プール、天井落下事故の見解NO2
ボード落下事故についての検証の昨日の続きです。次亜塩素酸ソーダを都度、人間が薬液注入ポンプのタンクに補充します。次亜塩素酸ソーダは滅菌の為の薬品で殆どのプールが使用しています。しかし屋外なら蒸発分は大気中に解放され問題ないのですが屋内では水中に溶け込んでいる次亜ソが気化して室内にこもり、内外気温の差で結露を生じ天井に付着し濃縮されてボードを固定しているビスに影響をもたらせます。ステンレスは錆びないと認識されていて様々な環境において建築で使用されていますが、屋内プールでは滅菌剤の塩素が塩化物イオンとなり、この特殊環境の存在下で腐食を促進させるので注意が必要です。推測ですが、止めネジの材質に問題が有ったと思われます。鋼製は勿論ステンレスでもオーステナイト系は製造過程で過剰な冷間加工を与えたりクロム、ニッケルの含有量が少ない鋼種は時としてマルテンサイト相が形成され耐食性が低下する事もあります。またフェライト系ステンレス鋼ネジは低強度で衝撃値が低いのでインパクトレンチでガンガンねじ込むとビスの頭がもげたりして支障をきたします。したがって建築法で認定されたSUS304A、SUS316Aが使用されていたら、このような落下事故は起こらなかったと思われます。豊田市のプールには多分SUS630製のビスが使われていたのではないでしょうか。高強度鋼製ビスをプール天井という強腐食性環境(カルキ、残留塩素)中で使用する、特に結露環境は湿度変動に伴い、水滴の乾燥過程で腐食成分が濃縮され、高腐食性条件の形成で石膏ボードを取り付け固定しているビスの頭が何箇所か脱落しボード自身の重みで外れ後はドミノ現象で次々に落下したという自分の見解です。またステンレスを過信せず定期的に交換すれば防げる事故でしょう。施工業者もステンレスをつかっているから大丈夫という誤解があり、また取り付け作業の際には下請けにインパクト使用の際ネジを深く追い込まないように指示する事も大切です。(殆どの業者はインパクトレンチを使っているが、クラッチが付いていないので加減が解りにくくビスを損傷させやすい) 間違っていたらごめんなさい。