458045 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ホビットの家

ホビットの家

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

ピピ101

ピピ101

Favorite Blog

映画日記2005 優駿0227さん
Cinema Collection ひろちゃん★510さん
ケルトの夢 shimikotoshioriさん
クッチーより愛をこ… Almadaさん
よもやまシネマ 珂音さん

Comments

ピピ101@ Re:おめでとうございます(02/28) ももんがさん コメントありがとうございま…
ももんが@ おめでとうございます 次男くんすごいですね! 進学先が決まると…
ピピ101@ Re:センター試験終わりましたね(01/15) ももんがさん コメントありがとうござい…
ももんが@ センター試験終わりましたね ご無沙汰です 私の娘もセンター試験を土曜…
ピピ101@ Re[1]:新しいパソコン(12/24) kimaさん コメントありがとうございます。…

Freepage List

2012年08月10日
XML
テーマ:お勧めの本(7264)
カテゴリ:読書


この本は8月の楽しみとして少しずつ読んでいくつもりでしたが、
1回読み始めるとページをめくる手が止まらなくなり、あっという
まに上巻の半分以上読み終わってしまいました。8月になって
からは仕事先でも私生活もトラブル続き、おまけに坐骨神経痛
もすっきり治らず、どんよりと暗い毎日を送っていたのですが
(オリンピックも見ているけど自分の体調がイマイチで心配事が
多いので夢中になっては見られない)そんな中読書は大きな慰め
になりました。本を読んでいる間は腰の痛みも忘れていて、これ
だけ夢中になれる本との出会いは久しぶりです。

私は芸術、思想、小説、そして食べ物もスペイン、イタリアあたりが
1番相性がいいようです。そして登場人物の名前もミゲル、カルロス
ダビッド(デヴィッド)などスペイン系が好き、主人公の名前が今回
はダビッドなので名前だけでも盛り上がりワクワクしました。



この先大きなネタバレはないけど内容に触れます。


17歳で小説家になったダビッドは、その後怪しげな出版社と契約して
名前を変えてミステリー小説を出し、たちまち売れっ子作家になります。
1人で住んでいたボロアパートから何年も人の住んでいない古い館に
引越しし、精力的に仕事をこなしていきます。新聞に小説を発表する
きっかけをくれた20以上も年上の同僚で友人のビダルは金持ちの御
曹司、彼の運転手の娘クリスティーナにダビッドは密かな好意を持つ
ようになります。ビダルはコラムは得意だけど小説の才能はイマイチ
秘書になったクリスティーナはビダルの原稿を密かにダビッドのところ
に持ってきて手直ししてもらいます。すっかり手直しされている秘書が
タイプで清書した原稿を読んで自分の小説は素晴らしいと感激する
ビダル、自分で書いた話かどうか普通わかるでしょと突っ込みを入れた
くなりました(笑)ダビッドの方は美しいクリスティーナに魅かれて昼は
ビダルの小説、夜は出版社との約束通り別の名前での小説を書くとい
う生活ですっかり健康を損ねてしまいます。

10年後28歳になったダビッドは医者に余命宣告をされてしまい、自分
の名前で渾身の1作を書いて出版しますが、それは評判がよくありま
せん。逆に同じころ出版された手直ししたビダルの著書が絶賛されて
しまいます。体の調子もよくなく(激しい頭痛がある)絶望的なダビッド
は古本屋のセンペーレに導かれて「忘れられた本の墓場」へ行き、自分
が守るべき唯一の本「不滅の光」を手に入れます。そして不思議な編集
者アンドレアス・コレッリと会い、特別な本を書いてくれるように頼まれ
それと同時に体の調子はすっかりよくなってしまいました。でもその日
の夜、ダビッドが契約していた出版社で火事があって共同経営の社長
2人が死に、ダビッドは警察から目をつけられるようになります。

めまぐるしく変わるダビッドの境遇と逆にまったく変わらずそこにあり続ける
「センペーレと息子書店」その中の無口な息子というのが気に入りました。
ダビッドより少し年上の息子は美青年でありながら女の人にも全く興味
を示さず父親は彼が聖人になってしまうのではないかと心配している
のです(笑)まあ「風の影」でセンペーレの息子がどうなるかわかっている
のですが、このように前に読んで知っている人物が別の形で登場するの
はうれしいです。

「風の影」にも登場する「忘れられた本の墓場」それがいつできたかはわか
らないけど、異端審問が行われていた頃禁書を密かに隠して未来に託した
者がいたのではないかというようなことが書いてあって、本というのはその
時代に受け入れられず著者が抹殺されていても密かに隠され伝えられる
ことがあるということを強く感じました。未来にへのメッセージにもなるし、謎
の編集者が言うようにそのために命を捧げ命を奪うこともあるほどの新しい
宗教となる物語、という言葉も実感があって迫ってきました。「風の影」と同じ
ように今回も主要人物が火事で亡くなっています。スペインでは異端者の
処刑が多く行われ、火刑が恐ろしい刑罰として記憶に深く刻み込まれている
のかもしれないと思いました。スペインの歴史を少し知り、他のスペインの
作家の本も読んでいるので、火事による死や禁書ということばが本に印刷
された文字から飛び出して迫って来るような実感がありました。主人公が
激しい頭痛に苦しむ場面も自分もここ数カ月の間に腰痛だけでなく頭痛にも
苦しめられたからよくわかる、まさに作者は自分のためにこの小説を書いて
くれたのかもしれないと錯覚するほど、今の自分の読書体験や心境にぴった
り合った本です。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012年08月10日 15時57分07秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.