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2014年01月31日
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テーマ:お勧めの本(7264)
カテゴリ:読書



「英国の水彩画」斎藤泰三著 という本を読みました。英国の水彩画
に関しては2年前の秋「巨匠たちの英国水彩画展」というのを見て衝撃
を受け、絵の見方が根本的に覆されました。それまでも美術展にはわり
とよく行っていましたが、その目的は有名な画家が描いているから、世界
史に出ている人物が描かれているから(ハプスブルク展など)、映画で
見たことがあるから(カラヴァッジョなど)のどれかでした。まったく
予備知識がなくたまたま入った美術展でターナーの水彩画、特にリギ山
とヴェネツィアが描かれた絵に一目ぼれ、絵の前から離れられなくなり
じっと見ていたら涙まで出てきた、絵を見てこんなにも心が揺さぶられる
のは初めての体験でした。後半にあったそれらの絵を見て、もう1回入口
近くまで戻り、ターナーの絵を全部見直したくらいです。それからという
もの、画家での私の中のベスト1はターナーになり、去年秋の「ターナー展」
は全部で4回行きました。

私の絵に対する考えを根本から変えた英国水彩画について書かれたこの本は
歴史的背景や日本との関係、画家1人1人の生涯や代表作に、絵についての
考え方なども詳しく解説してあってとても興味深いものでした。英国の水彩画
は日本でも明治時代とても愛され、島崎藤村などは実際野外で水彩画を描いた
ようです(「千曲川のスケッチ」という著書があるけど、本当にスケッチをし
ていた)

英国は最初絵に関しては後進国でした。中世の美術が百年戦争やバラ戦争、さ
らにはヘンリー8世の宗教改革やピューリタン革命などでそれまでの芸術が徹底
的に破壊され、不毛の地となっていたからでした。それがオランダとの結びつき
で少しずつ絵画が入ってきて、産業革命で経済的に豊かになった市民が増え、絵
の需要が高まって多くの職業画家や版画家が出て、それが次第に精密になりまた
詩情豊かな絵が描かれ、ガーティンとターナーという同じ年の天才が現われて
英国水彩画は頂点まで高められる、芸術は歴史的背景と個人の才能がちょうど一致
した時に奇跡のような発展をとげると思いました。

この本で紹介されている画家の中で特に気になったのがアレギザンダー・カズンズ
とジョン・ロバート・カズンズの父子でした。父アレギザンダーはまずロシアで生
まれ、ピョートル大帝の隠し子であったという噂があったという出生からしてドラマ
チックです。隠し子であるかどうかはともかく、彼の父は造船技師で皇帝に仕え、
アレギザンダー自身ロシア宮廷とは関係が深く皇帝の命令でイタリア留学をしてい
ます。ロシアで生まれイタリアで学んだスケールの大きさが芸術にも影響するので
しょう、彼の水彩画は理想的な美を追求し無限の宇宙を感じさせるところで単色や
豊かな色彩を持つかの違いはあっても50年後のターナーと通じるところがあると
書いてありました。その息子であるジョン・ロバート・カズンズは画家としては父
よりも有名になり、ターナーにも大きな影響を与えていますが、後に発狂して死ん
でいます。この人以外にも同じ時期の水彩画家で40代で自殺した人がいたり、ター
ナーと同じ年の天才画家ガーティンは27歳の若さで夭折していたり、芸術家の
人生は死や狂気と隣り合わせで、そういうぎりぎりの崖っぷちを知らなければ人を
感動させる本当の芸術は生まれないのかもしれないと思いました。ターナーもまた
幼い頃に妹が亡くなり、母も精神病院で亡くなるという不幸を背負っていました。

ターナーの親友であり最大のライバルでもあった天才画家ガーティン、夭折した天才
などというとついつい孤独で暗いイメージを持っていたのですが、彼自身はターナー
とは違って明るく快活、多くの人に慕われ後継者も多かったようです。ガーティンの
絵の解説をよく読んで口絵を見てみると本当に詩情があって素晴らしいです。2年前
の英国水彩画展、その時はガーティンの絵は夭折したターナーの親友の絵という興味
でしか見ていなかったし、カズンズ父子の絵に関してはほとんど記憶に残っていない、
もったいないことをしていました!イギリスに行く機会があったらターナーの絵はもち
ろんのこと、他の水彩画家の絵もじっくり見たい、いや水彩画を見るためだけでいい
からイギリスへ行きたいと強く感じました。


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Last updated  2014年01月31日 14時45分28秒
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