また更新できていないし、今夜からは山に行くので、とりあえず写真だけでも…　今日は、丸一日かけて、ジャパンバイオファーム代表の小祝政明さんのレクチャーを受けました。コジローが事務局長を務める那賀地方有機農業推進協議会のイベントで、小祝さんのレクチャーは昨年から３回目。もう家庭教師状態で教えてもらっているわけですが、その科学的な解説に今回も深く納得。８０人の参加者も大満足だったと思います。　小祝さんのレクチャー、まずは基本的な理屈から。元素記号がふんだんに出てきますので、化学が嫌いだった方にはちょっとしんどいかも。　続いて、ドクターソイルというキットを使っての土壌分析の実演。　最後に、先ほど分析した土を採取した圃場に出向いて、土壌分析で得たデータに基づく生育状況の水推理が、どれほど現実を反映しているか確認。見事に当たってました。　ということで、コジローはこれから北アルプスの針木岳に向かいます。でも、雨だよなあ…　ではまた。(^_^)/~　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2009年07月17日

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  ●豪雨の田辺での水死事故は亡国農政の帰結●

  　いま（８日朝８時半）は小康状態で降っていませんが、和歌山県地方は昨日未明から梅雨前線の影響で断続的に強い雨が降っています。局地的な豪雨に見舞われた田辺市では、田んぼの様子を見にいった男性が、折からの豪雨で増水した濁流に流されて亡くなりました。　こんなニュース、大雨のたび、ときどきありますよね。犠牲者はたいがい高齢者です。で、そんな大雨の時に、年寄りがわざわざ危ないところに近づかなくても…と、町の人は思われるのではないでしょうか。　でも、農家にとって水の管理は生命線です。増水した川と農業用水路の間に設けた堰や水門を、水量に応じ管理調節するのは昔から農家や農村共同体の仕事です。これを適切にしないと堰や水門は壊れてしまいますが、誰も代わってやってはくれません。　一方、食えない農業には跡継ぎがない。子どもたちは皆、食うために遠くの町へ出て行ってしまい、農業の主たる従事者の平均年齢はすでに６５歳を超えました。従って、足下の覚束ない年寄りであっても、大雨が降るたびに危険な川に行かざるを得ず、そこで、こうした悲劇が全国の疲弊した農村でたびたび起きているのです。　今回田辺で亡くなった方は６４歳。ですから今の農村では若手の部類です。お仕事は「電気工事業」と新聞記事にありました。つまり、農業専業では食べていけなかったということですね。ご存じですか、いま私たち日本人の主食を作ってくださる稲作農家の時給はたった１７９円！　日本で最も大きなワーキングプア集団は実は稲作農家なのです。　渾身からの怒りを込めて書きたいと思いますが、昨日、田辺で亡くなった方は、間違いなく売国的で貧困なこの国の新自由主義的亡国農政の犠牲者なのです。　合掌　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2009年07月08日

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  ●地域の食料自給力向上へ・農ある暮らしプロジェクト始動●

  　またご無沙汰です。先週の金曜日から出張で横浜に行っていました。用務は全国の地球温暖化防止活動推進センターでつくる連絡組織の定時総会への出席。この長い名前のセンターは、法律に基づき主として民生部門（産業部門を除くという意味…かな？）における温暖化防止活動の推進拠点として各地域に設立されるもの（都道府県では鳥取と徳島のみ未設置）。昨年の法改正により政令市などにも設置できるようになったことから、今回の総会には、近く設置を予定する地元横浜市のほか、川崎市、静岡市、浜松市、さいたま市なども出席しておられました。　わがＮＰＯわかやま環境ネットワークは和歌山県のセンターとして県知事による指定を受けているわけですが、我々のような純然たる市民運動生まれのＮＰＯが指定されるケースは必ずしも多数派ではありません。行政機関の環境関係の外郭団体や財団、半官半民的なＮＧＯが指定される都道府県も多く、おのずと我々貧乏ＮＰＯとは問題意識も解決すべき課題も異なるため話が通じにくい面もありますが、ともあれ共通する利害というのはありますので、こうして集まり、国に対する要望をまとめたりしているわけです。　松沢成文神奈川県知事のウエルカムスピーチ。政治的にはよく知りませんが、同県の「クールネッサンス」と命名した温暖化防止活動の紹介は、とても分かりやすかったです。　二日間を要したこの会議の話題は、あまり一般的ではないので割愛するとして、これを機に横浜港開港１５０年祭を開催中の「みなとみらい２１地区」や中華街をウロウロ、するとたまたま通りかかった横浜スタジアムで試合が開催されていたので横浜ベイスターズＶＳ広島カープの試合を観戦し、さらに会議終了後に鎌倉と湘南、それから箱根を忙しく回って日曜日の夜に和歌山に帰ってきました。まあ、休暇といえば山に入りびたるしか能がない身には、こんな機会でもなければ行かないところばかりですから、これはこれでよかったのですが、まあ、どこもかしこも呆れるくらい人と車でいっぱい。筋金入りの田舎モノは、まあ首都圏で遊ぶのは大変だなあと思ったことでした。みなとみらい21地区、大桟橋から低いアングルでランドマークタワーなど摩天楼群を臨む　それはそうと、今日６日の毎日新聞夕刊に「和歌山が100%を達成」と見出しを打った面白い記事が出ていた。「データで診る関西」というシリーズで、今回取り上げたのは都道府県別の食料自給率。紹介しているのは２種類のデータで、国の自給率を４０％などと言うときに採用されるオリジナルカロリーベースの計算では、100%を超える（といえば要するに食料自給を達成）のは北海道の198%を筆頭に秋田と青森など６道県しかない。かたや東京は１%、大阪は２%、神奈川は３%と惨憺たるモノだが、農業県の和歌山も30%と全国平均に及ばない。カロリーベースでは、米の自給能力がモノをいう。山がちな和歌山は水田とする耕地に恵まれず、米を自給できないことが平均以下に甘んじている理由だ。　ところが、各都道府県で生産された食料の生産額を食料消費額で割算して算出する生産額ベースの自給率となると、全国平均の66%に対し和歌山は108%で関西ではただ一県だけ自給を達成、知事のＣＭ効果もあってか高価な地鶏肉を売りまくるトップ宮崎の246%には遠く及ばないが、畜産品に比べれば遙かに安価な果物で勝負している割には、なかなか健闘していると評価していいだろう。ちなみにこの指標でみても東京は４４%、大阪は５%に過ぎない。オリンピックなどを夢想するより、ここはイザというときの安全保障として、もう少し地に足をつけ地域の食料自給率を高めることを考えた方がいいのではないか。　ま、和歌山だって大同小異だ、他人ごとではない。それで、この間の活動で広がった農と食を軸とするつながりを活かし、やる気のある消費者への遊休農地斡旋、こうして誕生する日曜百姓たちの栽培技術を高める研修や交流機会の提供、そして百姓までは無理だが少しでも農に触れたいという人のために農家と直結する地産地消リンクの構築など、３つの柱の活動を内容とする「農ある暮らしプロジェクト」を、和歌山市を中心に立ち上げることにして、賛同者を募る呼びかけを始めた。　幸い、事前に折衝した感触では、和歌山市ほか行政機関の協力も得られそうだ。まあ、前途は遼遠だが、とにかく足を踏み出すことに意義がある。…なのではあるけれど、ん～、悪いクセというか、この忙しいのに、また余計なことに手を出したかもだなあ…(^_^;)　　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2009年07月06日

