日付が変わってから アップの予定だったのですが、もう待てません。てか、もう眠い。クリスマスイブの夜に、こんなところに来る人がいないとは思いつつ、強行先行アップです!
******** X'mas 企画5 days of Christmasn in 花園 *******
サンタクさんの贈り物 15夜 聖誕快楽!
クリスマスの日、手袋を二重にしてリンホンは出勤した。ここ2週間、奥さんは調子がよいようで、頬はまだこけたままだが血の気が戻っている。リンホンが食事を作った日ぐらいから体調が上向きになり、食欲も少し出てきたようだ。
「たぶんつわりの時期が終わったのよ。大樹のときもそうだった。急に終わって、あとは生むまで元気だったから、もう大丈夫。」
実際、この1週間はクリスマスツリーを出して飾り付けたり、大樹を連れて買い物に行ったりと、見違えるようだ。
鈴木家のドアを開けると、興奮しきった大樹が駆け寄ってきた。
「リンホン!リンホン!サンタクさん来たんだよ。大樹がほしかったロボットをくれたんだよ!」
「よかったね、大樹。ママが具合が悪くても、ちゃんと良い子にしてたからだよ。サンタクさん、来たね。えらかったね。」
大樹は誇らしそうにロボットをかかげる。
「これはリンホンから。」
リンホンは休みの日に買った手袋を差し出した。日本のアニメのキャラクターのついた手袋。紐がついているので、大樹でもなくさない。包みを開けた大樹は
「わあ!」
と言って、早速手にはめてようとする。リンホンが手を貸した。さわぎを聞きつけた奥さんが、おはようといいながら奥からやってきた。
「大樹、なんていうの?」
「リンホン、ありがとう。シェイシェー。」
「それからあるでしょ、あれが。」
奥さんの目配せで、大樹が奥に引っ込んで大きな包み2つを抱えてきた。リンホンに押し付けるように渡す。奥さんが、
「リンホン、メリークリスマス。これは私から、こっちは大樹から。」
と言った。リンホンは、思いもかけぬことにびっくりした。
「あけてみて。」
大樹と奥さんが口々に促すので、C国の習慣に逆らって包みを開けると、大樹からの包みからは犬の刺繍のカバーがかかったクッションがでてきた。
「大樹がね、リンホンは犬が好きだからって。リンホンが前にいたおうちののリッキーに会えなくなってさびしがってるって言うのよ。この前、お買い物に行ったときに自分で見つけたのよ。」
「リンホン、わんわん、リッキーだよ。」
確かに、大樹にはリッキーと撮った写真を見せたことがある。そして、クッションに刺繍でで描かれている犬は、リッキーにそっくりだ。奥さんのほうの包みからは、ぎゅうっとたたまれていた腰まである丈のダウンジャケットが、とび出すように出てきた。
「こっちは私が選んだから、気に入るかどうかわからないけど。自転車で朝、寒いと思って。タグをつけたままだから、気に入らなかったら取り替えられるわよ。」
見ると、名前だけはしっているC国の有名なデパートのタグがついている。
「こんな良いもの…。私、着たことないです。もったいないです。」
「リンホンには、10月から体調が悪くてお世話になったから。大樹の世話してもらって、中村さんのところで教わった日本食まで作ってもらって…ほんとにありがたかったの、あのおにぎり。ほんとに、私のママの味がしたのよ。」
奥さんはあらかじめ練習でもしたのか、今日はいろんなことをC国語で言う。
「これからはね、私がリンホンにたくさん日本料理を教えてあげる。私たちもパパさんの仕事でいつかは転勤になるから。そしたらリンホン、また新しいうちに働きに行かなきゃいけないでしょ。日本料理がたくさん、上手にできれば仕事もえらべるし、お給料がいいところに働きにいけるじゃない。」
リンホンは、覚えた日本語でお礼を言おうとしたが、胸がいっぱいになってしまって何もいえなかった。
「シェイシェイ…」
そういうのが精一杯で、あとは大樹のくれたクッションに顔をうずめた。
(つづく…)
え~クリスマスなのに終わらない?
つづきはまたあとで。
まだ間に合う、クリスマス競作