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カテゴリ:アルチュール・ランボー
― 彼女はいつになく乱れていた
外では荒々しい風のもとに おおきな木々がその枝葉を 窓ガラスに押し付けていた いかにも意地悪く まるで覗き込むように 僕の大きな椅子に腰掛けて 彼女は半裸で手を組んでいた 床にはまるで喜んでいるように 彼女の華奢でかわいらしい足が震えていた ― 蝋人形みたいに蒼く 僕は見つめたよ 葉から洩れた月光が揺れて飛び交うのを 彼女の笑顔や胸の谷間を ― まるで薔薇の木にまとわりつく蠅みたいだった ― 僕は華奢な踝にまずキスをした 彼女は突然笑い出したんだ それははじけて明るいトリルになった 水晶みたいに綺麗な声だ シルクの下の小さな脚は 僕の唇から逃げた 「やめてよ」 ― はじめの仕掛けが許されると 笑顔のままで咎める素振りだった 僕の唇の下でピクピクしてた可憐なそれ 僕は彼女のまぶたにそっとキスをした ― 彼女は少し媚びた顔をのけ反らして 「やってくれるじゃないの! ・・・ あなたに一言言いたいわ・・・」 ― 僕は言うべきことを彼女の胸に キスとして伝えた すると彼女はまた笑い出した すっかりその気でご機嫌な笑いだ・・・ ― あの夜 彼女はすっかり乱れていた 大きな木々が遠慮もなく その枝葉を窓ガラスに押し付けていた いかにも意地悪そうに まるで覗き込むように 参考訳 堀口 大学 平井 啓之 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.10.18 22:53:44
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