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  ●環境保全型農業・旬のブルーベリーは旨いぞ●

  　一昨日、和歌山県有田地方で開かれた環境保全型農業の技術研修に行ってきました。コジローの職場「ＮＰＯ和歌山有機認証協会」も一員である和歌山県環境保全型農業推進協議会（事務局＝和歌山県農林水産部）が、昨年に引き続き県内７つの振興局ごとに開く技術研修会の今年度最初のセミナーで、今回のテーマはブルーベリーの病害虫防除と施肥管理でした。ブルーベリー園、2年生の苗木を定植後3年目とのこと。野鳥による食害を防ぐため2cmメッシュのネットを張っている。あいにくの雨だったが、生産者や県の農業技術者ら60人弱が集まった。暖地向きのラビットアイ系品種。旬は7月頃で、小粒の実はまだ堅い。こちらは旬を迎えた寒地向きで大粒のハイブッシュ系品種。生産者は、温暖な和歌山では寒冷紗をかけて日光を遮るなど、栽培にひと工夫必要と話しておられた。　…が、まあ、それはちょっとおいといて、この枝取りの新鮮な甘さ！　株間を歩きながらつまんだら止まらなくなってしまった。(^_^)v　本当にクセになりそうな美味しさで、これを直接消費者に届けられたら、どれほど大きな支持を得られるだろうかと思う。　ついでの話だが、フードマイレージが話題になるときに、よくやり玉に挙げられるのが米国から空輸されるブルーベリーだ。ちなみに、この空輸で排出される二酸化炭素、１パックたった200gのブルーベリーにつき2800g、なんと自重の14倍のＣＯ２を出しているわけで、これは単純換算で平均的な乗用車が１２km走って出すＣＯ２にほぼ等しい。　往復１２kmの通勤を車から自転車に代えるのは体力面でかなりつらく、これでダイエットするんだ！なんてことでもなければ相当な決意を要すると思うが、ブルーベリーを買うときに米国産ではなく和歌山県産(^_^)vをご選択いただければ、それに匹敵する環境貢献ができるわけだ。ということで、今後とも、果樹王国、和歌山県産の農産物を、ごひいきに。m(_ _)m　　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を 

  2009年06月12日

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  ●有機農業の長期技術研修に５０人●

  　これまた書きそびれて報告が遅くなったが、コジローにとっては結構大きな出来事。コジローが事務局長を務める那賀地方有機農業推進協議会は３日、有機農業への新規参入者を増やすことを目的に実施する技術研修のスタートを切った。　一昨年１２月に成立した画期的な「有機農業の推進に関する法律」に基づく国の地域指定をうけて、和歌山県内の有機農業関係者らは行政機関やＪＡの支援協力のもとに、紀ノ川中流域に当たる和歌山県那賀地方を拠点として、５年計画で有機農業のモデルタウンづくり事業を行おうとしている。先日の先進地視察もこの事業の一環だったわけだが、同事業の最大の眼目は、なんといっても有機農業に取り組む人を増やすことだ。肝心の有機農業者がいなくては、モデルタウンどころではない。　というわけで、同事業の実施主体である那賀推進協議会は、協議会の構成メンバーで指導援助が可能な、タマネギ露地栽培、果菜（トマトやナス）施設栽培、葉物野菜、果樹（キーウイフルーツ）の４品目に絞って、長期の有機栽培技術の研修を行うことになり、マスコミ等を通じて受講生を募集、３日はその最初の顔合わせだったわけだ。　応募があった受講生は総勢５４人。平日の昼間に那賀県事務所で開かれたこの集まりに、そのうちの４７人が出席する熱心さだった。応募はせいぜい２０人まで、と踏んでいた主催者側にはうれしい誤算で、有機農業への関心の高さが示された恰好だ。年齢は２０代から７０代まで。プロの農家もおられれば、これから就農を志す青年、家庭菜園を楽しむ方、定年帰農にいそしむ方も、これからそれを目指す方もおられる。　この日は、簡単なセレモニーの後、まずコジローが「有機農業…その概念と制度」について簡単に講演、その後、有機農家が、施設栽培のトマトを例に有機栽培の実際を紹介し、さらにこれから技術研修の「師匠」になる４農家が、自ら取り組む有機農業の実際やそれにかける思いを語った。これを受けて、受講生は栽培したい品目ごと「師匠」の元に集まって今後の研修日程を調整するとともに、それぞれのグループごと連絡係としての世話役を選んで散会した。　「師匠」を囲んで最初の打ち合わせ 　研修の成否は今後に係っているが、とりあえずモデルタウンづくりに向け、最も重要な最初の一歩は踏み出せたと思っている。有機農業は単なる栽培技術ではなく、それに取り組む人間の思想、生き方、世界観であり、そうした人間を取り巻く地域社会に新たな関係性を建設する可能性を秘めた取り組みであるからだ。たとえ、受講生のうち有機農業のプロになる人はそう多くなくとも、５４人の受講生と「師匠」との間で始まる新たな人間的交流が、何か新しい変化を創り出すに違いないと期待している。←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2008年09月08日

