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カテゴリ:小説/物語
私が周りの景色を見飽きてしばらく経ったころ、通りがざわつき始めた。
パレードがやってきたのだ。 外の景色が見えていない母にもその騒ぎの音が耳に入った。 「来たやろ?見えるか?」と私をさらに高く持ち上げてくれた。 「来た!見える!」 「あ、いてる、ウルトラセブンがいてる。大きなトラックの上にいてる。みんなに手をふってる。」 そう言って私も眼下に見える大通りに向かって手を振った。 ウルトラセブンと数体の怪獣を乗せたトラックが現れて姿を消すまで10分くらいはかかっただろうか、、、。 パレードが通り過ぎたことを告げると母は私をトイレの床にゆっくりと下ろした。 「ウルトラセブンどうやった。カッコよかったか?」 「うん、カッコよかった。みんなに手を振ってた。」 「そうか、よかったなあ。来た甲斐あったな!」 そんな言葉を交わしたあと、我々はその百貨店の屋上のベンチで朝から母が作って持参してきてくれたおにぎりを食べた! しかし、 しかしだ。 よく考えてみれば話は変わってくる。 今現在あのときの母の年齢にあのときより近くなった今だから、 このヨレヨレのハンバーグの袋の意味を知らされた今だから、 あのときの母の立場になってあのときの状況を考え直すとこができるではないか! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.03.16 03:10:49
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