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2014年01月02日
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カテゴリ:Candy Lab

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最近、友人からアメリカの貧困問題のルポ:「(株)貧困大国アメリカ(堤未果)」を勧められ、この本の内容を自分なりに検証したところ、企業収益の増大が大衆の幸福に繋がらず、むしろ貧困を生み出すという矛盾した状況が浮き彫りになった。

ここでは、それを報告したい。

貧困大国アメリカ
アメリカ社会は、トップ1%が、総所得の25%を、ボトム90%が総所得の50%を得るという極端な格差社会である。

中産階級がアメリカで消滅した理由としては、

(1)機械化、情報化で多くの中産階級の労働者の職が奪われた。
(2)グローバル化で海外の低賃金労働との競争を強いられた。
(3)労働者の権利を守る労働組合の衰退。


が挙げられる。「アメリカ製造業における所得格差の拡大」で考察されているように、従来の中産階級は、スペシャリスト階層と貧困層に分離され、消滅したように思われる。全労働人口のほぼ30%が時給8ドル以下で働いているが、これはまともにアパートを借りることも困難な水準である。


雇用の中心は低賃金のサービス業へ
製造業の空洞化で、1970年→2009年製造業の国別雇用比率推移を見ると:米26%→10%で、日本27%→17%、ドイツ40%→22%というように先進国では、製造業の雇用が大きく失われている。溢れた雇用はサービス業へと向かうことになる。

しかし、その受け皿となる成長産業は、アメリカでも見つかっていない。グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブックといった成長企業があるので、意外な気もするが、実はこういったハイテクIT企業は殆ど雇用を生み出さない。たとえばアマゾンの2010年時点の売上高は342億ドルと巨大だが、の社員数は33700人に過ぎない(社員一人当たりの売上高は1014万ドル)。

ハイテクIT企業は、ほとんど雇用を生み出さず、製造業から溢れ出た人たちは、サービス業へと流れている。たとえば、4470億ドルの売上を誇る、小売大手ウォルマートは全米で140万人を雇用している。 しかし、ウォルマートの正社員の平均年収は1万5500ドルしかないことからも分かるように、サービス業の大半は非常に低賃金であり、ウォルマートのように正社員がフードスタンプ(SNAP)を受けるほど低賃金であることが珍しくない。ウォルマートは超優良企業だが、それは社員が超低賃金だからである。 ウォルマートの従業員が、アマゾン並みに一人当たりの売上高を上げれば高賃金を獲得できるが、そのときはウォルマートの従業員数は、30分の1以下になりかねない。

アメリカのサービス業の低賃金は、我々が直面するジレンマを表している。即ち、需要制約があるために、生産性を上げると雇用が失われ、雇用を増やすには、賃金を下げなくてはならない、ということである。 

最近は、シェール開発や中国の人件費の高騰で、製造業の復活が囁かれるが、アメリカの新たな雇用の現実(2013年10月11日)でクルーグマンが考察しているように、かつてのような大きな雇用を生み出すのは難しそうだ。

労組の弱体化
デトロイト市の財政破綻は記憶に新しいが、かつての基幹産業の衰退で、税収減が続く地域では、企業誘致に躍起になっている。企業誘致のため、労組弱体化法と言われる労働権法を制定する州が南部を中心に全米で24州に上る。中でも、最近、労組の強かったミシガン州でも労働権法が制定されたことは、大きなニュースだった。 

その一方、労働権法が制定された州では、労働者の賃金が他の州より10%程度低いという。つまり賃金の低下と雇用の拡大がトレードオフの関係になっている。

米国の労働組合組織率は1960年代の30%をピークに年々減少しており、いまや11%台になっている。 労働者の立場は益々弱くなっている。
  

破綻に瀕する地方政府
低賃金労働者の拡大は、社会保障費の増大から、政府に重い負担となっている。フードスタンプ(貧困層向けの食糧配給権制度)だけで764億ドルという巨額の財政支出が必要になっている。

2013年11月1日から、米政府の貧困救済策(食料配給券制度)であるフードスタンプ(補助栄養支援事業、SNAP)の予算を削減した。削減は、フードスタンプの予算総額764億ドルのうち7%弱にあたる50億ドルだが、米国では近年、実質的な失業者の急増が続き、フードスタンプの利用者が、リーマン危機直後の08年の3千万人から、今は5千万人弱まで増えた。フードスタンプに頼る人が増える中、減額で足りなくなった食料をほかで補おうとする人が、民間の貧困救済所(食糧配給所)に早朝から長蛇の列をなす事態になっているという (飢餓が広がる米国より)。 現在、共和党はフードスタンプ予算を今後390億ドル削減することを主張している。

共和党の言い分は、低所得者にもっと働け、ということだが、働いてもフードスタンプを使わないと暮らしてゆけないほど低賃金の職しか就けない状況を作っている社会構造に問題があるわけで、現実的とは言えない。
アメリカの格差の拡大は、最早、限界に達しているように思われる。 

アメリカの地方政府には、財政難から、公共サービスを削減したり、教育などの公共サービスを民営化して切り売りするところも多くなって来ている。

日本はアメリカの後を追うのか?
格差の拡大は、実は最近は、アメリカより日本の方が進んでいる。

日本の上位20%の層の収入が全収入に占める割合が、1990年の30.0%から2009年の38.6%に増えたが、この間米国では46.6%から50.3%になっただけである。また下位20%の人の収入は、日本では全体の収入の11.8%から8.6%に減っている。対する米国は3.8%から3.4%とわずかな減少である(「所得格差の米国化が進む日本」より)。

上で見たように、貧困問題の核心は、先進国では、雇用が生み出されず、むしろ減少する傾向にあるために、労働者の立場が弱体化し、低賃金化が進行することにあるが、雇用の不足は、需要の物理的制約があるため、根本的な解決は難しいように思われる。 よく言われる、先進国は、低スキルの仕事は新興国に任せて、高スキルのクリエイティブな仕事に専念すればよい、といった意見は、人間の能力の普遍性を無視した暴論としか、私には思えないし、実際、あれだけの高度人材を揃えたアメリカでも実現していない。 

このまま、格差を拡大して、アメリカ型の社会になるのか、再分配機能を強化して、ヨーロッパ型の社会を目指すのか、日本の選択が迫られているように思われる。





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最終更新日  2014年01月02日 11時35分53秒
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