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科学の進化で医療の本質が変わろうとしているですか? 変えようとしているのか?
次に沖山氏は、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」の例を挙げながら、ロボットの応用可能性について語った。人間はある一定の波長の光や音しか捉えることができない。しかしロボットは、超音波センサーやサーモカメラといった機器を搭載することで、「知覚能力の拡張」を行うことができる。また、3本目の手やズームカメラ、手振れ補正機能などによって「運動能力の拡張」も行うことができる。そうすることでロボットは、ただの道具ではない「人間の能力増強デバイス」になるだろうと沖山氏は述べる。
続けて沖山氏は、VRがもたらす価値として「時間や空間を操作することが可能になる」ことを挙げた。特にVRは、医療技術のトレーニングに効果が高いのではないかと語る。例えば注射のトレーニングを行う際、生身の腕に針を思い切り刺すことはできない。しかしVR上であれば、敢えて思い切り刺してみることができる。こういう経験を通して、どこまでがOKで、どこからが失敗なのか、その境界線を肌感覚として感じることができる。失敗経験こそが技術習得の近道だと沖山氏は語る。
病気を治すことは手段にすぎないではこれらのテクノロジーの進歩によって、医療はどのように変化するのだろうか。沖山氏は「医療の目的は変わってきている」と語る。これまで医療は、病気を治すことに主眼が置かれていた。しかし、テクノロジーの発展によって多様なアプローチが可能となるこれからは、「価値に基づく医療(Value-based Medicine)」をはじめとする新たな医療パラダイムがより重視されるようになるだろう、と語る。価値に基づく医療とは、患者が本当に求めること(価値)を医療従事者が汲み取り、提供することを指す。
「病気を治すことは手段に過ぎず、本当の医療の目的は人を癒やすことです。医療の対象は『人』であって『病気』ではない。医師はただ治療するのではなく、患者の精神を支え、生活を支えるところまでサポートするのが本来あるべき姿です。また治療方針を納得してもらうためには、何を伝えるかではなく、どう伝えるか、が大切です。今後、医師は患者とどのような関係性を築くべきか、どのようにコミュニケーションを取るべきか、という課題に取り組むことが重要となってくるのではないでしょうか」と講演を締めくくった。
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Last updated
2018/07/01 09:50:38 AM
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