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カテゴリ:将棋棋譜
さてこの局面、誰対誰の将棋でしょ~か? 「後手ゴキゲン中飛車に先手は丸山ワクチンだな」と思った人はなかなか最近の将棋事情をよくご存知。現代の将棋だと後手ゴキゲン中飛車はよくあるので誰か特定しづらい、という意見も多そうですので答えを発表します。 正解は何と「▲升田幸三△大野源一」で昭和13年の将棋です。「現代将棋に生きる大山振り飛車」に出ていたので、今回はこの将棋を使います。 同本によればこの時代には相掛かりが主流で、相掛かりでない将棋は将棋ではない、という評価だったようです。そういや20年くらい前は矢倉が同じような言い方されましたよね。 なのでこの当時の振り飛車はかなり新鮮です。さらにいえば先手の左美濃という発想も新鮮で、言い方を変えれば現代でも通用しそうな発想力というところなんでしょうかね。 ▲升田幸三ー△大野源一 出だしは現代でも指されそうな感じです。先手は飛車先の歩を交換して横歩を取るので、横歩取りの一種とも言える形。△5二飛では△4四角とする手法もあるところでしょうが、後手は中飛車から△2三歩を早く打って穏便な順にします。先手も玉の囲いより先に9筋の位を取ります。早くから端歩をポンポンと突く指し方も最近では自然ですが、今よりも中央志向の高い当時ではかなり思い切った手だと思います。 ▲1六歩までの局面が最初の図。途中の手順に多少違和感はあったとしてもこの局面は現代的な感じです。ただ現実には後手が一歩損で歩切れなので、後手がどうやって手を作っていくのか難しいところです。△3四飛では△2四飛もあったかもしれません。とにかく後手は△5四銀から6筋で一歩交換してその歩を使って攻める狙い。▲8六角はその牽制です。 △4四歩は仕方ないですが飛車の横利きが止まり、先手の歩が3六にあり振り飛車側にとっては少々恐い瞬間でもあります。そういった事もあって▲6五歩から先手が仕掛けて局面が動き出します。 後手も動き回って何とかしようとしますが、▲4四歩△4二歩と打たされた局面は後手の角がほぼ遊び駒になってしまったので先手がいいでしょう。 △5四銀打に▲1一とと香を取ったのが思い切った順。飛車は取られますが▲8四香が激痛です。これも先手玉がしっかりしているからできる攻めでしょう。最後まできわどい攻防が続きますが、後手だけ終盤状態なのと後手の角の働きが悪い、歩切れというのもあるので先手が勝ちやすいような気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.03.13 20:39:06
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