アンナ・ネトレプコ THE WOMAN THE VOICE
今月号のレコード芸術に、アンナ・ネトレプコのインタビューがのっていて、最近ドイツでブレイクしたということに興味を持ち、米国版のDVDを安く手に入れました。早い話が、プロモーション用のビデオクリップ集みたいなもので、本体が正味28分あまりで、正直言って、ガッカリしましたが、他に、インタビュー、メイキング、ライブ映像が入っており、私の購入価格ではこんなものかなと納得しています。まあ、監督がマドンナ、マイケル・ジャクソンなどのビデオクリップで有名なヴィンセント・パターソンなので、こういう作りになってしまうのも当然かなと思いますし、制作側ではそれを期待していたんでしょう。 気に入ったのは本編ではなく、ライブ映像で、なかなかの見物です。全部で、3種類のライブが入っていて、一つ目が、2004年1月、バイエルン歌劇場での、『椿姫』のビオレッタ、二つ目が、2003年4月、ウイーン歌劇場での、これも『椿姫』のビオレッタ、最後に、1995年キーロフ歌劇場での『ルスランとリュドミラ』のリュドミラと、3つのライブが楽しめます。バイエルン歌劇場でのライブでは、第1幕の二重唱、「私があげられるのは友情だけよ」、これは、ハイライトが飛んでいるなど、映像的にちょっと問題があり、歌もさほど印象に残りませんでした。 ウイーン歌劇場でのライブでは、第1幕最後の シェーナとアリア、『ああ、そはかの人か~花から花へ』で、ここでは、彼女の力量が十分に発揮されていたと思いますが、あまりにも力強すぎて、これが肺病でやんでいる人の歌かと、ちょっと疑問になるほどでした。 ルスランでは、第1幕 アリア「私はとても悲しいの、愛しいお父様!」で、椿姫での違和感もなく、役にすっかりはまっていて、とても良かったと思います。衣装も彼女に合っていて、まるで、おとぎの国の物語のような感じで、すばらしかったと思います。これはRMアーツでDVD化されている物のようです。 さて、本編の方ですが、こちらは、モデルかなんかの映像みたいなもんで、歌は付け足しの様な感じでした。アングルがころころ変わって、注意が散漫になることおびただしいです。もう少し、映像が落ち着いてくれないと、聞く方に注意が行かなくて、これは、演出に問題有りと見ました。まあ、映像だけ見る分には、差し支えないと思いますが、彼女の魅力を十分に引き出しているとはあまり思えませんでした。ただ、ダンサーとの踊りなどは見事なもので、オペラ歌手でも、歌だけうまければ良いという時代だけではなくなりつつある、という感じがします。 映画『プリティ・プリンセス2』にも本人役で出演しているようなので、機会があったら見てみたいものです。 この中では、比較的映像の落ち着いている、『ドン・ジョバンニ』のドンナ・アンナのアリア「つれないですって?違うわ!…もう言わないでね」が、比較的楽しむことが出来ました。 また、『ルサルカ』からルサカのアリア『月に寄せる歌』が水に浮かべた浮き輪?に白い水着姿のネトレプコが寝ぞべり、背後に月が浮かんでいるというもので、これは映像的にもなかなか見物でした。なお、音源は彼女のデビューCD『宝石の歌』(ノセダ指揮ウイーン交響楽団)を使っているとのこと。 そのほか、ネトレプコのインタビュー、彼女自身の曲目解説、デビューCDのさわりなどで何とかつじつまを合わせたという体裁のDVDです。私の購入したのは米国版でしたが、リージョンフリーなので、ご自宅のプレーヤーでもご覧になることが出来ます。国内版は、バカ高いですから、購入の際は米国版を購入されることをお勧めいたします。ANNA NETREBKO THE WOMAN THE VOICE(DGG 073-2309-9)1.Charles Gounod:Faust Act 3 No.14b Air des bijoux: "Ah! Je ris de me voir"2.Giacomo Puccini:La Bohe`me Act 2 "Quando me'n vo`" (Musette's Waltz)3.Wolfgang Amadeus Mozart:Don Giovanni, ossia Il dissoluto punito, K.527 Act 2 "Crudele!-Ah no, mio bene!" - "Non mi dir, bell'idol" (Donna Anna) 4.Vincenzo Bellini:La Sonnambula Act 1 Care compaggne, et voi, teneri amici ... Come per5.Antoni'n Dvora'k:Rusalka, Op.114 Act 1 Mesicku na nebi hluboke'm 国内版DVDはこちら