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  ●農業は「脳業」だ・西出隆一さん驚異の土壌学●

  　例によってまた「ビンボーヒマなし」の日々が続き、書きそびれている内に時間だけが経過してしまった。で、忘れないうちに西出隆一さんの話。　西出隆一さんは1936年生まれの72歳。東京大学農学部を卒業後、「超一流の百姓」をめざし石川県穴水町の山中の開拓地に入植、現在に至るまで半世紀にわたり数十種類の農作物を栽培してきた。今は有機でのキュウリとトマトのハウス栽培が中心。土づくりの達人として知られ、その長年の実践経験に裏打ちされた卓越した総合理論と技術の信奉者たちが「西出会」と称する団体を組織しており、氏が提唱する「微生物有機一の字農法」の習得に切磋琢磨している。　和歌山との関わりは、今年４月、コジローが事務局長を務める那賀地方有機農業推進協議会の中核団体である紀の川市環境保全型農業グループ（１２０農家で構成）の定時総会で、氏を記念講演に招いたことがきっかけだ。この際に氏は同グループの土づくりのデータを読み、また実際に圃場や農産物を見て回った結果、「環境悪化型農業の典型」と容赦なくこきおろすに至った。　和歌山での講演後に出版された西出会の機関誌にも、「多忙な時に無駄な２日を過ごしたと後悔している」「（作物は）人間が食べるものにはほど遠い豚も食わないような品質のモノばかり」「とんでもないグループであり、あのような所へは二度と行きたくない」と、まあ、よほど腹に据えかねられたのだろうが、同グループを名指しでとことん痛罵するコラムを執筆しておられる。コジローはこの現場に立ち会っていないが、そのときの空気を察するだけでそら恐ろしい。(^_^;)　もとより氏の舌鋒の鋭さはつとに有名ではあったのだが、ここまでミソクソに貶（けな）されて黙っているわけにはいかない。　「そこまでいうんなら、ご自分は一体どんなに立派なモン作ってるんか、いっぺん見せてもらおうやないか…」(^^;)というのが、今回、那賀地方有機農業推進協議会が西出さん宅を視察先に選んだ動機のひとつだったことは確かだ。　で、その結果なのだが、見事な返り討ちに逢ったといっておこう。初めてコジローがお目にかかる西出さんはすでに高齢であり、身体も折れそうに細くて華奢な印象を受けるが、自ら栽培するトマトを前にいったん口を開くや、あくまで厳密な科学的裏付けを伴う言葉は確信に満ちて実に若々しくいささかの揺るぎもない。「それこの通り」と示されたハウスの土壌は、折れやすいアルミの支柱が、手で軽く押すだけで１ｍ以上深々と土にめりこんでゆくほどに柔らかく、見学者から一斉に驚きの声があがった。　西出さん(右端）のハウス 　西出隆一さんはチェーンスモーカー　だが、コジローが本当に驚愕したのはその後だ。会員たちの畑の土壌診断データを一覧表にして持参していたのだが、ハウスのそばで腰を下ろしてそれを一瞥するや西出さん、片端からその畑と収穫の状況を次々に言い当ててゆくのだ。「○○さん？○○さんはおられるかね、あんたとこは葉の色が濃いでしょう、××病が蔓延してんじゃないですか？、収量も上がってないはずや…」。　…黙って座ればピタリと当たる、なんて、まるで八卦みたいだが、タバコをふかしながらデータを一瞥して何気なく問わず語りに話すひと言ひと言が、全て例外なく、見事に、本当に完璧に、その畑の積年の悩みを次々に鋭く射抜き、さらにこれからの対策をテキパキとその場で組み立て、指示してゆくのだ。　う～む、土…とは、そういうものだったのか。目から鱗（ウロコ）が落ちるとは、このことだ。「有機栽培の基本は土作り…」なんてのは、まるで合い言葉のように言い交わされる常識だが、本当に科学的な根拠を持って理解している有機農業者は果たしてどれほどいるか。単に長年堆肥を施用すれば有機栽培の土はできると思っている人が多いのが実情ではないか。西出さんは、そうした非科学的な、いわば一種信仰のような農業を「環境保全型」などと安易に呼ぶ姿勢が許せないのだった。　西出さんはインターネットの世界は知らないという。この卓越した超人的な能力は、世界中の文献を渉猟し、それを自らの栽培実践で検証することにより培ったそうだ。西出さん、畑ではステテコとちじみのシャツに長靴、午後の室内での講義ははき慣れない靴が窮屈だとハダシだった。だが、板書しながら施肥設計を解説する言葉の厳密さや、適切な施肥量を計算する速度は驚異的だ。理論と実践を分かちがたく結びつける本物の知識人がここにいる。そんな眩しいような思いを抱きながら、「農業は脳業でなければならない」と いう西出さんの熱弁をずっと、まるで呆けたように聞き続けていたのだった。ホンモノの知識人とはこういう人をいうのだ 　←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を

