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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2011年04月03日
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カテゴリ:アート
白洲正子.jpg

実は白洲正子の書籍はまったく読んだことがなかった。新潮社のとんぼの本でその名前を見かけるくらいで、古美術方面の随筆家くらいの知識しかなかった。だから今回の展覧会も、はじめは興味が沸かなかったのだが、十一面観音などの仏像が多数展示されるらしいという情報を聞いて、出かける気になった。世田谷美術館で行う仏像の展覧会は、かつて蔵王権現や中尊寺のすばらしい展示が印象に残っていたからである。

だから今回の展覧会も、白洲正子という人物を知らなくても、十二分に楽しめた。展覧会への導入がすばらしい。廊下を通ると滝の音が聞こえる。そしてホールの中央では、予想通り那智の滝の映像。いいつかみである。そして、那智の滝とくれば、那智参詣曼荼羅図。ただこの曼荼羅の見方が分からないので残念。音声ガイドでは説明されていたのであろうか。

滝などの自然信仰から、神や仏への信仰へとうまい構成と興味深い展示物で、それぞれのコーナーで引き付けられた。白洲正子の文章がちょうど展示解説となっている。

神像というのは、仏像と異なって、顔つきも淡白で、躍動感も感じないのだが、そこがかえって面白い。やはり独特の「気」を感じる。

海住山寺十一面.jpg

仏像のコーナーでは、奈良・大蔵寺の天部立像。白洲正子が書いているが、神像のような硬さのある仏像である。三重県観菩提寺の十一面観音立像は、いじめっ子のような顔つきに見えてならない。私のお気に入りは、海住山寺の端正な顔立ちの十一面観音である。松尾寺の焼け焦げた千手観音像のトルソーは、焼けた結果として、「美」が生まれたのかと少々複雑な気持ちで眺める。

その他、平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩や円空仏、そして鬼を左右に従えた役行者など、数々の仏像に出会えて、見応えがあった。

桜の花も幾分ほころんできて、外はお花見ムードであったが、美術館の中に一歩入ると、神や仏の「気」で満たされた濃密かつ神秘的な空間となり、震災のことも浮世のこともしばらく忘れ、自分の心の中の素朴な気持ちを感じることができた。





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最終更新日  2011年04月03日 21時19分18秒
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