2017年12月30日(土)、東京から関西へ、紀伊半島をぐるっと一周して帰省した。
紀伊半島をぐるっと一周して帰省するのは初めてではない。学生時代に南近畿ワイド周遊券でそうしたことがあった。帰省なだけに、紀勢本線!
さて、この30日の「特急ワイドビュー南紀号」は3号と5号が満席だ。さすがに5号だと時間帯が遅すぎて用事を削らなければならない。1号だと東京からだと間に合わない可能性がある。
「特急ワイドビュー南紀1号」で行き、紀伊勝浦での用事の後に、283系「特急くろしお22号」に乗るというのが趣味的には希望順位が高いのだが、現実的に旅程の安全を考慮して「特急ワイドビュー南紀81号」にした。
4時台に自宅を出て、新宿駅できっぷを買い、6時過ぎに東京駅に着いた。
朝の6時台から東京駅は大混雑であった。名古屋や新大阪までの旅客は新大阪行に乗るように促され、広島行博多行の自由席の乗車列はホーム下の階段のところに列が規制されていた。
「特急ワイドビュー南紀1号」に間に合う「のぞみ3号」にも乗れる時間帯ではあるが、とても乗り込めたものではない。
とにかく、発車する列車に乗り込むことが促され、一度乗り込むと列の先頭には戻れない旨が案内されていた。
★★★東京7:00→名古屋8:41 「新幹線特急のぞみ203号」 786-1525★★★
私は7:00発の新大阪行「のぞみ203号」に余裕で乗り込めた。
車内の電光掲示板では、1月3日の上り列車はひどい混雑が予想されるので変更を検討して欲しい旨の案内が繰り返し流れていた。
富士山の車窓案内があった。新幹線に滅多に乗らない人たちも乗る時期だからだろうね。
名古屋での乗り換えに時間的な余裕は少ない。
★★★名古屋8:51→紀伊勝浦12:49 「特急ワイドビュー南紀81号」 キハ85-2★★★
「特急ワイドビュー南紀81号」は、発車のわずか数分前の入線であった。5両編成だ。
希望通り、先頭車の先頭の指定席を取れていたのであった。増結の場合は何号車になるかわからないし、車両によって席番が違うかもしれないが、最も号車番号が大きな車両の1番C席がいい。A・B席だと速度計が見えない。さすがに足元の広さを優先させるならば普通車の最前列はいいとは言えないが、前面展望を最優先にするならば最高の席だ。
先頭車はキハ85-2。この車両にシカ対策の衝撃緩和装置は付いていない。キハ85系には新型車両の印象があったが、今となってはずいぶん古く、排気臭が漂う車内は煤けており、各所からビビリ音が出ている。
それにしても遅い。いかにも挿入ダイヤの臨時特急で、津までは行き違いのための停車が多くて、定期の快速よりもだいぶ遅い。
時折110km/h前後まで出していたが、ビビリ音以外は静かで安定した走りだ。
春田駅、永和駅、白鳥信号場と行き違いのための停車が続いた。放送に際しては、行き違い停車が続く事へのお詫びもあった。さらに、富田駅では対向列車の遅れ待ちで停車が延びた。
伊勢鉄道線を経由する。複線区間を100km/h前後で走行するのに頭上に架線がないというのは奇異に映る。
この先単線となる中瀬古駅は停車後すぐに発車した。先ほど普通列車とすれ違ったばかりで、こちらが遅れていたのだからそもそも停車する必要すらないであろうに。
河芸駅での対向列車は、JR東海のキハ11の回送車だった。それにしても、格下の列車によく待たされる特急列車だ。
津を2分遅れで発車した直後には近鉄の急行を抜いていた。そうは言っても、その急行は、名古屋を「特急ワイドビュー南紀81号」よりも10分も後に出発した列車だ。
近鉄と接続する松阪では、大阪方面から南紀に向かう乗客も多い。
