演劇集団キャラメルボックスの舞台へ。
公演がお盆期間中だったので迷ったのですけれども
先回の幕末ものが面白かったので、友人と日にちを合わせて
チケットを取ったところ、予定が合わなくなったとのこと。
ふと、龍馬伝を熱心に観ている(わたくしの拙い解説付きで☆)
夫が興味を持つかもしれないと思い、誘ってみると
「行ってもいいよ」という返事だったので譲ってもらうことに。
演劇鑑賞にまったく興味がなく、劇場に足を向けたことさえなかった夫ですけれども
昨年、たまたま懸賞でいただいたペアチケットのおかげで、
いきなり海老蔵さんの歌舞伎、通し狂言「雷神不動北山櫻」を観てからは、
心の枠が一挙に取れてしまったよう、暑い暑い日に、夫婦で観劇しました。
【作品の内容に触れますので、ご覧になりたくない方はどうぞスキップなさって下さいね】
「また逢おうと竜馬は言った」
旅行会社に勤める岡本(畑中智之さん)は乗り物が苦手、やることなすこと上手くいかないが
「竜馬がゆく」という作品に出会って以来、本の台詞で自分を鼓舞しているうちに
竜馬(大内厚雄さん)が実像として常に彼の傍らにいるようになる。
あるとき、岡本の代わりに同僚の本郷(石原善暢さん)が添乗員をつとめた
熟年夫婦のためのツアーに何故か若い女性客がひとりで参加、
旅が終わったあともトラブルが次々巻き起こり…
幕末の志士たちのごとく、疾風怒濤といった感じで駆け回る様子だけでも
圧倒されてしまう舞台。特に岡本役の畑中さんは、スーツから汗がしたたり落ちるほど
全力疾走しておられました。
鑑賞したのは、ちょうど大河ドラマで、長州藩へ西郷隆盛がやってくるのを
今か今かと待った挙句に、京都へスルーされてしまった回のあと。
複雑怪奇で、あっという間に現在地がわからなくなる
幕末の変遷を映像で見たあとでしたので、
舞台での、夫婦のすれ違いを薩長の関係になぞらえたあたりも
台詞をリンクさせて平易に観ることができたように思います。
「面白かった。大河を観てたから分かりやすかった」
鑑賞後の夫の言葉。
この作品の上演そのものは、数年前から決まっていたのだそうですけれども
幕末ビギナーにとっては、同年の大河の偶然は大きなアシストになったよう。
小さな偶然と一人一人の思いの積み重なりが志を同じくしたときに爆発的な力になったように
一番小さな共同体のなかから始まる、時がいまも営々と育まれていると信じさせてくれる
舞台でした。
「演劇談義の日記」