  2008年09月05日

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  ●住民主導で有機の里づくり・福井県池田町の挑戦●

  　この木曜と金曜の二日間、和歌山県那賀郡で展開している有機農業モデルタウン事業の一環で、北陸へ視察研修旅行に出かけた。一行は同事業の主役である環境保全型農家を中心とする３０人。今回訪ねたのは環境保全型農業をベースとする循環型の町作りで国の「環境グランプリ」を受賞した福井県池田町の農業公社と、石川県穴水町で有機農業を実践する西出隆一さんだ。一般の視察旅行にありがちな付録（とある議会の海外視察研修など場合によってはこちらが本命？）の観光など皆無、徹底した学びのハードな旅だった。　まず初日に訪ねた池田町は岐阜県境にあって福井県内で最も人口が少ない過疎山村だ。同町農業公社の視察テーマは、「ゆうき・げんき正直農業」と名付け町全体で展開している環境保全型農業の取り組み、「食Ｕターン事業」と名付けた家庭の生ゴミや畜産糞尿のリサイクル堆肥化の取り組み、そして直売所「こっぽい屋」などこうして得られた農産物などを収益に変えるシステムについてだ。「ゆうき・げんき農業」に取り組む生産農家グループ「１０１匠の会」の誓い 　ごく簡単に言えば、ＮＰＯ「環境Ｕフレンズ」という町民ボランティアで支えられる３６５日休みなしの生ゴミ回収→この生ゴミに畜産廃棄物と籾殻を加えて「あぐりパワーアップセンター」で堆肥化→できあがった堆肥を「土魂壌」（どこんじょう＝土壌に魂を入れるという意味を込めて命名、お見事！）、さらに副産物の蒸気を冷やして得られた水分を「土魂壌の汗」として農家に供給→町内の農家戸数７００軒弱（総戸数約１１００、人口約３８００人）のうち約１７０軒が参加して特別栽培レベル以上の環境保全型農業（＝ゆうき・げんき農業）を実践し町独自のシステムで認証→福井市内の量販店内に開く直売所「こっぽい屋」等で農家の女性達が自ら販売するというシステムだ。同店はたった１０坪の広さだが開店前から常連さんが列を作る繁盛ぶりで、売り上げは年１億４０００万円ほどにもなる。なお「こっぽい」はこの地方の方言で「ありがたい」という意味だそうだ。 ゆうき・げんき農業の栽培基準ゆうき・げんき農業の認証対象圃場であることを示す標識  注目すべきは、このシステム全体を動かす原動力は町民が自主参加するＮＰＯにあるということ。もちろん町や公社のバックアップは強力に行われているが、出発は消費者側も生産者側も前例にとらわれない勇敢な女性達だった。この間の経過を説明してくれた公社の職員によれば出発時のメンバーの９９％が女性だったとか。つまり、男性は一人しかいなかったわけだ。同町では、有機農業映画祭や廃油キャンドル３万本によるキャンドルナイト、郷土食を提供するお餅レストランなど、さらに創意的な取り組みがその後も次々に誕生している。　人口のさらなる減少、後継者不足、国全体のシステムが根底から改まらない限り、過疎山村が直面する困難がなくなることはないし、池田町もそうした苦境から完全に脱出できているわけではない。だがここには、それに勇敢にチャレンジする人々の熱い思いと笑顔が溢れていた。人々が手を結び合えば、これほどのことが出来るという事実には素直に感動する。「環境」は単なる標語や理念にとどまるものではなく、人々が心を通わせコミュニティを蘇生させる現実的キーワードなのだとの認識を新たにしつつ、たたわに実った穂が頭を垂れる水田が一面に広がる池田町を後にした。　翌日、西出さんとの出会いはさらに輪をかけて衝撃的だったが、今日はもう時間切れなので次に書く。これから夜９時集合で中央アルプスなのだ。(^^)/　　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2008年08月30日

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  ●日本農業が滅びない理由●

  　２０日、和歌山県日高地方で、県環境保全型農業推進協議会主催のオープン・セミナーが開かれた。農業技術関係の県職員や農家が、農作物ごとに地域を代表する環境保全型農業の技術を学ぶ実践的なセミナーで、これまで施設栽培の野菜や桃で実施、今回のテーマ作物は水稲だ。　環境保全型農業の先頭に立つ有機農業の普及を仕事にしているとはいえコジロー、実際の栽培技術については正真正銘完全無欠の素人だし実践の機会もないから、視察研修といっても皆さんの最後尾をゾロゾロついて歩くしか能がないのだが、このセミナーを知らせた知り合いの農家も多く参加するということで、おつきあいすることにした。　紀州「木の国」と言われるほど山がちな和歌山県にあっては珍しく、日高地方には平野を埋め尽くす見事な水田風景が広がっている。ついでの話だが、和歌山県は典型的な農業県でありながら、実は米については移入県に甘んじている。つまり、たかだか１００万人の人口をすら養うに足る程度の水田すら持てない地理条件にある。その不利を補ってきたのが耕して天に至る傾斜地のミカンや柿、梅などの果樹栽培で、これが「果樹王国」と呼ばれるお国柄を作ってきたわけだ。　この日、照りつける日差しはやはり真夏の様相だったが、遙か稲村を波立てて涼やに吹き渡って頬を撫でる風は爽快で、畦に立って栽培技術の説明を受けている間も、暑さを感じることはなかった。このような眺望と空気に包まれて働けるというのは、なんという幸せなのだろう。　グローバリゼーションなどに起因する農産物価格の低迷により、日本農業は産業としての命運すら尽きかけている。だが、多くの農家は兼業に追い込まれても農地を手放さず、米作りを辞めることもない。そこには、カネにはならなくても捨てがたい価値があるからだ。この真夏の昼下がりの、心身が風に洗われるような得難い感覚も、きっとその価値の幾分を占めているに違いない。　有機栽培の技術実証圃。有機稲作の大敵である雑草の対策についての説明を聞きながら、ずっとそんなことを考えていた。←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2008年08月22日