多気で取り替えられた乗務行路表を見ると、多気から新宮までの最高速度は85km/hだ。ただし、新宮までは客扱い駅以外には停車しないみたいだ。
三瀬谷の手前の川添から紀伊長島までは主に75km/hでの走行が続く。制限速度75km/hの曲線が続くせいでほとんど75km/hのままだ。よって、駅を通過する際もさほど減速しているようには感じない。
尾鷲駅は主要な駅であるが、今は2面2線の簡素な作りだ。
尾鷲以南は、かつては矢ノ川峠で越えていたようなところで、鉄道の建設は比較的新しく、線形も良い。長大トンネルや直線区間も多いにもかかわらず列車は85km/hまでしか出さない。さすがに、たいてい4両編成の定期特急が1日4往復しかないような区間に高速化工事はしないのであろう。
新宮からはJR西日本区間に入る。新宮からの乗務行路表を見て驚いた。「最高速度75km/h」の文字が・・・。特急列車でその速度? 二軸貨車かよ。
★★★那智勝浦町★★★
紀伊勝浦駅の駅前は観光地の華やかさに満ちていた。全国的に見られるようなチェーン店も目につかず、昭和の面影さえ感じられる独自の雰囲気がいい。この街で昼食にした。
紀伊勝浦駅で並ぶ283系「特急くろしお22号」と287系「特急くろしお3号」。実を言うと、283系の隣にはキハ85系がいる。
老舗の模型店を訪ねた。1980年代のカタログにも載っている店だ。30年以上売れ残っているような品も見つけて嬉しくなったが、残念ながら私が望む品は見つけられなかった。
次に、別件で白浜に向かう。
★★★紀伊勝浦14:35→白浜16:13 「特急くろしお26号」 モハ286-13★★★
先程の「特急ワイドビュー南紀81号」の75km/hがましに思えるくらい遅い。60km/h出ていたら速く感じるぐらいだ。新宮から先で見られる制限速度は、283系だけ別扱いだ。その283系も、春のダイヤ改正では白浜-新宮間では見られなくなるとの話が出回っている。
時刻表では白浜着は16:09だが、この日のように白浜駅で前に3両増結する場合は、駅への進入前に停車し、さらに連結作業が終わってから扉が開く。
★★★白浜17:28→海南18:40 「特急くろしお30号」 モハ286-9
駅舎が消えゆく紀伊田辺駅に立ち寄ってから帰ろうかとも思ったが、結論から言うと、それはやめた。
白浜17:54の普通列車2338Mに乗る旅程だと、紀伊田辺から和歌山までの95.5kmを特急に乗ろうが普通に乗ろうが、和歌山から先で乗る列車が同じだ。さすがにこの先の長い距離に、時間がかかったり停車駅が多いのは嫌だ。せっかく普通乗車券があるのだし、1時間早く帰ろう。そのようなわけで、17:28の「特急くろしお30号」で海南まで行くことにした。
海南までならば特急料金を100kmまでで抑えられる。この列車は停車駅が少ないのが嬉しい。紀伊田辺を出ると、御坊、海南の順だ。それにしても、紀伊田辺から1時間で海南だ。昔は、停車駅の少ない特急は紀伊田辺から1時間で和歌山にまで達していたのに・・・。
件の紀伊田辺駅の駅舎はまだ残っていた。立ち寄る必要もなかったというわけだ。
★★海南18:59→和歌山19:14 モハ224-5029★★
★★和歌山19:16→和歌山市19:22 クハ104-510★★
和歌山駅7・8番乗り場のホームは、のりかえ改札機の設置工事中だ。
和歌山市駅で南海線に乗り換える前に駅から出てみると、かつての大きな駅舎の姿は、すっかり隠されていた。
★★★あとがき★★★
長年東京と関西を行き来していて、帰省の旅程もネタ切れだ。そういうわけで今回は紀伊半島をぐるっと回って、そこに用事も加えて帰省した。「特急ワイドビュー南紀号」の本数が少ないことや新幹線の混雑という現実があり、出発を決断するまではかなり緊張したのであった。