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 小説ブログ 「GO!GO!花園」

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ようこそおいでくださいました。Madam Garden こと花園夫人です!

オムニバス短編小説で、駐在員団地のばたばたな日常を書いてます。

この物語はフィクションであり、実在する企業、団体、人物などとは関係ありません。C国は架空の日本の隣国…っていうか明らかに中国ですね。でも、Q市はあくまで架空の一都市です。登場人物も特定の個人をモデルとするものではなく、すべて作者の想像上の産物です。

作者の注意散漫なうっかり体質による読み苦しい間違いも多々あるかと思います。広い心で付き合ってください。

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2010年01月22日
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 史恵は時々思い出す。数十年来の家族ぐるみの付き合いの母の親友の佐藤のおばさんは、昔はやった教育ママだった。佐藤家の一人息子は、10年位前に誰もがうらやむようなを一流の大学を出て、みんなが知っている会社に就職した。しかし、なんと言うこともない理由で1年後に退職してしまい、今では自宅でぶらぶらして、親子で喧嘩ばかりしている。よくある話ではあるが、史恵には我が家の子供たちが、そうならないという自信は正直なところまったくない。

 史恵は自分が中学生のころ、佐藤のおばさんは、幼稚園児なのにいろんな国の国旗を覚えている息子を幸せそうに自慢していたっけ。おばさんはあのころ30代。ませた中学生だった史恵は、小さな子供こんなことさせてこの人は、まったく…と思ったけど、二人とも幸せそうだったので黙っていた。そう、自分だって、今娘が30点満点の漢字テストをもってきたら、あのときの佐藤のおばさんと同じような顔をしてするだろう。傍から見ればちょっとやりすぎだった教育ママの佐藤のおばさんが立っていたところは、今自分がいるところとまったく違うわけではないのだ。子供たちには幸せになってもらいたい。でも自分のやってることは正しいのかわからない。

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 そう、結局は堂々巡り。今やってることが良いのかという確たる自信はもてないけれど、やめることもできない。不安が募って時々押しつぶされそうになる。

 でもキックミットは違う。きちんとあたれば良い音だし、だめならヘンな音。フォームが良くても高さが足りなきゃダメだし、高さがあってもスピードが出てなくては、これもいけない。こんなに結果が、それも瞬時のうちにわかることを史恵は他に知らない。姿勢を整えて神経を集中させて、蹴り上げる。コーチは微妙にミットの位置を変えて、そうそう簡単には全発的中と行くようにはしてくれないが、練習するごとにうまくなっていくのが自分でもわかる。

 良くできてる? これで良い? だめならだめで教えてよ。もっとがんばるからさ。史恵の問いかけに対する答えは早くて明瞭だ。バシーン!ペシッ、バシーン!GOOD! BAD!GOOD!

 どんなに疲れていても、不思議なことにセットの最後には飛び切りの命中音がならせる。バッシーン!今史恵に、キックボクシング以外に彼女の必要とする刺激と答えをを与えてくれるものはなかった。他のGO!GO!花園住人の奥さんたちに、
「すごいね、佐々木さん、ブルース リーじゃなくてブルース チャンにカンフー習ってるんだってえ。」
などと冷やかされるのが嫌だったけれども、史恵にはキックボクシングが必要だった。毎週木曜のGOGO花園のフィットネスジムの多目的ルームで汗を流す史恵の顔は真剣だが、溌剌としていた。



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最終更新日  2010年01月22日 15時27分43秒
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