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カテゴリ:不動産管理全般
前回、滞納している家賃の回収方法として「滞納家賃の回収・お尋ね~内容証明」をご紹介しました。
今回は、連帯保証人に内容証明を出しても払ってもらえなかった場合の回収方法です。 支払督促 裁判所の支払督促のページが参考になります。ここには、手続き方法や書式、記載例などがあります。 支払督促の申立をするのは、相手方の住所を管轄する簡易裁判所です。また、入居者と連帯保証人で管轄する裁判所が異なると、別々に申立する必要があります。 ですので、入居者には支払能力がないようなケースの場合、連帯保証人にのみ支払督促をした方が手続きが簡単です。 家賃以外にも申立費用などが請求できますが、細かいところで異議を申し立てられても困るので、家賃だけにしておいた方が無難です。 支払督促は、書類審査のみなので、裁判所に行く必要がありません。 また、支払督促には仮執行宣言が付きますので、強制執行することも容易です。 支払督促は、非常に強力な手段ですが、相手方が支払督促受領後2週間以内に異議申立をすると、民事訴訟に移行します。 相手方の住所を管轄する裁判所が遠くにある場合は、こちらの負担が大きくなります。 なお、手数料は10万円までは500円、20万円までは1000円と非常に安いです。 少額訴訟 60万円までの家賃の滞納なら、少額訴訟を使うことができます。裁判所の少額訴訟のページ。 原則として相手方の住所を管轄する簡易裁判所に訴えることになりますが、賃貸借契約書に「紛争の解決は○○地方裁判所」などとあれば、そこに訴えることも可能です。 また、家賃は大家への持参払いが原則ですので、自分の住所を管轄する簡易裁判所にも訴えられます。 ちょっとわからないのは、賃貸借契約書で振込先が管理会社の口座になってる場合。この場合は、管理会社の住所を管轄する簡易裁判所になるのかな... とりあえず、自宅から一番近い簡易裁判所に訴えるのも手です。相手が管轄移送申立をしなければ応訴管轄となり、そのまま審理に進みます。 内容は、支払督促に似ていますが、裁判所で双方同じテーブルに座りお互いの主張や証人の話を裁判官にする必要があります。 裁判官は、双方の言い分を聞いて和解または判決書を出します。 1回の審理で紛争を解決するので、比較的早く終わります。 ただ、判決が出ても相手方が払ってくれない場合は、改めて少額訴訟債権執行等の手続きする必要があります。 強制執行 支払督促申立書を提出して受理・審査後、支払督促が発付されます。 2週間以内に異議が申し立てられなければ、仮執行宣言申立書を裁判所に提出します。 仮執行宣言が発付されて2週間以内に異議申立がなければ、仮執行宣言が付与され強制執行の手続きに入ることができます。 強制執行にも種類がありますが、一番簡単なのは預金等を差し押さえる金銭債権に対する強制執行です。 まずは、「仮執行宣言付支払督促の正本」と「仮執行宣言付支払督促が相手方に届いた事を照明する送達証明書」を用意します。 送達証明書は、送達した裁判所に請求します。 これらの書類とともに、「債権差押命令の申立」を相手方の住所を管轄する地方裁判所に提出します。 このとき、相手の預金がどの銀行にあるのかわからないと思います。これを調べるのが「第三債務者に対する陳述催告の申立書」です。 相手方が住んでいる地域のすべての銀行を調べたいので、調べる数だけ「陳述催告の申立書」を用意します。 費用は第三債務者の数によって異なりますので、事前に問い合わせが必要です。だいたい1~2万円くらいのようです。 裁判所が債権差押命令の申立を認めると、差押命令を発し,債務者と第三債務者に送達します。 これで、相手が勤める会社や銀行などの第三債務者が支払ってくれたら、裁判所にその旨を届け出て終了です。 少額訴訟債権執行 強制執行とほとんど同じですが、管轄が少額訴訟の判決をした簡易裁判所になります。 費用も、ほぼ同じようです。 強制執行や少額訴訟債権執行の前に、改めて内容証明を送るのも効果的です。 「確定判決後相当期間経過しておりますが、支払いなき場合は給与等の財産差押えの法的手続きをとらざるを得ませんので、ご承知おき下さい。」 として、給与差押命令を会社に出すぞ!とプレッシャーをかけるのも手です。 ただ、その間に預金を、どこか遠い銀行に移されたり、引き出されたら困りますが... 保証会社を使っていれば、滞納されてもそれほど心配いりませんが(保証会社が倒産しなければ)、通常の連帯保証人だと、ここまでしないと家賃を回収することが出来ません。 なるべくなら、強制執行まではやりたくないですが、大家として泣き寝入りはできないので、事前に知識として回収する方法を学んでおくのは重要です。 応援お願いします!→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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