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テーマ:DVD映画鑑賞(13639)
カテゴリ:映画・ドラマ
今年は谷崎の没後50年ということで市川崑の『鍵』(主演中村雁治郎&京マチ子)を鑑賞してみました。
【リユース】【中古】鍵 [DVD]/中村雁治郎,京マチ子,叶順子 『鍵』はいろいろな要因から当初の構想通りに書けなかったこともあって谷崎自身は必ずしも満足の出来とは思っていなかったようだけど、主人公夫婦それぞれの秘密の日記を媒介にした心理戦がとても面白く、私はけっこう好きな作品です。 この市川崑監督の『鍵』は原作で大きな役割を果たす夫婦の秘密の日記が登場せず、原作では大学教授の主人公が、骨董品の鑑定家になっていたり、原作とは違い結末に大きなどんでん返しがあったりとけっこう大きな変更を加えているのが特徴でしょうか。 その点、谷崎の原作の雰囲気にわりと忠実なのが昨年観た川島なお美と柄本明の『鍵』ですね。 市川崑版の『鍵』は原作のように夫婦が互いの秘密の日記を盗み読みする行為の代わりに、映画の観客が登場人物を覗き見しているような感じのアングルで意図的に撮っている感じですかね。格子とか人の頭で視界がさえぎられていて観づらい感じが、原作の夫のカタカタと漢字の読みづらい日記を読む感覚に通じるものがあるかも? ただ設定や結末をいじりすぎているので、まったく別物のブラックユーモアあふれるホームドラマと思ってみた方が楽しめるかもしれません。 市川崑版は個人的に妻役の京マチ子が素晴らしいと思います。 川島なお美版では妻が夫の死に際して、中途半端に同情を見せるのに対して、京マチ子は「死んだ♪」とにニヤりとするところがイイですねwやはり谷崎の小説の女は最後まで悪女でなければいけません。中村雁治郎の死ぬ間際の顔も満足感があって良いですw 【楽天ブックスならいつでも送料無料】鍵 [ 谷崎潤一郎 ] 谷崎の『鍵』の文庫本は、注解が異様に詳しい新潮文庫が容易に理解できて初めて読むのには最適なのでしょうか…。ただ中公文庫版は注解はないものの、棟方志功の味のある版画がのってるのでまた別の魅力があります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.11.15 01:13:57
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