テーマ:短編を作る(405)
カテゴリ:SS系のお題
■和の言葉を題材にして50のお題
提供元:http://alethea.velvet.jp/wa_50/index.html 18:小春日和 身を切るような寒さが、涙と鼻水だらけの顔を襲った。吹き付ける雪の結晶が張りつき、水分を硬化していくようであった。皮膚の表面は痺れて感覚を無くしている。頭は随分と前から高い熱を放っていた。 家路に辿り着かぬまま躰を路上に投げ出したくなった。 人気の少ない深夜なら誰にも見つけられずに、朝になれば死体となれる。希望をそのまま実現化させたい、だが死屍を見つける赤の他人に迷惑はかけられなかった。 やはりと家に帰ってから死ぬこととする。 一人暮らしの家は当然ながら無人である。入ってすぐの温もりなど夢物語だ。病気をしても看病してくれる人もいない。 やはり死のうと思う、死んだ方がマシだった。 敷きっ放しの布団に潜り、二度と目覚めないようにと祈りをかける。だが、現実は思い通りの儚き願望を実現してはくれない。 覚醒した意識に抗うよう惰眠を貪る。 窓から入る日が暖かい。 あれほど冷え切っていた躰は震えることを忘れていた。起きあがってカーテンを開けると、そこに柔らかな光を抱いて座る人がいる。 「誰だおまえ」 「小春日和」 そういえば自分が何故、死のうとしていたのか思い出せない。 景色は穏やかなほど晴れ渡っている。 こういうときはこの言葉に限る。 「ま、いいか」 --------------------- ←また凄く時期外れなお題です(苦笑) ←小春日和の意味間違えている人多いですよね、そういう自分も間違えてましたが(苦笑)内容はオーソドックスに。 ■□■□■□■□■PR□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
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