ゴッホ 肖像画 1888年〜1890年 アルルの女 ジヌー夫人 医師ガシェ ピアノを弾くマルグリット・ガシェ 恋する人 ミリエ少尉の肖像 1888年
ファン・ゴッホが一番情熱を感じるのは肖像画であると晩年の手紙に記しています。その情熱の成果とは・・・ゴッホが描いた友人の肖像画『アルルの女(ジヌー夫人、手袋と傘)』1888年油彩 カンヴァス アルル時代 92.5cmx73.5cmパリ「オルセー美術館」所蔵。アルル時代にゴッホが通ったカフェ「カフェ・ド・ラ・ガール」のオーナージョセフ・ミシェルジヌーの妻:マリー・ジヌー(1848年6月8日〜1911年8月2日)を描いた複数の作品の中で第1バージョンである。 フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホVincent Willem van Gogh1853年3月30日〜1890年7月29日(37歳没)ファン・ゴッホは・・・「最も情熱を感じるのは肖像画だ」とその晩年の手紙に記し、『医師ガシェの肖像』に関して「僕は、1世紀の人々に幻影のように見える肖像画を描きたい」と述べている。『アルルの女(ジヌー夫人)』は・・・『アルルの女』ジヌー夫人 1890年油彩 カンヴァス 65.0cmx49.0cmオッテルロー「クレラー・ミュラー美術館」所蔵。ゴーギャンのデッサンをもとに描いた油彩画で、『カフェ』原画のデッサンにはない2冊の本、ディゲンズのクリスマスの物語とビーチャー・ストウの「アンクル・トムの小屋」を描き込んだ。ガシェ家に伝わるパレットは、ファン・ゴッホが『ピアノを弾くマグリート・ガシェ』を描いた時に使ったものと言われている。ガシェ・・・と言えば、『医師ガシェの肖像』1890年油彩・カンヴァス 68.0cmx57.0cmパリ「オルセー美術館」所蔵。ゴッホは、謎めいたガシェ医師・・・ゴッホ自身と同様に鬱症状に悩まされる人物・・・と親しくなり、心臓を患うガシェ医師が他人を癒すことを仕事としているのに自分を癒すことのできないというアイロニーに驚きを覚える。画中で医師が手に持つジギタリスは古くから心疾患の治療に使われてきた。医師のポーズや眉間のしわ、構図を占める青い色彩にガシェのメランコリーが現れている。絵の陰鬱なムードを高める壁紙には一筋の波打つようなラインが横に走り、周囲に波及する医師の病いの本質を示している。『ピアノを弾くマルグリット・ガシェ』1890年6月油彩・カンヴァス 102.5cmx50.0cmスイス「バーゼル美術館」所蔵。おそらくトゥルーズ=ロートレックの絵が着想源となった作品。縦長のカンヴァスには、1890年代がアール・ヌーヴォーの時代だったことを思わせる。ピアノを弾くガシェ医師の娘を描くことで、ゴッホは、カンヴァスを目で楽しむ音楽に見立てているのだろう本作は、対象を描写することを意図した絵ではなく、見る者の感情を刺激することを目的とした絵画である。赤い地色に緑の力強い短棒タッチを散りばめた床は、補色同士が反転して、緑の地色に赤い水玉模様の入った背景となり、ピアノの角張った形がマルグリット・ガシェ自身の流れるようなフォルムと対照を成している。『アルルの女(ジヌー夫人)』1888年又は1889年油彩 目の粗いジュート布アルル時代 91.4cmx73.7cmニューヨーク「メトロポリタン美術館」所蔵。ゴッホが足しげく通ったアルルのカフェラマルティーヌ広場の「カフェ・ド・ラ・ガール」の女主人マリー・ジヌー。黒く長い髪を伸ばした彼女は、地元の衣装を身につけており、ゴッホとゴーギャンは、彼女を伝統的な「アルルの女性」とみなしていた。色彩と輪郭の独特な表現よりもむしろジヌーの温かみのある表情が印象的である。ゴッホの没後、1895年に画商:ヴォラールの手にわたるまで、ジヌーは、ゴッホからプレゼントされたこの作品を手元に置いていたお気に入りです『恋する人(ミリエ少尉の肖像』1888年アルル時代 油彩 カンヴァス 60,3cmx49.5cmオランダ「クレラー・ミュラー美術館」所蔵。フランス軍のアルジェリア人を中心に構成された歩兵隊いわゆる「ズアーヴ兵」の少尉だったミリエは、フランス領インドシナへの派遣の後に、アルルの兵舎に入った。絵を嗜んだ少尉とゴッホは、共に飲み明かす中でもあった。女性に奥手であったゴッホは、愛らしくも時には、羽目を外しがちなミリエを気に入っていた。ゴッホが「恋人の典型」としてミリエを描き出したのが本作であり、右上に描かれた星と月は、ミリエの部隊の紋章である。(参考資料:小学館、100%FanGoghより)(参考資料:朝日新聞出版ゴッホへの招待より)(参考資料:マイケル・ハワード著、VAN GOGHより)(写真撮影:ほしのきらり。)世界遺産にぽち