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陽のあたる場所 ~がんで大切な人を失わないように~

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六本松 さくら@ Re:いのちの終わりの始まり(07/14) はっちょまんさんの言葉、 病院の風景や…

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2010.07.14
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カテゴリ:闘病記
がんは5年間生存できれば,ほぼ治癒したと見なされます。
術後に仮にがん細胞が残っていたとしても,5年間再発しなければ,
血液が入れ替わり,がん細胞が定着せずに消滅したことになるからです。
このため,がん患者は,再発せずに5年間生きることを目標とします。
toraは,もし生きていれば,この夏で5年となりました。

がんが見つかった5年前,toraはこころのバランスを欠いており,
心療内科に3年ほど通っていました。
心療内科のくすりは,様々な「刺激」に対して感受性を弱めるように
作用します。時にはけだるく,眠くなることもありました。
この頃も,梅雨が終わりかけた時期でもあり,だるそうにしていました。
お腹まわりも少しサイズアップしていましたが,さほど気にかけて
いませんでした。

お盆前のある日,カウンセリング後に先生が,しばらく血液検査を
していないから,検査してみようとおっしゃって検査しました。
toraは,検査代が高くつくと,ブーブー言っていました。
そして8月13日の朝に先生から電話がありました。
「血液検査の結果,肝機能の値が高くなっている。お盆明けに検査
 してみよう」とのことでした。
お盆なのにわざわざ電話をくださってねぇ,などと笑っていました。

この年のお盆は,toraの久しぶりのクラス会がありました。
帰省して参加したtoraは,2次会まで行って,とても楽しかったと,
お土産を手に帰って来たのでした。
しかし,これが旧友達との別れの場となってしまいました。

お盆明けに心療内科に行ったtoraは,すぐに消化器系の内科を紹介
されました。先生の大学時代の友人とのことでした。
このときはなぜかtoraが一人で受診して,エコーを取ったところ,
肝臓に腫瘍が4~5個あるとの結果でした。
私はのんきなもので,腫瘍イコールがんという認識はなく,良性の
腫瘍だってあるだろうと楽観していました。あまりにも無知でした。

その後は,流れに乗るように,上部消化器の検査(胃カメラ),
下部消化器の検査(大腸ファイバー)と続き,最終的にはCTの
画像とともに病名が確定しました。

「S状結腸がんの多発肝転移」

toraのいのちを奪うこととなったがんの診断でした。

診察室から出ようとする私の腕を,先生がガシッとつかみました。
ラグビーで鍛えた太い腕でした。
無言のまま,ジェスチャーで「イスに座れ」と促しました。
そして告知がなされました。

このくらい肝転移が大きくなってしまうと手術はできない。
年は越せないかもしれない。つまり余命は3~4ヶ月。
若い分,症状がどんどん進行するだろうから,ホスピスに
入れることもも考えた方が良い。

私は,もしそのとおりなら,在宅で看取りたいと言いましたが,
「素人にできるものではない。」と言われました。

この日はとても暑い日で,クリニックの外では蝉が鳴き続けて
いました。
でも,私は,暑さを感じることなく,蝉の大きな鳴き声だけが
感じられました。
告知がなされたクリニックの診察室の風景と,「冷たい蝉の声」
の感覚だけが,しばらくの間,消えませんでした。

普通は,がんの告知がなされても,本人には隠すものでしょう。
でも,私は,帰宅する車の中で,toraにすべてを伝えました。
さすがに「余命3ヶ月」だけは省きましたが。

もし仮に,先生のお見立てどおりだとすれば,toraに残された
時間は限りなく短いものです。
その「いのちの限り」を,本人が知らないまま,残された日々を
過ごさせることが,とても残酷なことに思えたのです。

気丈に聞いていたtoraが,家の近くの交差点に差し掛かったとき,
泣き始めました。
「再婚しないでっては言いにくいけど,再婚してほしくない。」と。

「まだ,死ぬと決まったわけでもないのに,気が早いな~」
と言いながら,私はまだtoraのいのちの終わりが宣告された
という事実を,まだ直視できずにいました。

これから3年10ヶ月におよぶ,toraのいのちの終わりが,
始まった瞬間でした。





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Last updated  2010.07.14 09:43:37
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Re:いのちの終わりの始まり(07/14)   六本松 さくら さん
はっちょまんさんの言葉、
病院の風景や季節、
お2人の会話が、
ぼくたち夫婦にあまりにも似ていて、
まるで自分の回顧録を読んでいるような気持ちになります。

10月が待ち遠しいです。
(2010.07.14 09:58:40)

Re[1]:いのちの終わりの始まり(07/14)   はっちょまん さん
いつもコメントありがとうございます。
回顧録を書くことに何の意味があるのか分かりません。
もしかしたら自分のこれからに対する「言い訳」なのかもしれません。
でも,がんと正面から向き合って,がんばって生きていたことを記録しておきたくて,書いてます。
ホントに,男二人,たまには娘の前で,大泣きしながら飲みましょうね(笑) (2010.07.14 11:59:29)


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