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2007年01月10日
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今日のまとめ

1.インドのインフレ悪化が懸念される
2.北京オリンピック後の事を考慮しながら相場に取り組む
3.ロシアではプーチン大統領の08年の任期終了が大きな不透明材料となる
4.インドの州議会選挙は財政問題再燃の契機になる可能性がある
5.BRICs株式市場は先進国の金融市場の変化に今後も振り回される
6.急激なドル安はBRICs株安を誘発する可能性がある

BRICs株式投資を巡るリスク

前回の記事でBRICs各国経済は2007年も絶好調を継続するであろうこと、企業収益も順調に伸びると思われること、株価のヴァリュエーションはインドを除けばリーズナブルな水準であることを述べました。つまり基本的にはBRICsには強気の姿勢で臨めば良いわけです。しかし、それではBRICs株式への投資にリスクが全然無いか?といえばそれはそうではありません。そこで今日はリスクについて考えてみたいと思います。

インフレーション

下のグラフは弊社の予想する各国のインフレ率です。

インフレ率(%、コンテクスチュアル・インベストメンツ)

中国は2.5%、ブラジルは3.7%、インドは6.8%、ロシアは8%を予想しています。この中で特に問題になるのはインフレがどんどん悪化しているインドです。これまで世界の投資家はインドで進行中のインフレに対して比較的寛容でした。その理由はインドは原油を輸入に依存しており、去年後半は原油価格が下落基調だったことからいずれインフレ・プレッシャーは緩和するだろうという認識が広まったためです。確かに昨今の原油安でインドは随分助かりました。しかしエネルギー・セクター以外の部分を見るとインフレ・プレッシャーは引き続き高いと見るべきでしょう。特にインド経済のバックボーンをなしているITアウトソーシングの分野では優秀な人材が払底しはじめており、賃金上昇圧力があります。より広い人材プールから採用することを強いられることによるIT労働力の質の低下が感じられます。

一方、中国のインフレは非常に低い水準を維持しており、一見、何ら問題無いように見えますが、不動産セクターへの投機資金の流入などにより住宅コストは上昇圧力に晒されています。このことは消費者物価指数には反映されていないことに注意を払うべきです。こうしたインフレ・プレッシャーを背景にこのところインドや中国では矢継ぎ早の引き締め政策が打ち出されています。こういう時は投資家は余り調子に乗り過ぎないことが肝心です。それからこれはBRICs全般について言えることですが内需が好調な理由のひとつは金利水準が比較的低く、消費者がクレジットで住宅や自動車を購入しやすくなったことによります。したがって金利の上昇はこれらの国々の歴史の浅いコンシュマー・クレジット・ブームに水をさす結果になりかねません。

北京オリンピック

次にBRICsの行事予定表に絡んだ投資戦略について少し考えてみたいと思います。先ず中国では2008年にオリンピックを控えています。これが投資家にとって目先の大きな目標であることは今さら指摘するまでもありません。北京周辺では今、建設ブームになっています。オリンピックに関連した建設需要で新たに追加されたフロア・スペースは平たく並べたとするとマンハッタンの5倍の面積になると言われています。中国政府は オリンピック開催時には北京上空の空気が澄んでいるようにするため、2007年中に殆どの建設工事を完了するよう指導しています。このように人為的に設定された期日をめがけて誰もがまっしぐらに邁進している場合は、「その後どうなる?」ということをちょっと頭の隅で考えながら行動するべきだと思います。通常、このように将来或る好材料やビッグ・イベントが必ず来ることが決まっている場合、株式市場は約2年前からそれを織り込みにかかると言われています。その意味ではオリンピックに向けてのラリーは既にスタートしていると考えるべきですし、オリンピックまでは相場の基調は強いと考えられます。

その反面、「相場は知ったら、しまい」という諺がある通りオリンピックが終わったら株式市場が調整局面に入る可能性があることは否定できません。今の中国を東京オリンピック当時の日本と比較することは様々な条件が異なるのでナンセンスなことかもしれませんが、東京オリンピックが終わった後の日本を思い起こしてみると証券不況が来て山一證券に日銀特融が発動されたり、それまで見て見ぬふりをしていた公害問題に対してついに国民の不満が爆発したりしました。つまりオリンピックの後は社会の変革期だったわけです。

