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佐遊李葉  -さゆりば-

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2013年12月24日
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カテゴリ:遠き波音
 播磨での四年の任期の後、多聞丸と父は京へ戻った。

 長い他国暮らしで少しは気持ちが落ち着いた多聞丸は、屋敷に戻ると真っ先に隣の屋敷の様子をうかがった。

 ところが、驚いたことに、隣家は既にもぬけの殻となっていた。

 多聞丸の屋敷の留守居に聞いたところ、吉祥は多聞丸が播磨へ去った翌年の秋、密かに姿を消したという。共に住んでいた老尼も一緒らしい。

 どうやら、出入りしていた男の一人に伴われて、どこか遠くの国へ行ってしまったようだ。行き先は留守居も知らないという。

 多聞丸はその夜、一人であの庭木戸を通り、誰もいなくなった隣の屋敷へ行ってみた。

 春はまだ遠く、庭には冬枯れた立ち木が数本残っているだけ。空家になって数年たった家屋は、かろうじて残っていた寝殿の一部もすでに朽ち果てている。人の気配は、もはや全くなくなっていた。

 寒々として荒れた庭に佇み、多聞丸は夜空を見上げた。

 吉祥の姿を最後に見たあの夜と違って、今宵は月も星もない。

 ただ、真っ暗な闇が、口をあけて落ちてくるような気がした。


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最終更新日  2013年12月24日 16時36分58秒
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