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カテゴリ:NK関係
まあ話半分としても、彼らの恐ろしく炸裂するコトバは長年の修行によるものだということは理解できる。所詮、東海地方出身の俺が勝てるものではない。
そんな訳でまあ、常識的な反論を返してみる。 「…人事と思って勝手なこと…」 「あったり前や!」 そう言って紺野は胸を張る。俺より頭一つ低いくらいの小柄なくせに、態度は俺の倍以上にでかいのだ。 「ひとごとに決まってるやん。人間はひとごとには突っ込む権利があるんやで?ほらほら加納くん、自分の胸によーく手ぇ当てて考えてみぃ!お前の数々の悪行を!」 「…」 「俺の胸揉んでどうすんねん。ところでお前ら、週末のライヴ」 そう、それが目下最大の問題なのだ。 「サポート入れるにしても、ちょっと時間足りねえよな…」 「サポート?何アホなこと言うてんねん?お前のバンドでヴォーカルがいなくてサポート言うのは無理や!とにかく今は無理やで?」 ぴっと指を突き立てて、奴は断言した。 「そうだよなあ…」 何も深く考える必要もないのだ。バンドの顔であるヴォーカルがいないのだから、これはもうライヴ自体を中止せねばなるまい。めぐみ目当ての客も多いのだ。 全くどうなっているっていうんだ。 * ライヴハウスの店長に事の顛末を告げると、彼はひどく渋い顔になり、ふう、とため息をついた。 「困ったことになったねえ…病気ならともかく失踪かい」 「はあ…本当にすいません」 「ま、仕方ないものは仕方ないさ。でもねケンショー、せめてトークライヴとか、何か形くらいはキミ達のバンド、出てくれない?そうでないと、『金返せ』みたいなことになるよ」 そうですね、と俺は頭を下げて引き下がった。実に申し訳ない。 「何とか考えてみます」 「そうしてくれよ。それにしてもあのめぐみちゃんがねえ」 出入りのライヴハウスの店長はうちのメンバーの中ではめぐみを一番気に入っていた。まあだいたいめぐみは、その容姿や、素直で実直な言動で、誰からも好かれる方ではあったのだ。 この週末のライヴは、最近急に力をつけてきたというバンド「S・S」が一緒だった。実際に見るのはこのライヴが初めてなのだが、噂は聞いていた。インディーズをプッシュする音楽雑誌や、専門店でも最近は力を入れているらしい。こないだのインディーズ専門の深夜番組でも、ここの店長が顔を出して紹介していた。 「何でぇーっ!RINGER出ないのーっ?」 …脳天から背中に、一気に電流が走ったかと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.07.14 06:38:24
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