さよなら、ミュージアム。さよなら、ジョン。(ジョン・レノン・ミュージアム)
さいたまスーパーアリーナの4階と5階にミュージアムはある。4階は生まれてからビートルズ時代までのゾーン。写真、地図などの資料と使っていたギターなど秘蔵品の展示。高校時代、ビートルズが大好きだった友人と一緒に歩いた。ふたりとも、大ファンだったから、ジョンの母が去ったあと、育ててくれたおばさんの名前も、最初の結婚相手もみんな知っている。だけど、ひとつずつ、ユックリ読んだり、眺めたり慈しむように時間をかけて、丁寧に回った。なんにも相談しないけれど、同じ気持ちだった。ほとんど会話は交わさず、人だかりのしているところは辛抱強く待って、胸に刻みつけるようにして順路を進んだ。ゾーン15歳の頃のあどけないジョン。ベストを着た少年時代のジョン。写真の脇の文章が胸を打つ。僕の木には 誰もいない きっと 僕の木は高かったり 低かったりするんだ当時のリバプールの詳しい地図がある。4人の家がごく近所に書きこまれている。偶然。奇跡。必然。1957年7月6日 ポールに初めて出会い、言葉を交わした日のことなどジョンの生い立ちをなぞりながら、歩く。ロックンロールにめざめ、夜ごと演奏したキャバーンクラブ。その建物を模した造りになっているゾーン2初期の曲が次々と流れる。ビートルズ時代後半の洗練された曲ももちろん好きだけど初期のこのシンプルで勢いのある曲も大好き。ツイスト&シャウト♪ 小さな声で一緒に口ずさむ。私達にとってはナツメロだね。ゾーン3人気沸騰し、嬌声にかき消される演奏を憂いて、悩んだ日々。ヨーコとの出会い。ゾーン4解散の原因とも言われたヨーコを私達は皆、嫌悪していた。今は、ヨーコが日本人だったからジョンが日本を親しく思ったことも含め、(漢字表記は如雲玲音)理解できるようになったけれど…ゾーン5 ラブ&ピース と続き、ダコタハウスの惨劇へと…社会現象となったベッドインの写真。両親と暮らせなかった子ども時代。自身の淋しい想い出を上書きして消すようにショーンの育児に専念したジョン。ハウスハズバンドの先駆け。「ザ・ビートルズ・シネ・クラブ」に入っている友人と映画の上映会を観るくらいしかできなかった高校生の頃。今ならイギリスだろうが、アメリカだろうがいろんな情報がはいっただろうけど。All through the day, I me mine, I me mine, I me mineLet it beのI me mine。ジョージが歌うシーンにかぶせてヨーコとジョンがクルクルと踊っていた。「ヘルプ」か「ア・ハード・デイズ・ナイト」の時、バブルバスにはいったジョンが、アヒルのおもちゃで遊んでいて出てこないというシーンがあってジョンを探しにマネージャーが入って来て呼んでも返事しないもんだから、業を煮やしてお風呂の栓を抜いちゃう。ジョンも観念して出てくるだろうって。ドンドン減っていくお湯。アレ アレ アレ いつまでたっても、はだかんぼうのジョンが出てこない。ついに一滴も浴槽には泡もお湯もなくなったけどジョンがいない。いつ?どこに消えたの?数十年前の記憶ゆえ、定かではありませんがお茶目だったジョンがなつかしい。リバプールという地名もそうだけど「カーリング」というスポーツもビートルズの映画で知った。修学旅行、長崎。原爆の象の前で記念写真を撮る時も4人で「H」「E」「L」「P」と一文字ずつポーズした。無知で罰当たりだった、消したい過去もあったっけ。試験勉強と称し、友達の家に泊まりにいった。でも、ビートルズを聴きながら、夜更かしするのがワクワク お楽しみだったよね。長電話をしては叱られていた時代。ジョンが凶弾に倒れた。俄には信じられず、そのうち、まぎれもない事実と知り号泣した1980年12月8日。40歳で、ジョンの時計は止まってしまった。 展示を全て観終わってから、ラウンジへ移動して、武道館で行われた来日公演の写真集を眺めた。この時、私達は何歳だったの?なんて…「こうしてちゃんと聴くの、何十年ぶりかしらね」私達の時計は更に刻むんだわ、これからも。たぶん、シネクラブの上映の時に入手したと思われる来日公演のプログラムワタシのお宝の一つ♪さて、ラウンジには15分くらいしかいなかった。いや、もっと居たかったけれど、空腹に耐えきれずラウンジを後にした。さよなら、ジョン。「夕食の支度があるから」と足早に去る彼女。お茶する時間もなかったね、あわてて遅めのランチを詰め込んだだけ。「また、誘ってね。」「気をつけてね」同じ年に娘を生んだ。そのころは近所だったから行き来して励まし合って子育て時代を過ごした。幼稚園までの数年、高校の時以上に親しくしていた私達。子どもの成長と共に会えなくなったけど今度は自分たちのこと、話す時が来たのかも。彼女を乗せた電車は夕映えの空の向こう側に吸い込まれて行った。「転居したばかりで近所に話相手もいないから、家庭菜園に凝ってるのよ」だいじなおみやげ、持って帰ろう。ハロウィンの飾りみたいな小さな、可愛らしい パンプキン♪さよなら、ジョン・レノン・ミュージアムの全ページをまとめました。 こちらからどうぞ!