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December 8, 2006
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恒川光太郎「夜市」を何処となく彷彿とさせる気がする。

"薄闇の古都でみた悪い夢。目覚めても夢の続きにいるような。
―細長く、薄気味悪い座敷に住む狐面の男。闇と夜の間のようなほの暗い空間で囁かれた奇妙な取引。
私が差し出したものは、そして失ったものは、あれはなんだったのか―"という帯もまた魅惑的。
怪しくも雰囲気のある世界へ誘う。

きつねのはなし・
一乗寺にある芳蓮堂でアルバイトを始め、店主のナツメさんに使いに出された先は鷺森神社の近くに住む天城さんの家。
ある日、常連客・須永氏への届け物を破損してしまった私は代わりのものを見繕ってくれるということで天城氏の下を訪ねる。
決して彼が冗談でもちかける要求に応えてはいけないといわれるが、彼にストーブを差し出してしまう。
それから転がるような取引がなされ、最後に失うことになったのは―

ナツメが言う「東京はいつも夜だった。(夜が訳もなく怖くなることがあるような感覚の怖さがあったということ)」という台詞が意味深。
忍び寄る不気味な恐怖、暗闇から浮かび上がるような狐面、取引、最後の舞台となる夜店、独特の雰囲気に飲まれそうになる。
「取り替えるべきものを(君はもう)持ってない。(もう君は私の欲しいモノを持っていない)」と取引に応じなくなったときの天城からは一気に闇が吹き出るようだ。
狐面にこめられていたものは、"私"をだしに、ナツメが手に入れようとしたのはなんだったのか?

果実の中の龍・
シルクロードを旅し、様々なバイトをし、多種多様な人々とであった経験をもつ先輩の一乗寺にある図書室のような下宿に出入りするようになった私。
先輩の彼女・瑞穂さんも交えた付き合いは楽しかったが、時折、先輩の話に苛立つ瑞穂さんと先輩の空気に戸惑う。
そして知ることになった事実とは。

古本屋・緑雨堂、常連で読書家の菓子屋、不思議な家への夜の配達、狐面の男、
寺で家庭教師をする男、教え子で剣道の強い女の子がみたという胴の長い狐みたいなケモノの話、
自叙伝を出すつもりが話が大きくなり、誇大妄想に達してまで物語を作り出した祖父とその反動で書物嫌いとなった父親の話、
不思議な大道芸人・天満屋となっていた兄と旅の話、須永氏が店主の芳蓮堂、
不思議な屋敷の狐面をつけた女主人・ナツメ、そこで手に入れた"果実の中の龍"の根付、からくり幻燈の話、
何が本当か分からなくなるような魅力的な先輩の話に翻弄されるのは"私"だけではない。

魔・
西田酒店の次男・修二の家庭教師をすることになった私。
彼の兄・直也、友人の秋月、夏尾美佳とも知り合う。
みな、剣道に秀でているらしい。
町では通り魔が出、商店街も警戒態勢に入る。
そんな時、狐に似た、胴の長いケモノに出会う。

胴の長いケモノがココにも登場。

水神・
祖父の通夜での出来事。
一人、家を離れず、許可した人以外の出入りにもいい顏しなかった祖父。
水のように酒を飲んだ祖父、不思議な宴会、部屋中に満たされた水の器。
父や伯父達の話。人魚の様だった祖母の死。
一気に引いた水、深夜に訪れた芳蓮堂から受け取った祖父の預けたものとは―

祖父(伯父らにとっては父親)の思い出を語ることが百物語のような形式をとっているところもうまい。





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Last updated  December 9, 2006 03:09:48 PM
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