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弁護士・伊藤和子のダイアリー

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2008.07.28
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カテゴリ:カテゴリ未分類

ご無沙汰しています。暑いですね、、、
片親引き離し症候群、ってご存知ですか。
DV事件でDVをした夫が子どもに執着して面接を求めるのですが、
子どもはDVの影響で精神的に安定せず、とてもあわせられる状況では
ない。
そんな状況でも面接を求めてくるわけですが、その際
「子どもの精神状態がおかしいのはDVのせいじゃない。そもそもDVなど
していない。子どもの精神状態は「片親引き離し症候群」という精神状態だ。
問題は父親と引き離されていることになる。それは父親にあえば
なおるのだ!」という主張なのです。
 このような主張をされて、この論理に耳を傾ける裁判所まで出てきてしまい、
苦労している離婚の当事者の方は少なくありません。
 なんでもアメリカのなんとか弁護士会が提唱しているとか、、、
 それを翻訳した論文などが証拠として提出されるのです。

 でも、それがまったく間違っていることがはっきりしました。
 私は「この話、絶対怪しい。アメリカで通用しているといっても一部で
通用しているだけじゃないか?」と思い、英語名をグーグル検索してみたところ、
2006年くらいまでは確かにアメリカではこの論理に裁判所も振り回されていたけれど、
今では、それがまったく信用に堪えないえせ科学であることが明らかになった、
という結論を出しているのです。全国の家庭裁判所の協会やアメリカ法曹協会の
雑誌にもこの症候群を批判する論文が掲載されています。
 法律も心理学ももはやこの理論を採用しない、というのがアメリカではコンセンサス
になったのです。しかし、それまでの間、裁判所がこの論理を使って
虐待親やDV夫を子どもと面接させたり、親権行使を認めたりして、その結果、
子どもが殺害されたり、子どもが自殺するなどの被害がでてしまった、というのです。

恐ろしいことです。いまの時点で発見してよかった。

 私と一緒に事件をやってくれている弁護士さんと、インターンが
がんばってこうした最新の文献を翻訳してくれ、一件の裁判に提出したりしました。

 今後、この論文をこの問題に悩む全国のみなさんにも活用していただく方法はないか、
考えているところです。

 でも、よくあるんですよね、アメリカの理論だ、とか紹介されてとんでもない間違いが
引用されていることが。
 たとえば、陪審制に関しても山のようにそういうことがあって裁判員制度がゆがめられているように思います(このことはまた別途)。
 そういうのにだまされちゃいけないし、海外の法制度や慣行は、専門家が
自分の都合のよいところだけ引用するのでなく、本当に誠実に紹介していく責務を持っていると痛感します。


 
 







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Last updated  2008.07.28 22:39:38


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