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  ●環境保全型農業讃歌＝ふゆみずたんぼの歌●

  　昨日は、コジローの本業であるＮＰＯ和歌山有機認証協会の通常総会が、会員、認定事業者や関係機関の皆さんら、約４０人の出席を得て開催されました。　ＮＰＯ法に従い、過去１年の活動総括と決算、次年度の方針と予算、そしてその方針を実践する新たな役員を選ぶのがこの会議の役割ですが、今回は、昨日もこのブログで紹介した有機農業モデルタウン作りに向け、協会全体の意思を統一する機会でもありました。　で、たまたまですが、その有機農業モデルタウンとなる紀の川市に、農林水産省の環境畑から出向してこられた４２歳のお役人がおられるというのを聞きつけ、この活動への協力をお願いすることはもちろん、丁度いい機会だからと記念講演を依頼したのですが、これがビックリ仰天の巻。　ご自身の視察体験やこれまでのお仕事での業績も踏まえた『日本とドイツの環境保全型農業』を演題とする約１時間の講演は、もちろん十分聞き応えのある内容で非常に勉強になったのですが、さらにビックリしたのは、講演の最後に、やおら持参したギターを抱え、お役人自作の「ふゆみずたんぼの歌」を朗々と唄い出されたこと。(^_^;) 　いったい、何が起こったのかと思いましたけれど。聞いてみれば、ご自身「村おこしシンガー」を名乗ってライブも開き、すでにＣＤも４枚出版されているとか。いや～、お見それしました。「ふゆみずたんぼ」は、冬の田にも水を張ること（冬期湛水水田といいます）で田んぼの生物層を豊かにし、白鳥やカモ類などの渡りを助ける農の営み。まさに環境保全型農業の自然復元機能を象徴するような取り組みなのです。歌詞は以下に転記しますが、この営みを歌に昇華させ、子ども達と合唱してＣＤとする感性は掛け値なしにたいしたものです。和歌山における有機農業の飛躍へ、また貴重な援軍を得た思いがしました。　　　　　ふゆみずたんぼの歌１　冬のたんぼが懐かしくて、君はここまで飛んできた　　今日も空は凍えていて、故郷ははるか遠くても　　夢は水面をかけめぐる　君と出会えた田冬水　　くずれた稲わら、雁の声　ひっそりたたずむ「命」たち２　冬の田んぼに憧れて　僕らはこの地に集ったんだ　　雁の群れ飛ぶ大空に　自分の小ささ　思いながら　　夢は　枯野をかけめぐる　母オクラ出会えた田冬水　　蛙の卵　イトミミズ　静かに息づく「命」たち３　夢は　大空かけめぐる　僕ら出会えた田冬水　　白鳥　マガン　そうぼくらも　ふゆみずたんぼの「命」たち　　ふゆみずたんぼの「命」たち　　　　　    ラララ　ラララ　ラララ　ラララ・・・・　←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を 

  2008年02月29日

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  ●和歌山県那賀地方に有機農業推進モデルタウン●

  　昨日２７日は、那賀地方有機農業推進協議会の発足に向けた初の会合が、紀の川市粉河支所で開かれました。和歌山県外の読者のためにひとこと補足しますと、「那賀」は旧郡名で、市町村合併等により誕生した紀の川市と岩出市を併せた紀ノ川下流域一帯をさす地域名です。　この協議会は、一昨年末に議員立法で成立した「有機農業の推進に関する法律」を受け、来年度から公募型で実施される地域有機農業推進事業に和歌山県からも手を挙げるため、まず県内の環境保全型農業の拠点である那賀地域に設立するもの。　昨日の初会合には、有機農業者団体、地域の環境保全型農業グループ、農業協同組合が二つ、行政機関として和歌山県、紀の川市、岩出町、さらに県の農業試験場等とわがＮＰＯ和歌山有機認証協会から代表等２０人が参加し、応募する事業の内容を検討するとともに、那賀地域内に有機農業を普及推進するために協議会を設立し、協力し合うことを確認しました。　今回、応募する事業のプランでは、有機農業への新規参入希望者に対する農家実習機会の提供、有機農業志向の農家に対する技術セミナーの実施、４筆計７０ａの試験ほ場（田畑）を設定しての有機的防除技術等の実証、消費者や流通業者を対象とする販促イベント、有機農業者と市民の交流イベント、学校給食への有機農産物導入と学校の有機農業体験などが、単年度と５年後の数値目標を持って盛り込まれました。　有機農業を推進することは、単に農薬や化学肥料を使わない農産物の提供にとどまらず、田畑や水系やそれを取り巻く里山的二次自然の復元、地産地消を通じた地域資源循環やエネルギーの自給、さらには食と農を媒介とする人間同士の関係再構築を通じての地域コミュニティや地域文化の再建など、実に多様で豊かな世界の広がりに通じています。　これまた昨日の高野山エネルギー自立プランに続き前途遼遠な仕事ですが、コジローとしては、こうした徹底して風土に深く根ざした地域づくりを世界中で実行するほかに、直面する地球温暖化の深刻な危機を乗り越える方法はないと考えています。なぜなら、地球環境の危機を招いたものは飽くなき利益追求に行動原理を置く資本の論理、現代の言葉で言えばグローバリズムにほかならず、これを単に部分修正するのではなく原理的に否定するほかに人類が生き延びる展望は開けないからです。有機農業はそのオルターナティブ（主流とは別の道）な営みの象徴でもあるのです。　その第一歩を、まずこの紀ノ川の豊富な水と日照時間に恵まれた農業適地＝那賀からささやかに踏み出す準備が整った…というのが現段階。ずっと日陰の道を歩まされた有機農業が、ようやく日の当たる場所に出て行こうとしています。…感慨無量ですが、まぶしさでずっこけないようにしないと…(^_^;)　　この計画の採否は４月中旬に判明する予定。結果が明らかになれば、またその時点で経過をこのブログに書きたいと思います。　　←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を

