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カテゴリ:クラシック音楽
約20万枚のベスト・セラーになったというルノー・カピュソンのアルバム「シネマに捧ぐ」の続編で、フランス人作曲家の作品集。 原題は「Les choses de la vie」。 前作はちょい聞きで、それほどでもないと思い、保留にしていた。 今回は気に入ったナンバーがいくつかあり、レ・シエクルが共演していることも理由でダウンロード。 いつものpresto musicからのダウンロードで、ワーナーがk国よりも安いM国が見つかったので、そこからのダウンロード。 ブックレットにこのアルバムについてのカピュソンの言葉が載っている。 『このアルバムの狙いは、ジョルジュ・ドルリュー、フィリップ・サルド、ミシェル・ルグラン、モーリス・ジャール、ジョゼフ・コスマ、フランソワ・ド・ルバイユ、ジャン=クロード・プティ、ウラジミール・コスマ、フランシス・ライ、ガブリエル・ヤレド、フィリップ・ロンビ、アレクサンドル・デプラといったフランス映画の最も優れた作曲家たちの作品によるアルバムを制作すること。 彼らの音楽を通して、映画に出演していたロミー・シュナイダー、ミシェル・ピコリ、イヴ・モンタン、フィリップ・ノワレ、ルイ・ド・フュネスなどの魔法の瞬間を蘇らせることができれば幸いだ。』とのこと。 地味な曲が多いが、全体にフランス音楽らしい麗しい、しゃれた雰囲気がして、悪くない。 ただ、あまり突っ込んだ表現はされていないので、曲によっては物足りないこともある。 するりと交わされたような気になる曲もある。 カピュソンのヴァイオリンは艶やかな音色の華やかで詩的な雰囲気満点の演奏。 気に入ったのは「枯葉」。 実に詩的で、しみじみとした余韻の残る演奏。 ヴァースから始めていて、イブ・モンタンの歌を思い出してしまった。 spotifyでモンタンの歌を聞いたら、今回と同じような雰囲気がしている。 フランシス・レイの「ある愛の詩」が入っているのも嬉しい。 この曲、最近はめっきり聞くことがなくなってしまったが、改めて聞くといい曲であることを再認識。 2分ほどの少し速めのテンポで、もう少しじっくりと演奏してほしかった。 筆者は聞いたことがなかったが、フランスの最高の映画音楽作曲家といわれているジョルジュ・ドルリュー(1925-1992)の曲が7曲も入っているのが目立つ。 ミシェル・ルグランでもなく、フランシス・レイでもないところがみそだ。 wikiによるとフランソワ・トリュフォーの主要な映画作品で音楽を担当したとのこと。 このアルバムもトリュフォーの映画は『終電車』他数曲が演奏されている。 ここに収録されている曲を聴く限り、ウエットで悲しげな表情が特徴のようだ。 その中では優雅な「ベスト・フレンズ」や「終電車」、「わたしたちの宣戦布告のRadioscopie」など格調高いクラシカルな作品が良かった。 「サン・スーシの女」の情感漂う演奏も心に沁みわたる。 総じてあまり明るい曲がなく、同じ調子の曲が続くので後半はちょっと尻すぼみ気味。 その中では映画『追想』~クララ1939のスインギーで夢見るような表情がいい。 「アラビアのロレンス」が入っているのもアルバム全体のカラーから行くとちょっと異質な気がする。 最後は作曲者自身のアレンジによる『ニューヨーク←→パリ大冒険』のお祭り騒ぎで、なんとか帳尻を合わせている感じだ。 編曲は主にシリル・レーンという方が行っているが、ばらつきが多い。 カピュソンの演奏はもっと濃い表情をつけてほしいところもあるが、こんなものかもしれない。 この団体は古楽器とはモダン楽器を使い分けているらしいので、今回はモダン楽器を使っているのかもしれない。 レ・シエクルはサウンドに厚みと気品があり、フランスの香気が漂ってくるようなサウンドで、この楽団の起用は成功したと思う。 筆者としては古楽器のサウンドで映画音楽がどのように響くのか是非聞きたかったところだ。 直近のサン=サーンスの「動物の謝肉祭」のアルバムを聴くと、古臭さが目立ち、昔の無声映画のような感じになっていたので、却って逆効果になってしまっていたかもしれない。 録音は悪くないがテュッティで混濁気味になるところが惜しい。 ルノー・カピュソン:すぎ去りし日の...(Erato 5419779905)96kHz Flac 1.ジョルジュ・ドルリュー:映画『ベスト・フレンズ』(1981) 2.ミシェル・ルグラン:映画『華麗なる賭け』~風のささやき(1968) 3.ジョルジュ・ドルリュー:映画『愛と戦火の大地』~別れのコンチェルト(1992) 4.ジョゼフ・コズマ:映画『夜の門』~枯葉(1946) 5.ジャン=クロ-ド・プティ:映画『愛と宿命の泉』(1986) 6.ジョルジュ・ドルリュー:映画『終電車』(1980) 7.フィリップ・サルド:映画『すぎ去りし日の…』~エレ-ヌの歌(1971) 8.フランソワ・ド・ルーベ:映画『追想』~クララ1939(1975) 9.ジョルジュ・ドルリュー:映画『わたしたちの宣戦布告』~Radioscopie(2012) 10.ジョルジュ・ドルリュー:映画『メモリーズ・オブ・ミー』(1988) 11.カブリエル・ヤレド:映画『イングリッシュ・ペイシェント』~アズ・ファー・アズ・フローレンス(1996) 12.ジョルジュ・ドルリュー:映画『サン・スーシの女』(1982) 13.フィリップ・サルド:映画『フォート・サガン』(1984) 14.フランシス・レイ:映画『ある愛の詩』(1970) 15.フィリップ・ロンビ:映画『戦場のアリア』~無のテーマ(ロンビ編)(2005) 16.ジョルジュ・ドルリュー:映画『親愛なるルイーズ』(1972) 17.アレクサンドル・デスプラ:映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017) 18.モーリス・ジャール:映画『アラビアのロレンス』(1962) 19.ウラジミール・コスマ:映画『ニューヨーク←→パリ大冒険』(コスマ編)(1973) Cyrille Lehn arrangements (1, 2, 4–14, 16–18) ルノー・カピュソン(vn) レ・シエクル ダンカン・ウォード 2023年3月27-29日、アルフォールビル、ONDIF Studio お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年03月14日 17時15分08秒
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