ロシアの政治カレンダー

一方、ロシアにとっても2008年には大きなイベントが控えています。こちらは現職のプーチン大統領の任期が2008年3月に切れるという事です。ロシアの憲法では大統領が連続して務められる任期は2期までです。憲法改正が無い限り(そしてプーチン大統領がこれまで表明したところによると改憲の意思は無いことになっています)プーチン大統領はクレムリンを去らねばなりません。プーチン大統領が余りにも行政手腕に長けていたので、この後、誰が来ても世界の機関投資家にプーチン大統領と同じレベルの安心感を与えることは難しいと思います。このため2008年の任期満了を前にロシアの持ち株を処分する投資家も出てくるのでは無いでしょうか?。

それから大統領選挙の前哨戦として07年12月にはデュマ(議会)の選挙もあります。大方の予想ではプーチン大統領の支持母体である統一ロシアが過半数を制すると見らえています。いずれにせよ2008年はロシアにとってむずかしい年になる可能性は否めないわけですからロシア株に投資するなら早めに決断し、大統領交代のときまでにはポジションを整理するくらいの用心が必要かもしれません。

インドの政治カレンダー

インドでは2007年の3月から一部の地域で州議会選挙がはじまります。これは2008年にかけて順番にインド各地で展開する行事であり、そういう意味ではクライマックスはありません。この過程でインドの国民が現政権にどれだけ満足しているかが或る程度明らかになると思います。前回の選挙では事前の予想を覆し、コングレス党が当時の与党のBJPを退けました。経済好調に自信を深めていたBJPの「輝けるインド」という選挙のキャッチフレーズに対して多くの有権者が冷淡だった理由は農村と都市市民との格差拡大などの問題があったためです。

現在、インドの経済は引き続き絶好調ですが、格差の問題は余り改善していません。インドの政治の体質からして選挙の時期はどうしても「ばら撒き」政策に流れやすいです。しかしインドは赤字財政体質であり、国際機関投資家はそうした人気取りの政策に対しては厳しい目を向けると思われます。

先進国の金融市場にも注意

BRICsに投資するに際して、先進国の金融市場全般のリスクについても一応目配せしておく必要があると思います。これまで既にBRICsの株式や投信に投資したことのある人なら思い当たるでしょうがBRICsの株式市場が急落するのは必ずしもBRICsそのものに問題があるときではなく、先進国の金融市場が変調した場合であることが多いからです。BRICsの株式は世界の過剰流動性のゲームの一番先端の部分であるとも考えられ、それゆえに先進国の信用市場が微妙に変化しただけで怒涛のような売り物に晒されたりします。その先進国の信用市場ですが、このところ凪のような平静な状態が続いています。

現在の景気サイクルは所謂、ミッド・サイクル・コレクションと称される景気拡大局面での踊り場的な段階にさしかかっています。このことから考えるともう少し荒れて然るべきなのにこれまでのところ世界の市場は極めて安定的に推移しています。それ自体は歓迎すべきことですが、心配なのは投資家の心の中にコンプレーセンシー(リスクを甘く見る態度のこと)が忍び込んできている点です。

ドル安とエマージング市場

現在の国際資本市場では日本をはじめとする金利の比較的低い国でレバレッジをかけた信用を調達し、それをエマージング市場などの比較的金利面で魅力のある市場に投入するというキャリー・トレードが常態化しています。これらの国々の金利見通し、ならびに為替が安定している場合にはこういうポジションは引き続き維持されるでしょう。しかし何かの拍子に例えば急激にドル安に振れたとすると国際機関投資家はポートフォリオのリスク・エクスポージャーを一斉に落としにかかると思います。BRICsの株式はそういうシナリオ下では真っ先に痛手を蒙るカテゴリーです。





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最終更新日  2007年01月10日 17時49分56秒


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