  2008年02月28日

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  ●紀州の梅、見頃は今月末から●

  　このところ、また超多忙で、ブログを書く時間がとれません。最大の焦点はこの月・火曜に実施された独立行政法人農林水産消費技術センターによる事業所調査でした。　和歌山有機認証協会はＪＡＳ法に基づく農林水産大臣登録認定機関として、有機関係の認証業務などに携わっているのですが、この登録が維持される必須要件として年に一度、管轄の神戸センターから３人の職員が泊まり込みでやってきて、国際規格であるＩＳＯガイド６５に沿い我が協会の認証業務が正しく行われているかを、この間の業務の記録や書類、さらに職員に対する聴聞により、丸二日かけてチェックします。　この認定機関に対する調査、まず認証した農産物などの買い取り検査数件、さらに協会が行う実地調査への立ち会い調査（協会が行う検査を消費技術センターが検査するわけです）数件などで事前に証拠を固めてから乗り込んでくるほど周到なものです。つまり、結構、時間も手間もかけてやっているわけです。　ま、調べられて困るようなことはないはずですが、一年の仕事のうちには、うっかりミスや至らない点というのはつきものですから、やはり調べられている間、あまりいい気持ちのモノではなく、落ち着きません。ともあれ、今回は最終的に、軽微なミスを三点ばかり指摘されて終わりました。　そして今日は、田辺で県が主催するエコ農業フェア。中身は外部の講師による講演と３人のエコ農業生産者らの体験発表。この３人のうち２人は会員ですし、残る１人も本協会の認定事業者ですから、参加しないわけにはいきません。外部講師の話は支離滅裂でさっぱりダメでしたが、生産者の発表はそれぞれ聞き応えがありました。やはり後講釈はナマの現場の迫力にはかなわないと思いました。　それはともかく、この時期、せっかく田辺方面に出かけるのであれば、日本一の梅園に立ち寄らない手はありません。南部から田辺にかけてはどこもかしこも梅畑で、石神、岩代など著名な梅林が点在していてどこに行くか迷うのですが、今回はイベント会場に向かう途中ということで、南部梅林に行ってきました。　目当ての梅はざっとみたところ７分咲きに足りない程度。前日には雪が降って花が傷んだうえ、長く続いた寒さでミツバチの動きが鈍く、このままでは受粉がうまくいかないのではないかと、茶店のおばあさんが心配そうに話していました。桜とは違って、実を取るのが目的の梅は、花は咲いても、それだけで浮かれるわけにはいかないのですね。　その梅も、今月末から来月初めにかけてが見頃になりそうです。関西の春は、まず紀州の梅から…　　機会があれば、ぜひお訪ねください。　 　←ランキングに参加してます、ワンクリックご協力を

  2008年02月20日

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  ●地鶏肉とは何か＝比内鶏だけでない地鶏肉「偽装」●

  　銘菓では「白い恋人たち」と「赤福」が紅白セットで、畜産ではミートホープのコロッケに「名古屋コーチン」「比内地鶏」で牛も鶏も、賞味期限や中身の偽装が横行していることが明らかになった。こうした食品業界の悪弊についてはまた別に書くつもりだけれど、とりあえず今日は、ワタクシ・コジネンコの専門のひとつ地鶏肉なるモノについて一筆。　一般の方は、「地鶏肉」と聞いて、どのようなイメージを抱かれるだろうか。ケージではなく地べたで飼っている鶏？、日本固有種の鶏？　肉質が固く歯ごたえがある？　味にコクがある？　etc・etc　いずれも正解であって正解でない。・・・というのは、流通している地鶏肉の定義について、日本食鳥協会という業界団体が決めたガイドラインはあるものの、法的には何の規制もないからだ。　今回、その名もズバリ「比内鶏」という会社（厚かましいにもほどがある！）は、一羽1000円はするホンモノの比内地鶏の代わりに、1羽２０～３０円の廃鶏を使用していたという。名古屋コーチンはDNA鑑定の結果、流通量の2割が偽物だと指摘された。いずれも呆れ果てた話だが、しかし監督官庁も消費者も長期に渡り、それを見抜けなかった。　名古屋コーチンの方の解明はこれからなので今は置くとして、とりあえず比内鶏偽装の件、実は、廃鶏をつぶして「地鶏肉」と称し売っている例が少なくないのは業界の常識だ。今回のように、それを比内地鶏と明記し、血統を偽れば表示偽装に問われるが、単に地鶏肉と表示するだけなら、先にも書いたように法で地鶏肉が定義されていない事情から、違法にはならない。要するに、やり放題なのだ。　ところで廃鶏とは、採卵鶏のうち生産性が落ちてきて使い物にならなくなった雌鶏のことだ。周知のように、採卵鶏は身動きできない狭いケージに入れられ、夜も電気を点けられ睡眠も与えられず、ひたすら卵を産むことを強制される。どこかの大臣の発言じゃないが、まさに「産む機械」にほかならない。で、使い物にならなくなるとケージから出されるのだが、生まれてこの方ちっとも歩いていないので立つこともできない。「物価の優等生」とかいって我々が安い卵を食べられる事情には、こうした動物虐待が潜んでいる。「万物の霊長」だかしらないが、他の生命に対しこのような暴虐不遜が許されるのだろうか。　ま、それはさておき、ブロイラーは普通、生後８週間、つまり人間で言えば中学生くらいの段階で処理され、鶏肉になっている。それ以上生かしても飼料効率が下がるだけだからというのが、利益至上主義の資本主義の論理だ。で、まあ、想像して欲しいが、人間でも中学生の肉はきっと、これをお読みのオトナの肉より軟らかいに違いない。一方廃鶏は元からして卵を産める成鳥だったわけだから、生きてきた年期が違うのだ。当然、肉は固くなる。で、まあ、この肉の歯ごたえが、ん～、やっぱ地鶏だなあ…なんて、だまされてくれるのだから、消費者なんてチョロいモノなのだ。　さて、ここで本題だが、実はホンモノの地鶏かどうかを見分ける方法がないわけではない。ＪＡＳ法は、「地鶏肉の日本農林規格」という形で地鶏肉の定義を定めていて、これをクリアした商品には特定ＪＡＳマークをつけることができる制度を確立している。前述の「野放し」との関係がわかりにくいかもだが、つまり、ＪＡＳ法の定めに従い特定ＪＡＳマークをつけた地鶏肉はＪＡＳ法による表示規制の対象になるが、「触らぬ神に祟りなし」というか、ＪＡＳ法と関係なく出荷する鶏肉には規制が及ばないということだ。　ちなみに、その日本農林規格（＝ＪＡＳ規格）が定める地鶏の定義は次の4点。（１）明治時代までに日本に定着した鶏の血統が５０％以上含まれること、（２）孵化日から80日以上飼育していること、（３）28日齢以降平飼い（地面で自由に運動できる状態）をしていること、（４）28日齢以降、1平米あたり10羽以下の密度で飼育していること。　特定ＪＡＳマークが付いていれば、その商品はこれらの条件を満たしたホンモノの地鶏肉と信じていい。生産業者が日々、自ら生産行程を検査して前記の規格をクリアしているか確認（これをＪＡＳ法用語で『格付』という）することはもちろん、利害第三者である認証機関（農林水産大臣が登録）が、定期的に（最低1年に一度以上）立ち入り調査を実施し、使用された元雛の血統から飼育方法、出荷羽数までを確認して、表示された特定ＪＡＳマークの真実性を裏付ける二重のチェック体制が敷かれているからだ。　しかし、そんな特定ＪＡＳマークが付いた地鶏肉を見たことがある人はほとんどいないだろう。そう、我が和歌山有機認証協会は地鶏肉の認証実績では、恥ずかしながら実は全国最大手の老舗認証機関なのだが(^_^;)、この弱小ＮＰＯが最大手というほど、ＪＡＳ認証地鶏肉は食鳥市場において、ケシ粒ほどの大きさにも満たない圧倒的少数派なのだ。　『紀州鶏』　和歌山有機認証協会が認証した地鶏肉のうちの一種　同じ制度に基づく認証でも、有機ＪＡＳマークなら見たことがある人は多いだろう。では、なぜ有機ＪＡＳマークはこうして普及しているのに、地鶏肉の特定ＪＡＳマークは普及しないのか・・・　理由は簡単、有機は生鮮も加工品も「指定農林物資」といって「ＪＡＳマーク付きでなければ『有機』や『オーガニック』と名乗ってはならん」と法律で定めているためだ。有機またはオーガニックと名乗りたければ第三者のチェックを含む認証を取得するほかないが、地鶏肉は現在までのところ、指定農林物資ではない。　こうした認証制度は、零細な農家を含む生産者に実務面でも金銭面でも、新たな負担をかける。だから、コジネンコも、自分自身この認証に携わる立場ながら、全面的に良いことずくめとも思わないのだが、ニセの有機表示が氾濫した以前の状況は、この制度の導入により確かに改善され、消費者にまがい物でない本物の有機食品が届く保証にはなった。　過去の有機表示ほどではないにせよ、今回の事態で明らかになったように、地鶏肉の表示偽装も相当なものである。せっかくＪＡＳ法に基づく認証制度があるのだから、この際、地鶏肉も指定農林物資として、表示偽装を追放すべきだと思うのだが、いかがなものであろうか。・・不肖コジネンコ、これまでも何度かこの件について、機会あるたび農林水産省に「畏れながら・・」と意見具申をしてきたのだが、予想通りというか、一顧だにされることはなかった。今度こそと考えている。←ランキングに参加してます、ワンクリックでご協力を

