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カテゴリ:小説/物語
弁当を食べ終えてもまーちゃんは泣いていた。
さすがにこのときは大声は出していなかったが、シクシクと泣いていた。 食べ終えた弁当箱とスプーンやフォークを彼は自分で幼稚園のバッグに入れた。 そして水筒から水を汲んで自分で飲んだ。 そうしながらもシクシク泣いて「もう帰る。お母ちゃんのとこに帰る。」と繰り返していた。 私はもうこの時点で食欲すら無くなっていた。 「帰る。お母ちゃんのとこに帰る。」を繰り返す彼に、 「そんなこと言わんとせっかく来たんやから動物見いへんか?」と聞いてきたが、 私がもう何を言っても言わなくても同じ言葉を聞かされた。 正直私もすぐに帰ってこの状況から脱出したかったが、そうはいかなかった。 先輩のお母さんと帰る時間の約束をしていたのだ。 夕方4時以降がその約束の時間だった。 まーちゃんがお弁当を食べ終えた時点で、時間はまだ12時を20分ほどしか過ぎていなかった。 ここから4時までの時間がとてつもなく長いものに感じた。 なんとか機嫌を直してもらおうといろいろと策を講じてみたが、全く効果は見られなかった。 何をしても何を言っても「帰る。お母ちゃんのことに帰る。」の一点張りだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.01.23 02:26:54
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