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2012年08月01日
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テーマ:お勧めの本(7255)
カテゴリ:読書


ミゲル・デリーベス著「異端者」を再読し、一番長い章を読み終わり
ました。

この本はタイトルからも想像できるように16世紀スペインでの異端
審問をテーマにしているので、内容はかなり暗く読みにくい、誰にでも
お勧めできるという本ではありません。でも今の私は体調も悪く、うん
ざりするほど暑い日が続いて眠りたくても眠れないので、この本は
気分的にはぴったり合いました。

主人公のシプリアーノは大人になり、まずただ1人愛した女性である
乳母のミネルビーナをさがそうとしますがそれはかないませんでした。
けれども彼は父の残した財産と叔父の援助もあって毛皮を扱う商人
として成功し、新しいデザインを考えたりもします。ちょうどこの時代は
宗教改革が始まっただけでなく商業が発展し、家内工業から人が集ま
って作業する工場ができたりと社会も大きく変わっていったようです。

「ジェーン・エア」のロチェスター氏の妻が気が狂ったように、シプリアー
ノの妻テオも最後は気が狂ってしまうのですが、その結婚は親が無理
やり決めたものではなく、シプリアーノ自身が気に入って叔父夫妻を
説得したものでした。生まれてすぐ母を失い乳母に育てられた彼はど
うしても母親を求めてしまい、大柄で働き者、羊の毛刈りにかけては
並ぶ者がいなく「パラモの女王」と呼ばれたテオは最初は理想的な結婚
相手でした。小柄で色黒毛深いシプリアーノに対して、テオは体がかなり
大きく色白で毛が少ない、見た目には似たところがなくて叔父夫妻は心配
するのですが、シプリアーノは気にしませんでした。

最初から間違いだったと後悔するようなロチェスター氏の結婚に比べて
シプリアーノとテオは最初かなりうまくいっているのですが、子供ができ
ないことで追い詰められていきます。当時は今以上に子供ができない
のは大変なことだったのでしょう。夫シプリアーノは商売で成功している
から家にお金はいくらでもあるしお手伝いさんもやとっている、でもそうい
う状況だからこそなお子供ができないことが耐えられないという気持ちは
よくわかりました。テオの場合はロチェスター氏の妻バーサのように住み
なれたところを離れて全く孤立無援というわけではなく叔母と一緒に買い物
に出かけ室内装飾に凝ったりもする、でも子供ができないことで追いつめ
られ、夫が不妊治療に役立つ薬(銀と鉄の粉末)を飲まなかったということ
で逆上しついには常軌を逸してしまいます。このあたり、気持ちはよくわか
ると思いました。

そのような結婚生活の中、シプリアーノは次第にルター派の考えに傾倒
していきます。彼をグループにさそったペドロ・カサージャの兄は皇帝
(スペイン王カルロス1世のことか?フェリペ2世はスペインを継いだけど
神聖ローマ帝国を継いだのはカルロス1世の弟フェルディナンドだから)
と一緒にドイツを旅したと書いてあってびっくりしました。異端者として告発
されるような人は最初から異端的な考えが強いとイメージしていたのです
がどうもそうではなさそうです。皇帝のすぐそばにいたり高い地位の聖職者
だったりした人が別の考えを受け入れ傾倒していく、ルター派の場合ドイツ
では数が多くなって主流になるけどスペインでは弾圧が激しくたくさんの人
が処刑される、時代や住んでいた場所によって運命が大きく変わり主流派
になる人がいるかと思えば異端者として残酷な拷問、処刑により抹殺され
る人もいる、その違いはあまりにも大きいと感じました。

主人公シプリアーノはペドロ・カサージャとの出会いによってルター派に
傾倒していくわけだけど、宗教にのめり込んだ背景には純粋な信仰心だ
けでなく、カサージャ博士の家族との繋がり(特に母と)、秘密めいた集会
の魅力、自分が信頼され重要な仕事を任されている誇り、集会に来た令嬢
への憧れ、など人間関係に魅かれているなと強く感じました。これが純粋
な信仰心や教義について長々と書かれていたらおそらく私は共感しなか
ったと思います。商売では成功しても子供ができないということで妻をいら
だたせついに狂わせてしまう主人公の気持ちというのはよくわかりました。
妻の立場からすれば大事な不妊治療の薬を忘れてわけのわからない
集会に足しげく通うのは浮気をされる以上に自分をないがしろにされたと
腹がたつものだと思います。双方の気持ちがよくわかるので、この本は
国も時代も違って長いけどある意味読みやすい作品でした。





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Last updated  2012年08月01日 16時04分17秒
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