  2007年10月23日

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  ●新規就農希望者に環境保全型農業推進研修●

  今日は、御坊市内にある県の就農支援センターで、これまで同センター開設以来三期にわたって開かれてきた研修を受講した人たち約４０人を対象とする農業体験特別研修が、「環境保全型農業推進」をテーマに開かれ、この冒頭で講演しました。同センターから求められた演題は「ＪＡＳ有機制度及び有機農業推進法の概要について」。講演を依頼されるときはいつも、まず主催者に「例えば」といった感じでも演題を設定してもらうようにしていて、これで依頼者側が何を期待しておられるかをだいたい掴んだ上で、それからあまり外れない範囲でこちらの訴えたい内容の方向…、というか、つまり、早い話が、こちらの土俵に引きずり込むのがコジローのやり方です。(^_^)v今回はたまたま、農業への夢と希望に燃える農業者の卵を相手に、自分自身、ま最も訴えたいことが与えられたテーマとピッタリ合いましたので、張り切って準備もし、話にも力が入りました。与えられた時間は質疑を含めて５０分程度で、このテーマで話すにはとても足りない感じでしたが、ともあれ、なぜいま有機農業または環境保全型農業なのか、有機ＪＡＳ制度や県特別栽培農産物認証制度の概要、有機農業推進法の意義などについて、一応は説明することができたと思います。新規就農希望者の中には、有機農業にチャレンジする意志をお持ちの方も少なくないとのこと。そうした方にエールを送るつもりで話しました。いつか、近い将来、この日の受講生から、和歌山有機認証協会の仲間になってくれる方が育ってこられることを、期待したいものです。

  2007年03月19日

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  ●農を変えたい！全国集会in滋賀●

  昨日、滋賀県立大学（滋賀県彦根市）で開かれた「農を変えたい！全国集会in滋賀」という催しに参加しました。全国の有機農業者や有機農業関連団体が一堂に会して経験を交流し、議論し、学びあい、有機農業の普及推進に役立てようとする催しで、全国規模での集まりは今回が三回目。和歌山からも２０人ほどの関係者が参加、全体では２５０人ほどの参加があったように見受けました。集会は、まず琵琶湖の自然とその周辺に展開する農業との関係をめぐる映像構成で開会。その後、「有機農業推進計画とこれからの環境行政」をテーマに６人の発言者をによるパネルディスカッション、続いて「草の根の農業・環境運動の取り組み～南から北から」と題しての８人の有機農業者や行政マン、環境活動家らの事例報告、これに「放射線照射食品認可への動き」と「種苗法改正に伴う自家採種規制の動き」についての特別報告、さらに「有機農業推進計画のモデルづくり」をテーマとする３人からのこれまでの経過や実践をふまえた政策提言と続き…と、まあ、つまりは、午後半日、たった４時間半では消化しきれないほど盛りだくさんで、この激流のような進行について行くのは聞くだけでも大変でしたが、北海道から鹿児島まで有機農業の運動の今日の到達点を反映した発言はいずれもきら星のような輝きに満ちまさに圧巻！　発言で紹介されたすべての有機農業の現場を、見にいきたいと強く強く思いました。なかでも、深刻化する環境の危機を克服するうえで、「食とエネルギーの地域自給こそ究極の運動目標」だと一貫して考え訴えてきたコジローの問題意識とピッタリだったのは、多くの発言や報告された実践経験が、食の自給と農の持続性を強く訴えるだけにとどまらず、有機農家から始めて地域に広がるエネルギーの自給を、しっかり視野に入れて活動を展開しておられたこと。やはり、コジローの運動の収束点はここの一点、有機農業をこの和歌山の地域にしっかり根付かせることにあると、あらためて確信したことでした。３月２７日には政府の「有機農業の推進に関する基本的な方針」策定をめぐる最後の審議会が開かれ、４月上旬には農林水産大臣名で同方針が公開される予定で、これを受けて各都道府県では「有機農業推進計画」の策定作業が始まります。これに向け、有機農業陣営は積極的に発言してゆかねばなりません。和歌山ではどのような計画を作ってゆくのがいいのか。今回の集会では、それを考える上でこれ以上はない山のように多くのヒントをもらいました。…そのヒントが、あまりに多すぎて、いまはちょっと混乱気味ですが、これを時間をかけて整理し仲間たちとしっかり相談して、新たな運動を創出していきたい。改めてそんなファイトが湧く、非常に有意義な集会でした。会場には有機関係ブースも…↓　また本をたくさん買い込みました。  集会（パネルディスカッション）の模様↓  

