展示室ごとに壁紙の色や照明で完全に印象が変わり、まるで
5つの美術館を一度に訪れたような濃厚な時間を味わえるのも
繰り返しヤマザキマザック美術館を訪れてしまう理由のひとつ。
年代ごとに作品を分けて展示することはあっても、絵の印象が薄まらないようにするためか、
白など、壁の色は単一、ましてやどんな照明が使われていたかということは、ほとんど
記憶に残っていないのが、通常の美術館&博物館ではないかと。
面白いなと思ったのが、2011年秋に改装の終わったオルセー美術館も以前は
床や壁や天井にはベージュといった単色の色合いと明るい間接照明が使われていたのが、
床は落ち着いた色合いのフローリングに、壁は展示室ごとに、どちらかというと暗めの色を
採用したということ。
ヤマザキマザック美術館が開館したのは、オルセーの改装工事真っ最中のときのこと。
オルセーの壁や床の色が変わり、展示された絵の印象がさらに深くなったという分析をした
美術番組をたびたび目にするのですが、それを先取りするような、そのさらに上を行くような
思いをかけた素敵な美術館が名古屋に誕生していたのです。
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(マリー・アントワネットの時代、ロココ絵画を堪能できる
ヤマザキ・マザック美術館が当地にオープンしたのは2010年。
絵画のみならず、ガレなど花器や家具のコレクションも充実、
美しい館内で満たされたときを過ごせるのを愉しみに、今年も企画展・
「エマイユの煌き」を鑑賞、その余韻覚めやらぬうちに
ヤマザキマザック美術館さんより「ブロガー募集」のメールを拝受。
「コンスタントにブログを更新している、美術館で開催されるブロガーデーに参加後、
一週間以内に展覧会の紹介をするブログをアップできる」などの応募要件のもと、
昨年に続いて幸運にも、閉館後の静かな美術館でスタッフの方のお話を聞きながら鑑賞、
一定の条件を守りつつ、館内の撮影をさせていただくことができました。
ブログ用の0.3Mの朧な画像とメモ書きと記憶に頼った拙文ではございますけれども、
麗しい美術館の魅力を少しでもお伝えできれば幸甚に存じます。)
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ロココの大作が並ぶ紅の大広間に続くのは、ロダンやルノアールの彫刻や
自然主義、印象主義、野獣派といわれる芸術家の絵が集められた黄金色の回廊。
マリアテレジアモデルのシャンデリアの灯りが紅の壁を照らすロココの大広間から、
本当にガラリと印象が変わる、やさしい照明に空気が柔らかく輝く光りの空間で、
風景画や女性の肌合いも佳く映えます。
大々的に広められてはいないそうなのですが、実はこちらの
ロダンの彫刻は、手で触れてもOKとのこと。
実際に触られたという目の不自由な方は、体の形、筋肉のひとつ一つを
辿ってみることができて、とても喜んでおられたそう。
初めてこの美術館を訪れたとき、建物の外の、名古屋の街なかの大通りに面した歩道の、
目の高さで完全に触れられる場所にロダンの彫刻が置かれているのを、なんと豪気なことよと
感嘆していたのですが、全ての絵画がガラス板でガードされていないのと同様、
直に作品を愉しんでもらいたいという心意気が、この部屋にも満ちていました。
次はピカソ、モディリアーになどの並ぶ青の部屋へ。
「ヤマザキ マザック美術館 公式HP」
☆ 名古屋駅から地下鉄で7分、新栄駅の直通エスカレーターで美術館内に入れます。
「アントワネットの文机の日記」