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つまずく石も縁の端くれ

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2007年04月01日
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カテゴリ:アート
動物絵画の100年.jpg

府中の駅に降りたのは27年振り。学生時代はこの駅前で、よ
く飲んでいたのだが、京王線が高架になり、まったく昔の面影
はない。バス乗り場をうろうろ探して、駅を一回りしてしまった。

やっとのことで、念願の府中市美術館に初来館する。噂どおり
のステキな美術館。国立新美術館の味気なさに比べて、ほっと
する空間。

受付の女性に勧められて、無料の府中市スタンプラリーに参加
するとその場で入場料が2割引の480円となる。たったワ
ン・コインで、素晴らしい作品の数々と出会うことができたの
でした。本当に親切なこと。

さて、この展覧会は本当に楽しめた。わざわざ府中まで来た甲
斐があった。全体の印象は、Takさんのおっしゃられるとおり

長澤蘆雪の展覧会といってもいいほど、蘆雪の作品が充実して
いる。昨年、応挙と蘆雪展を奈良まで2回見に行った自分とし
ては、大感激。

蘆雪のとぼけた味わい、遊び心を感じる作品や画と真摯に立ち
向かう気迫を感じる作品と二通りの作品を楽しめる。

例えば亀図。一瞬、岩か何かかなと思うのだが、実は亀が甲羅
の中に引っ込んで、頭だけちょこんと出しているところ。思わ
ず笑ってしまう。

雀図1.jpg

雀図2.jpg

群雀図。お寺の袋戸に描かれたもの。電線にたくさんの雀がと
まっているなぁと何気に思ったのだが、いや待てよ、この時代
に電線なんかあるわけがないと気づく。よく見ると細い竹の枝
なのだ。先入観とは恐ろしい。子どもたちがこの引き戸を何度
も開け閉めをして、雀が出たり入ったりするのを楽しんだこと
だろう。数の勉強もしていたかもしれない。

虎図.jpg

逆に虎図は、タイガーマスクにもそっくりの迫力充分な作品。
この展覧会では、この虎の絵がいちばん気に入った。ポスター
にもなっている。まだ蘆雪初期の応挙の下で写実の修行をして
いた頃の迫真の一枚。

応挙の絵もすばらしいものが多い。竹雀図屏風、特に雨に煙る
竹林の様子がみごと。あっさりとしつつ、実はそこに描かれて
いる内容は濃い。等伯の松林図のような感じ。帰宅後調べると、
この絵には静岡県立美術館で一度出会ったことがあった。

そのほかにも、展覧会場の最初から、印象に残る作品ばかり。
北斎の「瑞亀図」の亀にお神酒を与える老夫婦の表情にまさに
長寿の幸せを感じさせるめでたい絵。となりの谷文晁の「亀と
蝶図」は青空の中に浮かぶ太陽。それを目指す蝶の群れを亀が
吸い込む?という不思議な絵。そういえば三岸好太郎もこんな
幻想的な蝶を描いていたなぁ。

北斎の竹林に虎図。ぬめぬめした感じは、太田記念浮世絵美術
館で見た虎とそっくり。北斎の考える虎とはこういうものだと
いうことがよく分かる。

森狙仙は、猿だけではない。鹿もいい。「紅葉に鹿図」、輪郭線
だけの赤い紅葉。散った紅葉を踏む鹿。教養のない私には、花札は
すぐに思いついたのだが、どうしても「奥山に紅葉踏み分け泣く鹿の」
の下の句が思い浮かばなかったのであった。

若冲の「隠元豆・玉蜀黍図」は、まるで版画のよう。仙崖の犬
や虎には思わず笑ってしまった。とにかく、お勧めの展覧会。

府中公園の桜

府中の森公園も桜満開。今年の桜は息子の中学入学と自分の
転職とで、思い出深いものとなりそうだ。





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最終更新日  2007年04月01日 09時31分46秒
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動物絵画の100年    とら さん
こんにちは。
良い雰囲気の中にある美術館らしい落ち着いた良い展覧会でした。
新年度からご多忙になられる由ですが、また機会がありましたら・・・。
TBします。 (2007年04月01日 15時16分19秒)

