パンズ・ラビリンス PAN'S LABYRINTH
だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した。血の匂いがするファンタジー。おとぎ話はホントウは残酷。隣り合わせに存在する辛すぎる現実と甘美なる幻想。迷い込んだ迷宮。チョークで壁にドアを描くと出現する世界。巨大ながまガエル。手のひらに目を埋め込んだ巨人と禁断の果実。少女は安息の場所を得るために3つの試練に挑んでいく。現実から逃れるための幻想でさえ決して甘い夢ばかりを見せてはくれない。目をそむけたくなるシーンばかりなのに何故だか目が離せない。有無を言わさず引きずり込まれてしまった逃げ出すことのできないダークな世界。少女にとっての本当の悪夢は異形の怪物に追いまわされる別世界ではなく人をまるで虫けらのように殺す残忍な義父のいる現実世界だったのかも。最期に訪れる不思議な恍惚感。あまりの過酷さと辛さに二度と観たいとは思わない映画。それは悪い意味ではなく一度観ればもう十分に胸に刻まれたから。きっと一生忘れない。