Kenny Garrett:Do Your Dance!
JAZZ JAPANで久保田高司が確か「本当ににいい」とか書いていたので、疑問を持ちつつ、ある程度信頼している評論家なので、聴いてみた。「本当にいい」とまではいかなかったが、名盤とまで言えるかどうかわからないが、ほどほどいい感じで、少なくとも快作とは言えると思う。ディストリビューターのコメントによると『今回のテーマは「人々が踊り出す瞬間の歓喜と躍動感」。「ハードバップやカリプソでダンスしていた世代」へのオマージュも込めた、リスナーたちのダンス衝動に訴えかける一枚に。』だそうだ。ボサノヴァ、カリプソ、スピリチュアル、メインストリームにヒップホプを含むバラエティに富んだ選曲。ギャレットの守備範囲の広さを示した作品と言える。ダンス音楽なので、ほとんどがお手軽な音楽なのだが、シリアスな音楽もある。コルトレーンを思わせる「Persian Steps」はコーランが流れる部分があり、そこで出てくるフルートの艶っぽいメロディーとともになんとも言えない雰囲気を感じさせる。後半のピアノ・ソロはマッコイ・タイナーそっくりで、ドラム共々コルトレーン・カルテットの熱いサウンドを思い出させる。因みにこの曲で使われている「シュルティ・ボックス」はインドで使用される小ぶりな管楽器で、 主にドローン楽器として使われるそうだ。「Chasing The Wind」では一転してギャレットのインプロバイザーとしての凄味を感じさせる。ピアノ・ソロも熱演だった。今回の演奏で最も心惹かれる音楽で、聞き手も熱くなってしまった。タイトルチューンの「Do Your Dance」は軽く、あまり面白くない。同じ軽いものでも、ボサノヴァの「Bossa」やカリプソの「Calypso Chant」のほうがいい。「Calypso Chant」を聴いていると、渡辺貞夫の演奏を思い出した。ところで、渡辺貞夫は9月の岩手ジャズ祭りに出演する予定だが、関係者の話だと、体調が思わしくないらしい。渡辺貞夫も年なので、聞いておかなければと思っていたので、何とか回復して元気な姿を見せてほしいものだ。閑話休題ヒップホップ系はラッパーが参加している。タイトルチューンはダンス音楽なのでわかるとしても、スピリチュアルな「Wheatgrass Shot (Straight To The Head)」が、ヒップホプに合うとは意外だった。Kenny Garrett:Do Your Dance!(mackavenue MAC1098)1.Philly2.Backyard Groove3.Wheatgrass Shot (Straight To The Head)4.Bossa5.Do Your Dance!6.Calypso Chant7.Waltz (3 Sisters)8.Persian Steps9.Chasing The WindKenny Garrett(as,p,fl,Shruti Box,Perc.,Vo)Vernell Brown,Jr.(p,Chant 7 only)Corcoran Holt(b)Ronald Bruner,Jr(Ds except 3,5,7)Rudy Bird(Perc.)Mcclenty Hunter(Ds 3,5,7))Donald "Mista Enz" Brown,Jr(Rapper)Recorded at Sear Sound,New York,NY