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テーマ:時事問題評論(3069)
カテゴリ:時事問題
今、日本の流行歌が東南アジアで大流行しだしていますけれども、これは文明的には戦後のアメリカンポップスが私たちの情操をつくり、アメリカに対する憧れをつくり、そして戦後復興期以降の消費社会をつくったのと同じような構造だという気がします。こうした日本の新しいパワーを支えているのは何だろうか。 それは、表層ではバイテクノロジーによる文明、生活様式であり、根っ子のところではやはり日本人がアメリカにも差をつけてしまったところの「技術」だと思う。 歴史をひっぱる活力などというものは、それはいつの時代にしても、石器時代だって、銅器時代だって新しい「技術」でした。技術が文明をつくり、その上に最後に文化が花咲くわけです。咲いた花にうかれて、肝心の技術を軽く扱っていると、過去の先進諸国が歩んできた衰退期を迎えるようになる。そうした認識が正統で冷静な歴史意識だと私はいつも言ってきました。(盛田昭夫・石原慎太郎共著『「NO」と言える日本』(光文社)、pp. 151-152) グローバリズムなどと言って、日本が世界に合わせていかなければならないと思っているのは勘違いである。日本の文化に対する世界の関心は年々高まってきている。日本のアニメを見て日本語を覚えたというような外国人も少なくないに違いない。 日本人が世界に合わせるということが不要とまでは言わないが、それ以上に、日本人が自国の歴史、文化、伝統を尊び、これを世界に発信していくことの方が余程意義深いことだと私には思われる。 ★ ★ ★ 蛇足であるが、石原氏は現行憲法廃棄論者であった。 《私は憲法改正よりもこのごろはむしろ憲法廃棄論を言っているが、廃棄というと字面は荒っぽいが、手続き上は国会の過半数をとればできるのですから、改正よりもむしろ実現性は高い。創造のために憲法を一度すべて否定して一からつくり直す》(石原慎太郎・一橋総合研究所『「アメリカ信仰」を捨てよ』(光文社)、pp. 202-203)
私もこの手法で現行憲法を廃棄すべきだと思っているが、その後が石原氏の考えとは異なっている。私が主張するのは新たに「成文憲法」と創るのではなく、英国流に「不文憲法」の形にしようということである。どうして不文憲法なのかについてはこれまでも縷々(るる)述べてきたのでそれを参照いただきたい。 いずれにせよ、GHQによって押し付けられた日本国憲法は改正ではなく廃棄すべし、ということである。【了】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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石原氏の最も優れた点は、「日本は敗戦以降、国家としての自己主張をしたことがない」といふ危機感を常に持ち続けて行動してきたこと。そして、石原氏はときに自己批判的な言動をとり、「保身しか頭に無い」と彼が糾弾する戦後日本の政治家の中に自身も含まれてゐるといふ自覚を持ってゐました。(平成7年の議員辞職演説によく現れてゐます)
石原氏の政策には巧拙ありますが、彼は日本の保守政治家が最低限持たねばならない資質を持ってゐた貴重な人物出会ったやうに思ひます。 ワイドショーとかいふ報道芸能番組は、外国の指導者や政治家の動きをいろいろ報じますが、「では我が国はどう行動するか」といふ論点がほぼ皆無です。北朝鮮の軍事開発についても、外国の指導者の発言をひたすら追ひかけるだけで、更には「こんなこと続けてゐたらアメリカがだまっちゃゐないでしょ」などと恥知らずにも言ふわけです。これは右翼とか左翼とか以前の問題で、一人称の欠落です。 北朝鮮は、少なくとも国家としての自己主張は持ってゐます。無論それは極めて危険かつ矛盾した思想ではありますが。ともあれ北朝鮮が国家としての自己主張を持つことは北朝鮮の強みなのであって、日本のメディアが思ってゐる以上にしぶとく生き残るのではないかと思ひます。逆に、国家としての自己主張を持たぬ日本のはうが、経済力では取るに足らない北朝鮮よりも、実は脆弱なのではないかと危惧せざるを得ません。 …さて、尖閣に関する石原氏の演説動画をご紹介します。約3分ですが、石原氏の信念がよく表現されてゐると思ひます。 それと、画面右側の人物のお顔をしっかり拝んでおきたいと思ひます。石原氏より彼のはうが、戦後日本の「本当の姿」を饒舌に語ってゐるやうに思ひますので… https://youtu.be/E1zBAqcl-Fw (2022.02.19 03:16:49)
石原氏は「大きな絵の描ける」稀有(けう)な政治家だったのではないかと私は思っています。果たして、今の日本にこれだけの絵の描ける政治家がいるのかどうか。私は非常に悲観的です。
また、石原氏には非常に価値のある情報が集まってきていたことも特筆すべきでしょう。価値のある情報は、その価値が分かり、その情報を利用できる人にしか集まってきません。 人脈も豊富で、特に外国の要人とのパイプの太さが際立っていました。 本来なら総理になってもらいたかった方だと思いますが、なれなかったのはそれなりの問題もあったからだと思います。残念です。 (2022.02.20 23:11:51) |