  2007年03月18日

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• ●完全自由化で日本農業は壊滅！？●

  昨日（2月27日）の各紙は、日本農業新聞など専門紙を除いて扱いは大きくはなかったが、農水省が26日に発表した完全自由化後の日本農業についての試算結果を報じた。この試算は、政府の経済財政諮問会議において「国境措置の撤廃」を求める民間議員の要請を受けてまとめたもの。国境措置とは要するに関税などの貿易障壁のことで、同議員らは関税の全廃を主張している。で、「そんなことしたらこんなになりまっせ」「それでもええんか？」と、抵抗する立場の農林水産省側が描いて見せた破局の未来図といえばいいだろう。関税がゼロになれば、当然のことながら低価格の外国産農産物が一層大規模に日本に入ってくる。それは雪崩を打つとか、津波のような…といった表現がまさにふさわしい勢いなのであって、これにより国内農業の生産額は4割、金額にして3兆6000万円減って食糧自給率は実に１２％まで落ち込む。品目別に見れば米や麦は自家消費や一部のこだわりブランド以外ほぼ壊滅、畜産物もこれに近いダメージを受け、結果として３75万人が失業する。早い話、日本の農業と農山村は、規制緩和＝グローバリゼーション路線にいじめ抜かれた末、最終的にトドメを刺されるわけだ。まあ、守る側の農水省が多少大げさに描いた面もあるかもしれないが、ＷＴＯ（世界貿易機関）、ＦＴＯ（自由貿易協定）、ＥＰＡ（経済連携協定）など、様々なチャンネルを通じ貿易自由化の波はひたひたと海岸線に迫っているが、この国の財界及びその政治的代理人である政府は堤防を内側から掘り崩す立場だもんねえ…　付け加えておけば、農水省も政府の一部なのであって「ねじれ股裂き」状態ながらこのご一統様のなかに入っている。となれば、ここに描かれた未来図は決して空想の産物とはいえまい。差し迫る地球温暖化や人口爆発その他の環境変化により、世界的な食料需給の逼迫は確実と予想されるというのに、この国はなお「農なき国の食なき民」への道を突き進もうというのか。…正気の沙汰とは思えない。イザというときは、自動車やパソコンでも喰って飢えをしのげというつもりなのだろうか。そんな強力なアゴを持ち合わせないフツーの庶民は、自ら耕すか自らの足元で農と繋がるか、いずれにせよ生命を支える食を確保し、自分や子どもたちの命とその未来を自分たちで守らなければならない。それがコジローがＮＰＯ和歌山有機認証協会などの活動を通じ目指してきた地域自給だ。21世紀、環境の世紀を乗り越えるには、食とエネルギーを自給できる循環型地域社会の建設、これしかないと思う。　…急がなくては。   

  2007年02月28日

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• ●講演「環境保全型農業のススメ」●

  今日は、和歌山県が主催する「平成18年度和歌山県農業士・グリーンワーカー・漁業士認定式」で、「環境保全型農業のすすめ」と題し、約80分の記念講演をしてきました。認定されるのは、それぞれの分野において仕事と社会的役割の両面で地域のリーダー的な役割を果たしていると認められた人で、うちグリーンワーカーは林業に携わっておられる方です。こうした、農林水産のリーダーさんたちを前に、ズブの素人である者が高いところからエラソーにモノを云う…というのは、まあ、あまり褒められた図ではない…と常々思ってはいるのですけれど、ツラの皮の驚異的な厚さは自他共に認めるところで、厚かましくあちこちでしゃべってます。今日のテーマは、スバリ、「今、なぜ、環境保全型農業なのか？」ということ。まあ、コジローの十八番（オハコ）の話題で、80分の話をこのブログに再現するのは不可能ですが、要するに、気候変動や資源の枯渇など破滅的な脅威にさらされる環境の世紀を人類が生き延びるために、私たちの子どもや孫やさらには子孫たちが末永く、この大地から生命を支える糧を得られるよう、いま、すべての恵みの源である自然生態系、つまりは命の循環をを守り抜かねばならないからだ…というに尽きます。これをいろいろな背景から浮き彫りにし、データを挙げて論証し、例示し、いくつかの方向を提案するだけで、80分など、飛ぶように過ぎてしまいます。パワーポイントの威力で、簡単なレジメだけで話していた頃に比べれば、データはたくさん紹介できるようになりましたし、映像の力も借りられて説得力は増したと思いますが、それでも、まだまだ言い足りない気がして、しゃべるたびつい、とんでもない早口になって…　2月初めに発表されたばかりのＩＰＣＣ第4次報告によれば、地球温暖化は明らかに加速しています。人類に残された時間はそう長くない…　で、まあ、であるからして、我が聴衆人民諸君は、この程度の早口にもついてきてもらわんといかんのだ…と、いうわけにはいかんでしょうねえ…　さすがの厚顔も、話し終わるたび、いつも反省です。m(_ _)m

  2007年02月13日

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