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佐遊李葉  -さゆりば-

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2013年12月06日
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カテゴリ:遠き波音
 それに、多聞丸は初めて感じる激しい欲望に翻弄されていた。

 夜、自分の寝所に篭っていると、暗闇の中に白い胸元を露わにした吉祥の幻影が浮かんでくる。その吉祥の肌をまさぐり、長い黒髪を身に絡ませている顔のない男の姿も。男の背を這う、吉祥の細い指先。喘ぎながら嬌声を上げる、吉祥の息遣いすら耳元に迫ってくる。

 多聞丸は両手で耳を塞ぎ、固く目を閉じた。身体の奥が焼け付くように熱い。まるでそこに、地獄の劫火が燃え盛っているかのようだった。

 だが、多聞丸はなす術もなく、その劫火に身を焼かれ続けるしかなかった。そして、その苦しみが多聞丸を焦がせば焦がすほど、吉祥への怒りと憎しみも増していくのであった。

 吉祥を何とか助けてやりたい。そういう気持ちがなかったわけではない。

 天上の美を欲しいままにしていた天女が、無残に穢土(えど)の汚辱へ落ちていくのを、ただどうすることもできずに手をこまねいてみているだけ哀しさ。吉祥への哀れみ、己の無力さに、心が揺さぶられるような気がする。

 だが、それも自分の心で荒れ狂う激しい怒りに吹き飛ばされ、いつの間にかどこかへ行ってしまった。


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最終更新日  2013年12月06日 16時27分13秒
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