声聞く時ぞ 秋は悲しき   遊行七恵 さん
歌った人の名も猿丸太夫・・・サルでしたね。
ただ、「秋ぞ悲しき」と「秋は悲しき」と二通りあるので、きっちり調べないとアカンなと思いました。
「群雀図」の電線の話で、デンセンマンを思い出しました。ついつい踊ってしまいそうです。
(しかも間違えてクックロビン音頭で) (2007年04月01日 23時41分52秒)

群雀図   エスタ2 さん
おはようございます。
「抜け雀」という落語を思い出しました。絵を抜け出て遊ぶ雀の絵が評判になるというお話でした。 (2007年04月02日 09時27分46秒)

とらさん   一村雨 さん
桜のプロムナードの奥にあったしゃれた
美術館でした。
内容も素晴らしいものでしたね。
この美術館、大いに気に入りました。 (2007年04月02日 22時22分34秒)

遊行七恵さん   一村雨 さん
誰が殺したクック・ロビンでしたか・・・
電線にすずめが三羽とまっていました・・・という
ナンセンスクイズも思い出しました。

(2007年04月02日 22時32分40秒)

エスタ2さん   一村雨 さん
抜け雀、知りませんでした。
さっそく調べてみます~ (2007年04月02日 22時34分42秒)

「芦雪展」   Tak さん
こんばんは。
拙ブログ紹介していただき恐縮です。

画像をアップされご紹介されている「虎図」
師匠の応挙の絵をお手本に描いたのでしょうが
芦雪らしさも垣間見られますね。
後ろ足の肉球なんて最高です!

それにしても良い時季に行かれましたね。
桜綺麗です。桜並木もありますものね。 (2007年04月02日 23時00分29秒)

Takさん   一村雨 さん
本当にみごとな桜で嬉しかったです。
虎図の肉球ですか。本当の虎はどうなっているのか
気になりました。 (2007年04月03日 22時43分43秒)

タイガーマスク!   mizdesign さん
こんにちは。
群雀図の竹は、ほんと電線にしか見えませんね。
幹を描かずに枝だけを見せるセンスが素敵です。
虎図の虎は、筋骨隆々の人が虎の皮を被って、猫の足を履いている感じですね。まさにタイガーマスク! (2007年04月08日 15時31分39秒)

mizdesignさん   一村雨 さん
虎の足は猫の足ですか。
なるほど、なるほど、当時の人は
本当の虎の足を見たことなかったのですからね。 (2007年04月09日 00時46分19秒)

蘆雪の発想力   はろるど さん
一村雨さんこんばんは。

>長澤蘆雪の展覧会といってもいいほど、蘆雪の作品が充実して
いる。

本当にそうですね。チラシであまり気がつきませんでしたが、
これほど蘆雪が充実しているとは思いませんでした。

>電線にたくさんの雀がとまっているなぁと何気に思ったのだが、いや待てよ、この時代に電線なんかあるわけがないと気づく。

そうなのですよね。
これを描いた蘆雪の発想力はもっと評価されるべきだと思います。
我々としては見慣れた構図ですが、当時としては極めて斬新だったに違いありません。

>今年の桜は息子の中学入学

遅れましたがおめでとうございます。
一村雨さんもお忙しいとのことですが、
またアートなどのお話が出来れば嬉しいです。 (2007年04月19日 20時47分10秒)

はろるどさん   一村雨 さん
後期に行けそうもないのが残念です。
蘆雪の牛の絵も見たかったです~

とにかく、学校というところは目まぐるしい
忙しさで、自分の仕事ができるのは、夜や
土日になってからです。
ゆっくり美術館めぐりをしたくてたまらん~
という毎日を過ごしています。 (2007年04月20日 05時52分32秒)

遅ればせながら…   アイレ さん
一村雨さん、こんばんは
展覧会は終了してしまいましたが、TBさせていただきました。
勝手な推測ですが、今と違って江戸時代の方が動物と接する機会があったような気がします。(今は動物園かペットショップぐらいしかないような…)
小さなものにも暖かい目を向ける絵師たちの優しい視線を感じました。(特に蘆雪!!!)
(2007年04月30日 01時01分10秒)

アイレさん   一村雨 さん
江戸時代、有名な生類憐みの令なども
ありましたからね。
動物は、本当に身近な存在だったのでしょうね。 (2007年05月01日 06時36分12秒)


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