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カテゴリ:航空運賃のカラクリ
マイレージプログラムの先進国、アメリカでも獲得したマイ
ルが個人に帰属するのか、会社に帰属するのかで、議論が白 熱しました。 1994年に全米企業620社を調査したところによると、 9%の企業が無料航空券を会社に提出させ、抽選などで従業 員に配分していたといいます。 企業からは、航空会社に値引き余地があるのなら、支出元の 企業に還元すべきだとの声も高まりました。 おりしも、リストラを進めていた米国IBMが、マイレージ の代わりに6~8%の値引きを要求していた事実も明らかに されましたが、エアラインは断固拒否しました。 一方で、ゼネラルモーターズ、コルゲートなど大手企業15 社が大同団結し、ビジネストラベルコントラクターなる共同 組織を設立し、航空会社から直接航空券を買い上げることに したのですが、価格交渉にはマイレージプログラムの返上も 含まれていました。 このような動きにエアライン側も動揺し、企業の不満に耳を 傾けるようになりました。 大口利用である大企業との法人契約では、運賃の値引きを含 めてトータルなサービスで納得を得ていますが、その対象に ならない中堅や中小企業向けに法人契約のマイレージプログ ラムを導入したのです。 日本ではルフトハンザ・ドイツ航空が先行しました。 ルフトハンザの「ベネフィットアワード」では、無料航空券、 アップグレード、クレジットカードの支払いの特典が用意され ています。 ちなみに無料航空券は、欧州までのビジネスクラス5往復で、 エコノミーの航空券が貰えます。 エールフランスの「ボヤージャー・リワーズ」では、エコノミ ークラスの利用12~14往復で、ヨーロッパへの無料航空券 が入手できます。 対抗するANAは、2004年からオフィス用品などに交換で きるプログラムを始めました。 APF(ANAプロフライヤーボーナス)の名称で会員契約し、 国際線搭乗5万円ごとに1ポイントを加算し、四半期ごとにク ーポンを発行するというスタイルです。 特典商品には、航空券購入可能な自社のギフトカードのほか、 海外で利用できる携帯電話の支払いなどができます。 いずれの航空会社でも個人のマイルを会社が吸い上げるのでは なく、通常のマイルはそのまま個人に加算されたうえでポイン トが法人にたまるというものです。 しかし、ルフトハンザやエールフランスなどのマイレージプロ グラムでは、本人の同意があれば他人に譲ることも可能なので、 出張時のマイルだけは社内で精算する方法もあります。 ただし、日系の航空会社ではそのような適用は行なっていない ので、フライトの選択に足かせとなります。 こちらを優先するには、社員にこの取り扱いを行なっているル フトハンザなどのプログラムの会員登録を済ませ、業務出張は ANAなどのスターアライアンスのエアラインに限ることで、 社員のマイレージを会社が吸い上げることは可能になります。 しかし、今度はそれを一括管理する仕事が発生するわけで、利 便性をとるか、社内の公平性を探るかの問題となってきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.18 09:25:05
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