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カテゴリ:芸術
「ターナー展」がいよいよ今月18日で終わってしまうので
最後にもう1度と思い見てきました。4回目になりこれは美術 展としては私の最高記録です(笑)さすがにこの回数だともう 呆れて読む人は少ないだろうと予測して、好き勝手な感想を書 いています。 同じ美術展に2回行ったのは「ボルゲーゼ美術展」でした。これ はカラヴァッジョの「洗礼者ヨハネ」が見たくて行ったわけで、 この絵に関しては古い映画での「カラヴァッジオ」に若き日の ショーンがモデルとして出ていたので鮮明な印象がありました。 若き日のボロミアが赤いマントをつけて椅子に座っている映画の シーンに興奮しまくり、その印象で絵を見て「あれ、洗礼者ヨハネ ってこんなに若かったの?」と驚きましたが強烈な既視感があり ました。まあ映画のDVDでその場面を何回も見ているのであたり 前ですけど(笑)ターナーの絵も、どこかで見たことがあるという 既視感がすごくありますって4回も見に行けば見たことある絵ばかり です(笑) カラヴァッジョの絵はたとえて言うなら舞台演劇、実際にモデルを 使ってそのポーズをとらせて絵を描いたようです。それに比べて ターナーの絵は映画的、実際にその場所に行って雰囲気を写し取る ことにこだわり、登場人物にはあんまりスポットをあてていません。 主役はあくまでも景色や建物です。 今回印象に残ったのはまず、「ダラム大聖堂の内部・・・」若い時 の作品です。建物の内部がとにかく正確に細かく描かれていて、光 があたった場所とそうでないところの差が見事、鉛筆と水彩だけで これだけの表現ができるのかと驚きました。私には絶対真似できま せん。 そして「エジプトの第10の災い、幼子の虐殺」これはロイヤル アカデミーの正会員に選ばれたすぐ後に出展した作品です。聖書か ら題材を取り、大きなキャンバスに描くアカデミーにふさわしい 作品です。やっぱりターナーの関心は人物よりも風景や建物にある ようで、人物は小さく描かれています。ただ人物は小さく描かれて いるのですが、その悲劇を人物の表情や身ぶりで表現するのではな く周りの景色や空の色であらわしています。そのような悲劇があった 場所やその時の空はこんな感じだったに違いない、そう思える場面 で、じっと見ていると子を殺された母親の叫びや悲鳴が聞こえ、死 んだ子を連れて行きさらなる災いをもたらそうとするナズクルやオーク が空に待ち構えている、そんな雰囲気の絵です。もちろん実際の絵に そのようなファンタジー映画の化け物が描かれているわけではないの ですが、眼の錯覚や自分の心理状態によるものなのか、とにかく今回 はいろいろな絵で木の後ろや海の上、空にだまし絵のようにトカゲや 化け物の姿が浮かび、うーん、これはヤバイかもと思いましたが(笑) じっと見て何が浮かんでくるか試すのも楽しかったです。 「レグルス」の光の表現、「戦争・流刑者とカサ貝」の赤と黄色、「平和 水葬」の青と黒の使い方などターナーにしかできない表現で、本当に色と 光が感情を持ち、エネルギーとなって迫ってくるようでした。ターナーの 絵を見ることは私にとっては忘れることのない強烈な体験でした。
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