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カテゴリ:光明遍照
そんな仏師たちの様子を眺めながら、駿河麻呂はふとかつての師匠のことを思い出していた。
尊い御仏を造り出す仏師でありながら、師匠は金と女に汚い男だった。その上、その日常の仕事には敬虔さなど微塵もない。下卑た口調で昨夜抱いた妓の品定めをしながら、その妓の顔に似せて菩薩の顔を彫り、気にいらない仏像はためらいもなく足蹴にした。その姿が、今目の前にいる仏師たちの姿に重なる。 こんな者たちからこんな風に生み出されていく仏像に、尊い功徳などあるわけがない。どれほど美しい姿をしていようとも、所詮はただの木切れや土くれや金属の塊だ。こんなものに祈って、一体何になる? 駿河麻呂は唾でも吐きたい気持ちで、しばらく仏師たちの様子をうかがっていた。だが、やがてたまりかねたのか、毘盧遮那仏の膝からからするりと飛び降りると、一塊になっている仏師たちの後ろから声をかけた。 「止めておけ。明日の女帝や太上天皇の行幸の前に、国公麻呂殿がこちらへ見回りに来られる。そんなものを見られたら、厄介なことになるぞ」 ↑よろしかったら、ぽちっとお願いしますm(__)m ↓こちらが、現在東大寺にある如意輪観音菩薩像。残念ながら江戸時代の作で、奈良時代のオリジナルではありません。まあ、当時のオリジナルの台座にも、たぶん(絶対?)こんな落書きはなかったでしょう。でも、変なところに変な落書きをしてみたい!(笑)というのは今も昔も不変の欲求なのか、外から見えない仏像の台座や屋根裏の板なんぞに、大昔の落書きが発見されることは時々あることのようです(^^ゞ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年11月25日 16時04分34秒
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