信用取引には、証券取引所の規則による”制度信用取引”と、各証券会社が独自に設定する”一般信用取引”とがある。
で、信用買いには、制度信用を使うほうが断然お得だろう と思うので、今回はそのあたりのことを。
1.制度信用取引と一般信用取引の特性
【制度信用取引】
制度信用取引は、証券取引所の規則に基づいていて、主な特性として以下の点など。
〇対象銘柄は取引所が選定
信用買いができる制度信用銘柄は、監理ポスト・整理ポストなどの銘柄や上場直後の銘柄を除いてほぼ全ての銘柄が網羅されている。信用売りができる貸借銘柄は若干限定的。
〇決済期限は6ヶ月
〇信用買いより信用売りの多い銘柄には逆日歩(売りを建てている人が払い、買いを建てている人が貰う)が付くことがある。
【一般信用取引】
一方の一般信用取引は証券会社ごとの独自の設定がなされている。以前はあまり使われてなかったように思うのだけど、10年ちょっと前に松井証券が”無期限信用取引”と称して決済期限の無いサービスを開始して以降かなり広がってきている。
証券会社ごとに仕組みは違うのだけど、以下のような特性を有する場合が多い。
〇制度信用より対象銘柄が広い
〇決済期限は無期限
〇逆日歩は付かない
〇制度信用より金利が高い
2.信用買いなら制度信用が断然お得
信用売りについては、一般信用には、対象銘柄が広いとか、逆日歩が付かないとかのメリットがある。金利が高いことには注意しないといけないけれども、優待クロスなど一般信用を活用したい局面もある。
だけど、信用買いに関しては、ほぼ制度信用の一択だろうと思う。
一般信用は、決済期限が無期限というのが一見メリットのように思えるけれども、制度信用でも6ヶ月ごとにクロス取引(信用決済×新規買い建て)で乗り換える方法がある。
一般信用のほうが金利が0.6~1%程度高いので、”制度信用+6ヶ月ごとのクロス”のほうが断然得なことが多い。
例えば、1%の金利差で100万円分の信用買いなら半年で金利の差が5千円、1000万円分の信用買いなら金利の差は5万円。クロス取引の手数料の方が安い。
そもそも6ヶ月以内に決済したくなるかもしれない。そんな時は一般信用だと金利の差の分が丸々損になる。
それから、需給バランスで時には逆日歩が付くかもしれない。制度信用なら逆日歩を頂戴できてウマウマなのだけど、一般信用なら頂戴することが出来ない。この面でも一般信用は不利。
一般信用は対象銘柄が広いことがメリットだけど、買いに関しては制度信用もほぼ全ての銘柄を対象としている。仮に上場直後の銘柄など制度信用対象外のものを信用買いしたい時には、代替手段として”現物で持っている信用対象銘柄を信用買いに振替え(現物売り×新規買い建てのクロス)、捻出した現金で信用非対象銘柄を現物買い”という方法もある。
なので、買いについては、制度信用でほぼ対応できるし、コストの比較では制度信用が断然お得。
3.感想など
信用取引の最大のコストは金利。
逆に証券会社の立場からは金利が最大の収入源(なので、HPなどでも目立たないようになっているのだろう)。
無期限信用は、一見便利な様で証券会社の収益拡大のための大発明。
銘柄選びは当たるも八卦的なものだけど、金利の節約などコストのコントロールは確実にできること。できることから、コツコツと。