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カテゴリ:小説/物語
受話器の向こうの母はいつもと変わらなかった。
母は自分から電話をしてきて私が不機嫌な態度で対応しても、 今回のように私から電話をしても、いつも変わらない態度で接しでくれていた。 これは今も昔も変わりなかった。 「こんな時間に自分から電話してきてどうしたん?」とも言うこと無く、母は他愛のない話に付き合ってくれた。 母だって暇ではない。 私が電話を鳴らしたこのときだって、何かをしていたはずだ。 しかし電話に出るのが面倒臭いとか、話をするのがうっとおしいとかいった素振りは微塵も無かった。 私はそんな態度をとり続けてきたのにも関わらずだ。 自分自身の情けないほどのちっぽけさと、親の器の大きさを感じずにはいられなかった。 親とは本当にありがたいものである。 文字通り『有り難い』のだ。 つまり『有る(存在する)こと』が『難しい(皆無といってよい)』のが親なのだ。 しかし、 それが当たり前すぎて気付かない、、、 それが当たり前すぎて息苦しい、、、 そう感じることもあるだろう。 そう思ってしまう時期やタイミングもあるかも知れない。 それでも我々は親への感謝を忘れてはいけないのだ。 このとき私は受話器を置く前に、今年の年末年始は実家に帰りできるだけ家にいる日を多くできるように予定を組むことを母に約束した。 そのときの母の明るい声を私は今も忘れていない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.04.02 01:34:05
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